【シゴトを知ろう】染織家 ~番外編~

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【シゴトを知ろう】染織家 ~番外編~

2017.02.03

提供元:マイナビ進学編集部

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【シゴトを知ろう】染織家 ~番外編~

「テキスタイル造形作家」の肩書きで長年活動している染織家の雨山智子さんは、高校や大学などの講師という顔も持っています。二足のわらじを履いてきて感じること、作品作りにおいて大事にしていることなどについて伺った他、将来芸術方面へ進みたいと考えている人へのアドバイスもいただきました。

この記事をまとめると

  • 手法もモチーフも人それぞれ。作家によって異なる染織の世界
  • 染織家と講師、2つの顔を持つからこそ伝えられることがある
  • 自分で納得できる作品が人からも評価される。それが作家としての喜び

工作みたい!? 作品作りの手法は十人十色

――雨山さんの作品について教えてください

私の作品は、染めた布を造形的に組み合わせてパネル仕立てにしたものです。いわゆるタペストリー(壁など室内を装飾するための織物)のようなものですね。布に写真を出力して、それにグラデーションをプリントした布を重ねて二重仕立てにするんです。違う色、素材の生地を重ねることによって、糸の色が重なったように見える効果を狙っています。

使うものは、シルクスクリーンの大きな枠、顔料とバインダー(※1)、スクイージ(※2)、大きな台とボード、木製パネルです。
最初にボードをいくつかのパーツに切っておきます。次に布をどんどんプリントしていって、キルティング綿を貼ったボードをその布で包みます。そして、パズルみたいに木製パネルへ再構築します。縫ったりすることもなく、作業としてはとても工作的ですね。

※1 バインダー:繊維に顔料を固着させるための接着剤のようなもの
※2 スクイージ:インクを刷るためのゴム製のヘラ


――染織家として活動するにあたって、普段から気をつけていることはありますか?

自然や植物を主なモチーフ(題材)にしているので、出かけるときや外を歩くときは、作品のモチーフになるものは無いか見渡していますね。自転車に乗っていても、空が気になったりして危なっかしいこともあります(笑)。

それから、いろんな作品を積極的に見るようにしています。少し前までは、服飾と自分の作品は別物だと思っていましたが、最近は、服の素材に新しい工夫が多く、服飾にも関心を持つようになりました。

回り道は無駄にはならない! いろんな経験も芸術には必要

創作中の雨山さん。パーツを複数作り、この後再構築して一つの作品に仕上げる

創作中の雨山さん。パーツを複数作り、この後再構築して一つの作品に仕上げる

――雨山さんは長年、染織家と教職を並行して続けていますが、どちらかを辞めようと思ったことはありませんか?

染織家として活動を始めて3、4年目ごろ、制作がおもしろくなって教師を辞めようと思ったことがあります。目指していた「制作してそれが仕事になる」ということが実現し始めた時期でした。
でも、常勤の教師ではなく、講師として残ることを提案していただいたのでとどまることができました。

そして今は、学校に勤めていることがむしろ自然で、励みにもなっています。こうすべき、ああすべき、と思っていた若い頃と違って、自分にもゆとりが生まれてきたので、今の私だから伝えられるものがあると思っています。


――芸術方面へ進みたいと思う高校生は、やはり美術系の大学に行くべきだと思われますか?

必ずしもそうとは言い切れないと思いますよ。私も大学では家政学部へ進み、染織とは直接関係のないこともいろいろやりましたが、無駄ではなかったと思っています。私のような制作スタイルの場合、建築などの知識もある程度必要ですし。
もちろん、最初からテキスタイル(染織)を学ぶと決めて美術系の大学へ進んだ人と比べると、「スタートが遅いな……」という負い目を感じていたこともありました。でも、2年や3年の違いはこの歳になると何の関係もありません。

「自分の納得できる作品=仕事」が、一つの理想的なスタイル

病院に飾られている雨山さんの作品。ホテルや個人邸など、さまざまな場所で人々の目を楽しませている

病院に飾られている雨山さんの作品。ホテルや個人邸など、さまざまな場所で人々の目を楽しませている

――染織家のキャリアパスについて教えてください

納得できる作品を作ることができ、かつそれが仕事として成立することが、染織家としての成功の形だと思います。
染織にも、伝統工芸・現代アート・建築・ファッション・ハンドクラフト(手工芸)など多くの領域がありますが、一人で全てを網羅することはできません。その人が積み上げてきたキャリアを生かして、制作活動や仕事へとつなげていくことが大切だと思います。

若い頃ギャラリーのオーナーに、「著名な作家や専門の先生に認められるのはうれしいことだけれど、自分の作品を好きだと言ってくださる一般の方を大切にしなさい」と言われたことがあります。作家として活動するときにとても大事な考え方だと、今でも胸に刻んでいます。


――これからも染織家として活動を続けていきたいとお考えですか?

染織はもちろん一生続けるつもりです。本当は染織以外にも、編み物や刺しゅう、洋裁なんかもやりたいと長年思っているんです。でも、依頼をいただいて作品を制作している今はまだ、それをするとサボっているような気持ちになってしまって……。ゆくゆくは、自由になんでも作れるようになれたらいいなと思います。

高校生の頃には、自分で革のペンケースを作って使えるというだけでワクワクしていました。そんな純粋な気持ちで、もの作りを一生楽しんでいきたいですね。当面は、仕事としての制作とバランスをとりながらやっていきたいと思っています。


大学卒業後、染織家として作品を発表するまでにブランクがあったり、講師としての顔も持っている雨山さん。その全てが必要な要素であり過程であったと話してくださいました。
夢中で一本道を突き進むことも大事ですが、ちょっと寄り道や回り道をすることも、決して無駄にはなりません。特に芸術方面においては、それが作品に奥行きや広がりを与えることにもなるようです。
進みたい道が決まっている人も迷っている人も、どんな選択をしたとしても、無駄に見える経験も糧に変えられる余裕を持っていたいですね。


【profile】テキスタイル造形作家 雨山智子

この記事のテーマ
ファッション」を解説

ファッションの専門知識や業界のビジネスノウハウを学び、感性やセンス、基礎技術を磨きます。作品の発表会や学外での職業実習などを通して職業人としての実践力を身につけるほか、資格取得を目指すカリキュラムもあります。仕事としては、素材づくりや縫製など「つくる仕事」と、PRや販売促進などファッションビジネスに関わる仕事に分かれます。

「ファッション」について詳しく見る

この記事で取り上げた
「染織家」
はこんな仕事です

染め物には、型染め、捺染、注染、ろうけつ染め、シルクスクリーンプリントなど、多様な技法があって染料の種類も多い。織物が持つ表現力と可能性は奥深く、縦糸に横糸を通して生地に仕立てるものだが、糸を変えることで繊細な柄を描くことも可能。織物や染色、物づくりに関心が高く、緻密な作業の積み重ねが好きな人に向く職業。美術系大学や専門学校の工芸科などを経て、全国各地の工房で活躍する人が多い。独自の色合い、風合い、センスを確立し、作家や講師として人気を得る人もいる。

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