【シゴトを知ろう】牧師・神父 ~番外編~

横浜市にある栄シャローム福音教会で牧師を務める小山英児さん。今回、クリスチャンに関する素朴な疑問や、現在取り組まれている活動について伺いました。
この記事をまとめると
- 神父と牧師という呼び名の違いは、宗派の違いによるもの
- 牧師は徹底した受け身の存在である
- 牧師は人によってさまざまな幅広い活動をしている
神父はカトリック、牧師はプロテスタント
――小山さんは牧師さんとのことですが、神父さんとはどこが違うのでしょう?
キリスト教には幾つかの宗派があり、神父はカトリックという宗派の聖職者の呼び名で、司祭とも呼ばれます。一方でプロテスタントという宗派の聖職者のことは牧師と呼びます。この2つの宗派の大きな違いは、ヒエラルキー(階級)があるかないかですね。カトリックにはローマ教皇を最高権威者としたヒエラルキーがあり、プロテスタントの牧師にはありません。
――神父さんは生涯独身が定められているとお聞きしました。牧師さんの場合はどうですか?
カトリックの神父が生涯独身なのは、信徒の身に何かがあった時に妻や子供がいないからこそ身を賭すことができるためだという話を以前聞きました。
プロテスタントでは、ごく普通の人間の経験をすることで人の喜びや苦しみを知ることができるという考えから、牧師の結婚はむしろしたほうがいいとされています。
――日本において、キリスト教の他の宗派はどういった関係性にあるのでしょうか
横のつながりはあります。「アルファ・コース」という、キリスト教の基本を学ぶ勉強会は宗派を超えていろいろな場所で開催されています。また2017年はかつて宗教改革を行ったルターの改革500周年ということで、宗派を超えた大規模な行事が企画されています。
いろいろな考え方はありますが、キリスト教の基本精神が「愛、ゆるし、平和」であることは共通しています。その部分で共鳴できると思っています。
牧師は神様あっての存在
――牧師は、徹底的に受け身の存在なのですね。
牧師は神様あっての存在ですから、神様がやれといったらやりたくないことでもやりますし、やれといわれなければやりません。
毎週の礼拝での説教も思いついたことを適当に喋っているのではなくて、神様に与えられたことを語っています。ですからその与えられたことの本質をキャッチするまではいつも本当に苦しく悩ましいです。
――牧師さんは、お坊さんのような修行はあるのですか
ありませんね(笑)。修行というのは、何かを「得たくて」することですよね。キリスト教ではイエス様が十字架にかけられたことで全てが完成しているので、さらに得るために何かをするということはありません。私たちは祈りますが、願いを叶えてもらうために祈るわけではありません。
バングラディッシュでの新たな役割
――今、小山さんはどのようなことに取り組んでいるのですか?
縁あってバングラディッシュにある「Home of peace(ホーム・オブ・ピース)」というクリスチャンの孤児院の支援活動をしています。
バングラディッシュは国民のほとんどがイスラム教徒で、キリスト教徒は迫害されています。クリスチャンだと学校も追い出されてしまうような状態です。貧富の差が激しく、子供の身売りも後を絶ちません。
そのような中クリスチャンの子どもたちに衣食住を保証し、教育と生きて行くための職業的技術を与える学校を立ち上げました。
小山さんは自分発信の目標や欲望といったものによって行動決定をするのではなく、一貫して受け身の姿勢をつらぬかれていました。そうでありながら実にいきいきと楽しそうに牧師として活動している姿に、牧師の本質を感じ取ることができますね。
【profile】栄シャローム福音教会 主任牧師 小山 英児
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バングラディッシュの孤児院「ホーム・オブ・ピース」
事務局:横浜市栄区上郷町107-1 栄シャローム福音教会内 ホーム・オブ・ピース支援会
TEL 045-891-5333
Eメール sakaeshalom@jcom.zaq.ne.jp
HOP支援会のフェイスブック・ページはこちら
この記事のテーマ
「教育」を解説
教育機関や子ども向けの施設で、教育指導に関わる仕事です。小・中学校や高等学校の教員をめざす場合、大学や短期大学の教職課程で学ぶ必要があります。提携する大学や短期大学の通信教育を受けて、教員免許状を取得できる専門学校もあります。希望する職種により、必要な資格や免許が異なります。
この記事で取り上げた
「神父・牧師」
はこんな仕事です
カトリック教会の司祭を「神父」と呼び、バチカンのローマ教皇を頂点とする組織に属し、キリストの使徒から代々継承している位階(司教・司祭・助祭)がある。一方、プロテスタント教会の場合は「牧師」と呼ばれ、「神父」のように使徒から継承している聖職、位階という特別職のような感覚は薄く、教会活動のリーダー的な存在。「神父」はミサを、「牧師」は礼拝を執り行うことが主な役割。いずれも大学の神学部や神学校に進学し、旧約聖書、新約聖書、カウンセリング、教会音楽などを学び、キリスト教精神と専門知識を深めて職に就くことになる。