【シゴトを知ろう】治験コーディネーター 編

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【シゴトを知ろう】治験コーディネーター 編

2017.02.07

提供元:マイナビ進学編集部

【シゴトを知ろう】治験コーディネーター 編

新しい薬や医療機器を販売する際は、厚生労働省の承認を得るために人を対象とした臨床試験(治験)を実施し、有効で安全であるということを確認する必要があります。臨床研究(治験)コーディネーターは参加される患者さんの人権を尊重し、試験(治験)が計画通りスムーズに行われるよう調整役となる重要な役割を担っています。がん治療を専門とする「がん研究会有明病院」で治験コーディネーターとして働く神戸萌さんにお話を伺いました。

この記事をまとめると

  • 製薬会社・医師・被験者の間に立って調整を行う役割
  • 正確なデータを取る必要があるため細かくきっちりした人に向いている
  • キャリアの積み方や発展のさせ方は働きながら考えていくこともできる

新薬の承認を得るための「治験」をコーディネート

Q1. 仕事概要と一日のスケジュールを教えて下さい

がんの専門病院で抗がん剤に特化した治験コーディネーターの仕事をしています。新薬が開発されると厚生労働省に承認してもらうために臨床試験を行う必要があり、それを治験といいます。私たちの役割は「製薬会社」「臨床試験を行う医師」「被験者」の間に立って治験がスムーズに行えるよう調整することです。

治験は第1相試験から第3相試験まで3段階に分かれており、第1相試験(少ない患者さんで、安全に投与できるか確認する段階では、健康な人を対象に行うことが多いですが、抗がん剤の治験はこの段階(第1相試験)からがん患者さんが対象となります。製薬会社から提示された被験者の条件……例えば年齢やがんの種類・ステージ、抗がん剤治療の履歴などを満たした患者さんが私たちの病院に診察に来られた際、主治医から通常の治療のほかに治験という選択肢があることを提示されます。私たちはその際、治験についてや治療スケジュールなど詳しい説明を行い、患者さんが自由意思で参加する・しないを決定できるよう配慮します。患者さんが治験参加に同意された場合はその後の治療のフォローも担当します。治験は何年にも渡る場合もあります。私は以前は看護師をしていたので被験者の血圧の測定や採血を自分で行うこともありますし、正確なデータを取り、製薬会社へ報告することが重要な仕事なのでデータ入力まで自分で行うことも多いです。

<一日のスケジュール>
9:00 始業
午前中 治験中の患者さんのフォローなど
12:00 昼食
午後 患者さんのデータを製薬会社へ報告、製薬会社とのミーティングやメールのやり取り、患者さんのフォローなど
17:30 終業
18:00 新しい治験のスタートアップミーティングなどが入ることも


Q2. 仕事の楽しさ・やりがいを感じるのはどんなところですか?

患者さんに勧めた治験の効果が表れてがんが小さくなったり、患者さんから「やってよかった」という声をいただいたときです。抗がん剤には高額なものも多いのですが、治験なら製薬会社にほぼ費用を負担してもらえますので、「経済的にも助かった」と喜んでいただけることも嬉しいです。


Q3. 仕事の大変さを感じるのはどんなところですか?

抗がん剤の治験に限定される悩みかもしれませんが、製薬会社にとっては何十人いる被験者のひとりでも、被験者にとっては治療の大きな決断であり、試験のデータが自分の治療に及ぼすメリットは決して多くはないのが現実です。両者の間に立つ立場としての悩みはあります。あくまでも臨床試験であるため、薬の量や組み合わせはいろいろなパターンを試さないといけません。時には効果がなかったり、重い副作用が出たりすることもありますが、製薬会社としてはそうしたデータも必要です。またがんには効果があったけど、入院が必要なほどの大きな副作用が出てしまうこともあります。私たちは正確なデータを取ることに徹しないといけないため、過度に感情移入してはいけませんし、かといって機械的に対応することもできず、何とも言えない気持ちになることもあります。

また私たちコーディネーターは医師や看護師とは違う中立的な立場で、患者さんからいろいろなお話を聞くことができます。本人が治験を辞めたいと思ったときにいつでも言えるような距離感を心がけていますが、一方で私たちを頼りすぎて治療の管理をゆだねてしまうのは患者さんにとっても良くないことなので、自立も促さないといけません。そのバランスの取り方にも気を使います。

信頼する看護師長の一言が転身のきっかけに

Q4. どのようなきっかけでこの仕事に就きましたか?

看護師として15年以上のキャリアを積んだ後、昨年から治験コーディネーターに転向しました。看護師時代はさまざまな経験がしたくて4〜5年ごとに転職して、外来や検診、病棟などいろいろな場で経験を積みました。最後にICU(集中治療室)で仕事をしていたときの看護師長に、治験コーディネーターの枠が1名空いたことを伝えられ「あなたの性格に向いていると思う」と勧めていただきました。もともと夜勤のある看護師の仕事をこの先も続けていくことに不安を感じていましたし、治験の仕事には以前から興味があったのですが、私の性格をよく知る看護師長の一言が決め手になりました。


Q5. 専門学校ではどんなことを学びましたか?

