【シゴトを知ろう】臨床心理士 編

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【シゴトを知ろう】臨床心理士 編

2017.01.26

提供元:マイナビ進学編集部

【シゴトを知ろう】臨床心理士 編

近年は学校や病院などでもカウンセラーの先生が常駐することが増え、その存在は身近なものになってきました。臨床心理士とは、臨床心理学にもとづいた知識や手法を使って、私たちの「心の問題」にアプローチする、いわば心の専門家。中高一貫校のスクールカウンセラーとして、また神経内科クリニックのカウンセリング室で働く臨床心理士のEさんに、カウンセラーのお仕事について詳しくお伺いしました。

この記事をまとめると

  • カウンセラーは「クライアント自身が答えを見つける作業」のお手伝いをする仕事
  • クライアントから聞いた悩みや相談は絶対に口外しない
  • 内向的で自分への興味が強い人、自分を深く掘り下げられる人が向いている

カウンセリングは、クライアント自身が自分で答えを見つける作業

Q1. 仕事概要と一日のスケジュールを教えて下さい

現在はカウンセラーとして2つの職場に勤務をしています。1つは私立の中高一貫校のカウンセリング室で、生徒・保護者・教職員向けのカウンセリングを行っています。もう1つは、心療内科のクリニックに併設されているもので、カウンセリングが有効かもしれないと判断された患者さんがドクターから紹介されて来院するカウンセリングルームです。

学校の方は思春期真っただ中の子どもたちということもあり、友だちや部活、家族に関する悩みが中心ですね。基本的に予約制ではありますが、泣きながら駆け込んでくるような急を要するケースもあり、50分のカウンセリング時間を短縮して多めに人数を詰め込むこともあります。場合によっては先生方と連携をするなど、比較的アクティブな動きを求められる仕事です。教室に通うのは無理でもカウンセリング室なら登校できるという生徒たちもいますし、お弁当だけ食べにくる子もいますし、いろいろですね。

カウンセリングというと、「カウンセラーが何か答えを出してくれるのではないか」と期待して来る方がいるのですが、これは大きな間違い。カウンセリングを受けるというのは、自分で気づき、自ら答えを見つけて解決していくという能動的な行為です。カウンセラーは、あくまでもその作業をスムーズに進めるお手伝いをする仕事です。

<一日のスケジュール>
学校でのカウンセリングの場合
10:00 出勤、残務処理やメールチェック、カウンセリング準備
10:30 50分刻みでカウンセリングが入る
12:20 昼食(カウンセリング室登校やお弁当だけ食べにくる生徒と一緒に。昼休みカウンセリングが入ることもある)
13:00 午後のカウンセリング
15:00 放課後のカウンセリング(1コマ50分取れないことも)
17:00 教職員たちのカウンセリングや先生方への報告
18:30 日報記入(時間がない場合は持ち帰り)、退勤


Q2. 仕事の楽しさ・やりがいは何ですか?

悩みや問題を抱えているクライアントさんが、カウンセリングを通じて少しでも問題と向き合えたり、解決への糸口を見つけた時でしょうか。

現在カウンセリングには数百種類の手法があると言われていて、「認知行動療法」に代表される比較的短期間で成果が出やすいものから、精神分析のように年単位でゆっくりと問題に向き合うものまでさまざまです。私はどちらかと言うと分析的なカウンセリングが専門で、先日10年以上カウンセリングを担当してきたクライアントさんとの面接が終了しました。始めた当時は高校生だった女の子も、今は立派な大人の女性に成長し、その人と一緒に人生を歩んだような感慨深さがありました。途中厳しい局面も何度かあったのですが、生き生きとした今の彼女の姿を見た時には、「少しは役に立てたのかな」と嬉しくてやりがいを感じましたね。


Q3. 仕事で大変なこと・辛いと感じることはありますか?

カウンセリングには正解がないので、常に「あのやりとりでよかったのか」という自問自答をくり返しますし、予想に反してうまくいかない時など、落ち込んだり悩んだりすることもしょっちゅうです。当然ながらクライアントの具体的な悩みやカウンセリングの内容は絶対に口外できないので、人に相談することもできずに独り悶々としますね。でもこれはカウンセラーが自分で抱えるべきものだとも思っています。悩みというのは、ただ吐き出せばよいというものでもないので、モヤモヤとしたものを抱えながら本を読み漁ったり、手芸に没頭してみたり、書きものをしながら気持ちを整理しています。そして、自分自身を振り返るための相談時間(スーパービジョン)を恩師やベテランの先生に依頼し、客観的に面接状況を捉える機会を持つことも大切にしています。

もがき苦しんできた経験が、人に寄り添う気持ちを教えてくれた 

Q4. どのようなきっかけ・経緯でその仕事に就きましたか?

中学2年生の時には「自分には上司の指示を仰いで仕事をこなすような会社勤めはできないだろう」と漠然と思っていました。私はとにかく集団生活というものが肌に合わずに、人といると無理して明るく振る舞って、その反動で苦しむという毎日でした。そんな私を母も持て余していたようで、母が図書館から借りていた『思春期女性の心理療法(菅佐和子著)』という本を、何気なく私も手に取って読んでみました。母子の葛藤などをケーススタディ形式で紹介している本なのですが、「自分だけじゃない」ととても心強く思ったのと、「こんな風に人の心をサポートする仕事があるんだ」と嬉しくなったのを覚えています。その時に心理学系の仕事に就きたいと思ったのがきっかけですね。

大学に心理学の学科があるところを探し、その大学附属の高校へ進学しました。大学では“家族療法”の専門の先生に出会えたおかげで、自分という存在を少し俯瞰(ふかん)して客観的に見られるようになって救われました。家族療法というのは、簡単に言うと「起こった問題を個人そのものでなく家族のものとして考える心理療法」のことです。確かにさまざまな問題の根は家族にあることも多く、私自身のテーマも自分の家族にあると思っているので、この先生との出会いにも大きく影響を受けました。


Q5. 今の仕事に就くために大学院でどんなことを学びましたか?

