【シゴトを知ろう】和裁士 ~番外編~

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【シゴトを知ろう】和裁士 ~番外編~

2017.02.02

提供元:マイナビ進学編集部

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【シゴトを知ろう】和裁士 ~番外編~

彦根由美さんは独立した和裁士として、お客様と直接打ち合わせや採寸をして反物を預かり、着物に仕立てる仕事をしています。着やすさを重視したこだわりの採寸や、色柄の合わせ方のセンスが評判を呼び、リピートする方や遠方から来られるお客様も多いそうです。和裁士としての新しい成功例をつくった彦根さんに、その考え方や秘訣について伺いました。

この記事をまとめると

  • 専門分野のほかにも得意分野があると掛け合わせて独自の強みにできる
  • ブログやSNSのこまめな更新が営業活動になる
  • 広いスペースも高額な初期費用もかからないのが和裁士の仕事の魅力

“布好き”のお客様も多い

――彦根さん自身もよく着物は着られるのですか?

採寸などでお客様とお会いするときは必ず着ます。和裁士の中では年齢が若いほうでお客様も年上の方が多いので、少しでも安心していただくためという理由もあります。着ているうちに、だんだん自分の好きなスタイルや着方がわかってきました。


――自分で着る着物の生地はどこで買うことが多いですか?

原宿の古着屋の着物コーナーで古着の着物を買い、洗って仕立て直すことが多いです。骨董市も好きでよく覗きます。お客様はネットオークションなどで新古品を買う人も多く、布集めにはまっている人は多いですよ。でも買った布を仕立ててもらえるところがあまりなくて、ネットで検索してうちに来られる方が多いんです。うちはどこよりも採寸にこだわっているため、地方から仕事ついでに来られるお客様もいます。

――この仕事をするうえで何か制限されることはありますか?

修業時代は反物を汚さないよう化粧が禁止されていました。私はそれ以来、ファンデーションを塗る習慣がなくなり、リップメイクもせず、アイメイクのみで仕上げるようになりました。また、手縫いなので爪が長いと邪魔になります。針を爪で押す作業が多く爪の一部がボロボロになるので、ネイルをしてもすぐに剥げてしまいます。


――IT業界の経験で今に活きていることはありますか?

自分でWebサイト作成ができるので、そこにお金がかからないことは大きいです。和裁とITの両方をできるのが自分の強みだと思っています。私のITの知識は今の業界の方からするとたいしたレベルではありませんが、アナログな和裁業界では武器になります。


――Webサイトの更新作業も大切な仕事の一つですよね

更新はこまめに行っています。ブログでもFacebookでもいいので、そうした作業ができることもフリーランス和裁士には必要です。営業活動に時間を割かなくていい分、相当ラクになりますから。

リアルな営業活動としては、着物を着て集まるプライベートな交流イベントに名刺を持って遊びに行ったりしています。話が弾めば名刺をお渡しして、そこから後日仕事につながることもあります。表に出て人と話をするのが好きな人なら仕事はすぐに増えますよ。

消去法で考えたらやりたいことがわかった

――25歳で会社を辞めて和裁士を目指そうとしたとき、不安な気持ちはありませんでしたか?

確かにありました。上司にも止められました。そういうことができそうにないタイプだと思われていたようです (笑)。でも、私としては外堀を埋めるつもりで慎重に進めました。あちこちの和裁学校に見学に行き、最初は3時間座って縫ってみて、次は一日体験を試してみて……と段階を踏んで確信を得られてから決めたので、会社を辞める段階ではもう迷いはありませんでした。

――25歳で先を見据えた方向転換ができたというのは、何か強いモチベーションがあったのでしょうか

「30年後にこうなっていたい」というおばあちゃん像を描いたときに、子どもを生んで育てた後もできる仕事が良いと思ったんです。そのためには30歳くらいで独り立ちする必要があり、ものになるまで5年はかかるだろうからと逆算すると25歳で始めなければ、と思ったんです。

私は「これがやりたい」というタイプではなく消去法で考えるタイプなんです。ファッションは好きだけど、洋服のデザインはできません。でも布は好きで手先は器用だから、和裁士ならできるんじゃないかと。消去法で考えたからこそ動けました。天職かどうかはまだわかりませんが、やってみたら意外とうまくいったんです。もちろん辛い修行時代を乗り越えないといけませんでしたが……。


――修業時代はやはりそれほどに辛いものですか?

服飾系の学校のつもりで行くとくじけると思います。行くなら丁稚奉公(でっちぼうこう)の覚悟が必要です。私も修業時代は年間100枚くらい縫っていました。短期間で技術とスピードを習得するために必要な期間ではあるのですが、腰、首、手首、肩を痛めやすい作業なので、腱鞘炎(けんしょうえん)やヘルニアになって途中で辞めてしまう人もいました。

――それでも結婚・子育て後も続けられるというところに興味を持つ女性は多いかもしれませんね

和裁士の仕事は技術の形が何十年経っても変わらないので、育休などを挟んでも、肩慣らしさえすれば置いていかれることはありません。独立すると言っても3畳ほどのスペースがあればよくて、高額な道具も必要なく初期費用がかからないのも良いところなんです。


――和裁士として活躍するためにはどんな心構えが必要でしょうか

たとえば、おばあちゃんから譲り受けた羽織や着物を自分で着られるように仕立て直したいというお客様が多いのですが、それは手間のかかる作業のため国内の和裁士にしかできない仕事なんです。そういった面倒なことや難しいことができるようになれば仕事に困ることはないと思いますよ。


「どんなおばあちゃんになっていたいか」という理想の将来像から逆算して人生設計を立て、できないことを消去法で消して今の仕事に出会った彦根さん。将来何をしていいかわからないという人には、このような考え方があることも参考になりますね。


【profile】仕立て屋【*ツキヒコ*】  彦根由美
HP:http://www.tsukihiko.com

この記事のテーマ
ファッション」を解説

ファッションの専門知識や業界のビジネスノウハウを学び、感性やセンス、基礎技術を磨きます。作品の発表会や学外での職業実習などを通して職業人としての実践力を身につけるほか、資格取得を目指すカリキュラムもあります。仕事としては、素材づくりや縫製など「つくる仕事」と、PRや販売促進などファッションビジネスに関わる仕事に分かれます。

「ファッション」について詳しく見る

この記事で取り上げた
「和裁士」
はこんな仕事です

和裁とは和服裁縫の略。依頼主から反物を預かって着物や羽織にしたり、仕立て直したりするのが仕事。和服は洋服と違って複雑な形の型紙や立体裁断などがない。しかし、寸・尺単位での寸法の測り方から始まり、反物を切って着物にした時の柄合わせ、印付け、縫う順序など、いくつもの工程を覚える必要がある。また、仕立てだけでなくお直しや丸洗い、シミ抜きなどを受注する場合もある。働く場所は呉服店や和裁所などが多い。「和裁技能士」「和裁検定」といった資格への挑戦も技術の向上につながる。

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