高校を卒業して看護専門学校に3年通いました。解剖学や薬理学・生理学・看護学などを学び、1年生の後半からは病院での実習が始まり、実際に患者さんに触れてケアをさせてもらいました。

看護師を目指したきっかけは、高校時代に理系・文系の選択に迷っていたときに、同じクラスの前の席に座っていた看護師志望の女の子に「何も決まっていないなら一緒に理系に行こう!」と誘われたことでした。何となく良いような気がして決めたのですが、昔から周りに障害を持った同級生や先生がいたので、そうした方を支える医療や看護の世界に対して全く抵抗がなかったということもありました。


Q6. 高校生のときに抱いていた夢や体験したことが、現在の仕事につながっていると感じることはありますか?

高校3年生の時点で将来40年くらい続ける仕事を決めるなんて無理だなと思っていたので、時間稼ぎで学生になろうと思っていました。しかし「手に職をつけたほうがいい」とは漠然と考えていました。いわゆるOLさんになる自分は想像できませんでした。きっと役に立つ仕事なんだろうと思って看護師を目指しましたが、専門学校に入ってみたら病気の人のケアは奥が深くて、学ぶほどに楽しくなっていきました。高校時代にたいしたきっかけがあったわけではなく、夢を抱いていたわけでもないのですが、進みながら仕事の魅力に気づいていくこともあるんだなと思います。

将来の治療の成果が左右される大事な仕事

Q7. どういう人がこの仕事に向いていると思いますか?

最近まで看護師をしていたのでその違いで言うと、看護師は日勤と夜勤の間に引き継ぎがあり担当者が交代しますが、治験コーディネーターの仕事は引き継ぎがなく、その患者さんの治験が終わる何年もの間、責任を持って担当することになります。また複数の患者さんを長期的にフォローする中で並行してさまざまな治験を担当するため、頭の切り替えも必要とされます。

採血のデータ次第で薬の承認結果や将来の治療方法の確立が左右されるので、より正確なデータを取らないといけないという責任の重さがあります。手順通りに細かく進めることが大切な仕事なので、目の前にいる患者さんに集中していた看護師時代とは違った気の張り方があります。一緒に働いているコーディネーターさんたちを見ていても細かくきっちりしている人が多く、そういう人が向いていると思います。


Q8. 高校生に向けたメッセージをお願いします

就職を考える際はどの企業に入るかを目標にしがちですが、考えてみたら20歳くらいからそれまで生きてきた倍くらいの年数働かないといけないわけで、就職先だけを目標にすると入社したという達成感で目標を見失うこともあると思います。

医療業界もそうですがいろんな働き方があるので、その仕事をどう発展させていくかを働きながら考えていけば良いと思います。薬剤師や臨床検査技師、栄養士、看護師などを経て治験コーディネーターになる人もいますし、看護師から看護教諭や特定分野の専門看護師になる人もいます。「合わなかったらもうダメ」ではなく、就職してから定年するまでの約40年間をどう使うかと考えれば、就職に対する考え方は変わってくるのではないでしょうか。


神戸さんが行っている抗がん剤の治験は、健康な人に行う治験以上にプレッシャーが大きいものであるかもしれません。中立的な立場に徹することの難しさもあります。でも冷静に客観的に物事を見るのが好きな人には、そうしたプロフェッショナルな仕事ができることにやりがいを感じるのではないでしょうか。


【profile】がん研究会有明病院 臨床試験・研究センター 神戸萌(かんべ もえ)
HP:http://www.jfcr.or.jp

この記事のテーマ
医療・歯科・看護・リハビリ」を解説

医師とともにチーム医療の一員として、高度な知識と技術をもって患者に医療技術を施すスペシャリストを育成します。医療の高度化に伴い、呼吸器、透析装置、放射線治療などの医療・検査機器の技師が現場で不可欠になってきました。専門的な技術や資格を要する職業のため、授業では基礎知識から医療現場での実践能力にいたるまで、段階的に学びます。

「医療・歯科・看護・リハビリ」について詳しく見る

この記事で取り上げた
「治験コーディネーター」
はこんな仕事です

医薬品や医療機器の販売にあたっては、法に基づく承認を得るための「治験」という検査が行われるが、実施のための事務、調整など医療行為や判断を伴わない業務を行う仕事。「CRC(Clinical Research Coordinator)」の略表記でも知られる。治験業務フローの作成に始まり、関連部門の調整、試用のための被験者対応(同意説明・相談受付など)、治験担当医の補助、依頼企業への報告など、治験全体に関わる重要なポジションである。特別な資格は必要ないが、看護師・薬剤師・臨床検査技師の資格があれば役立つ。また関連団体による認定試験もある。

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