大学院では、より専門性の高い勉強ができるようになり、後半では実際にクラインアントと会って実践形式で学ぶことができるようになりました。その辺りから、少しずつ自分のなかにカウンセラーとしての自覚や、クライアントに対する責任が芽生えきた気がします。

臨床心理士になるには心理学系の大学院まで進まないといけないのですが、60人ほどいた大学の心理学科の学生も、院まで進んだのは私を入れて5~6人で、残りは普通に就職していきましたね。大学院では6割が同世代の人でしたが、残りの4割は一度は社会人になったけれど、どうしても学び直したい人や子育てを終わった中高年の女性などでした。今は大学院を卒業すれば、すぐに臨床心理士の受験資格は与えられるようですが、当時は卒業後に2年間の実務経験が義務付けられていたので、必死で働き先を探しましたね。


Q6. 高校生の時に抱いていた夢が、現在の仕事につながっていると感じることはありますか?

中学、高校、大学と「自分は何者でもない」という苦しさを抱えて生きてきた私が、仕事を通してクライアント(相談者)さんに会って話をするようになって、やっと「自分の人生を選べている」「納得できる選択ができた」と感じられるようになりました。
その長らく苦しんだ経験がなければ、悩んで私のところを訪れてくれる人たちの気持ちに共感し、寄り添うこともできなかったですし、そもそもこの仕事に就くこともなかったはず。高校生のときにもがき苦しんできたことが、今の仕事に確実につながっていると思います。

夢と言えば、小さい頃からずーっと自分のなかに、アリジゴクのようなところにずぶずぶと自分が沈んでいくイメージがあって、時々夢でも見ていたのですが……仕事をするようになってから、やっとその穴のようなものが埋まって沈み込むような感覚はなくなってきましたね。質問にある「夢」とはちょっと違いますが。

自分を深く掘り下げる苦しさを、いとわない人が向いている

Q7. どういう人がこの仕事に向いていると思いますか?

内向的な人、興味の対象が自分自身の人、「自分って一体何者だろう?」とか「生きるというのはどういうことだろう?」といった問いかけを、自分に対してできる人が向いていると思います。自分を深く掘り下げて考えることは、誰にとっても苦しくて辛いことで、どんどん煮詰まってしまうもの。でもそのドロドロとした煮詰まった何かを、自分なりに抱えながら歩いているうちに何か大切なものを発見したり、ふっと上昇できることがあります。そんな風に、泥水から自力で這い出てくるような経験がある人とない人では、カウンセリングをするときに差が出てしまうような気がします。

時々「人の助けになる仕事」として臨床心理士を挙げる人がいるのですが、そんなヒーローのような仕事では全くありません。もがき苦しんでいる人のちょっぴり先を歩いている人、ちょっぴり上から見ている人、くらいの感じですね


Q8. 高校生に向けたメッセージをお願いします

今好きなことが見つかっていなくても、迷うことを大切にしてください。自分が進むべき道は、人からは提供してもらえません。失敗を恐れず、無駄を嫌がらず、すべて収穫と思うこと。好きなことが見つかるタイミングは必ず来ますから、きちんとアンテナを張ってじっくり探してくださいね。

そして、もし心理学に興味がある人がいたら、大人になるうえでとても役立つ、無駄にならない学問なので、ぜひ選択肢の一つに加えてほしいと思います。


カウンセリングとは、答えを教えてもらえるものではなく、受ける側が自分で問題に気づき答えを探す作業。自分自身を掘り下げていくのは、きっと痛みを伴う苦しい作業だと思いますが、真剣に自分に向き合うことでしか解決できないのが心の問題なのですね。そんなクライアントを支え、寄り添いながら一緒に進む臨床心理士というお仕事は、実は同じように悩み苦しんできた人こそが向いていると、Eさんは言います。カウンセリングを受けることは、なにか特別なことのように感じている私たち。でも自分の心を見つめることは、もっと日常的になってもいいことなのかもしれませんね。


【profile】臨床心理士 Eさん

この記事のテーマ
医療・歯科・看護・リハビリ」を解説

医師とともにチーム医療の一員として、高度な知識と技術をもって患者に医療技術を施すスペシャリストを育成します。医療の高度化に伴い、呼吸器、透析装置、放射線治療などの医療・検査機器の技師が現場で不可欠になってきました。専門的な技術や資格を要する職業のため、授業では基礎知識から医療現場での実践能力にいたるまで、段階的に学びます。

「医療・歯科・看護・リハビリ」について詳しく見る

この記事で取り上げた
「臨床心理士」
はこんな仕事です

臨床心理士は、相談者が心の問題を解決できるようにサポートをする職業。アセスメント(臨床心理査定)、カウンセリング(臨床心理面接)、コンサルテーション・リエゾン(臨床心理的支援)といった臨床心理学に基づいた知識や技法で相談者をサポートする。取り扱う相談は、家庭や子育ての悩み、学校や職場での悩みなどさまざま。病院や福祉センター、介護施設、児童相談所などで活躍している。また病院や福祉施設以外にも、企業のカウンセラーとして活躍する臨床心理士もいる。

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