【シゴトを知ろう】触育士 編

人は、人の手に触れてもらうことで安心感を覚え、リラックスすることができます。お母さんが泣いている赤ちゃんのほっぺをなでたり、抱きしめてあげたりすると泣き止みますよね。このような、人の体に触れて自然治癒力を引き出すヒーリング法を、タッチセラピーといいます。
今回は、タッチセラピー協会事業部長 塩谷幸美さんに、触育士のお仕事内容や魅力についてお話を伺いました。
この記事をまとめると
- 子育てに「タッチセラピー手波法」を取り入れるお母さんが増えている
- 体は「暖かい」「心地いい」という快感覚を感じると、一番いい状態に戻ろうとする
- 触育士はタッチセラピー手波法を通して、人の体に触れることで癒しを与えたり、手法を教える仕事
手で触れるだけで心と体を癒して育むタッチセラピー
Q1. 仕事概要と一日のスケジュールを教えて下さい
私は「タッチセラピー手波法」という手法を通して、手で触れるだけで心と体を癒し、育む「触育」を伝えています。体には「暖かい」「心地いい」というような快感覚を与えることで、一番いい状態に戻ろうとする力があります。個人の方へのセラピーでは、心と体の不調を和らげるだけでなく、不調の根本的な原因に気付くためのお手伝いをさせていただきます。
子育て中の母親向けに、タッチセラピー手波法を子育てに取り入れた母と子のタッチセラピー講座も開催しています。「三つ子の魂百まで」のことわざにもあるように、妊娠中~3歳までの環境はとても大切です。触育で子どもの心と体の自立を促し、自己肯定感を育んでいくためにも、母親自身が軸とゆとりを持つことの大切さをお伝えしています。
<ある一日のタイムスケジュール>
04:30 起床。メールチェック、ブログ更新、資料作成
07:00 朝食、子どもの登校・登園準備
09:00 自宅サロン準備
10:00 母と子のタッチセラピー講座スタート
12:00 片づけ~昼食休憩~午後のセッション準備
13:30 タッチセラピー個人セッション
15:00 長男帰宅、事務処理、メールチェック、
16:30 次男お迎え 夕食作り、家事全般
18:30 夕食、子どもとの時間
21:00 子どもと一緒に就寝
Q2. 仕事の楽しさ・やりがいは何ですか?
初めてお会いしたときに、少し沈んだ表情や姿勢だった方が、タッチセラピーを体験した後に、表情がスッキリと変化されたり、体だけでなく心も前向きになられた様子を見ると、とてもうれしく思います。家族にタッチセラピーをしたいと学びに来てくださる方も多く、「おうちでタッチセラピーをすると主人とゆっくり話ができました」「子どものグズグズが減りよく眠るようになりました」と家族の融和が広がっていく様子を伺うことが何よりの楽しみです。
Q3. 仕事で大変なこと・辛いと感じることはありますか?
長男が3歳、次男が1歳のときに触育士の仕事を始めました。次男が入園するまでは母と子のタッチセラピー講座を中心に、次男を連れて活動していました。最初は子育てとのバランスに悩んだり、自分の未熟さに落ち込むこともありました。「どうやったらできる?」と考えながら、息子たちに毎晩タッチセラピーをし、仕事の時間は仕事に、子どもたちとの時間は子どもたちに集中することができるようになると、うまくバランスがとれるようになりました。
今では、息子たちが一番の応援者になってくれています。
ビジョンヨガとの出会いをきっかけに触育士の道へ
Q4. どのようなきっかけ・経緯で触育士の仕事に就きましたか?
7年前「ビジョンヨガ」に出会い、その先生がアロマトリートメントセラピストの育成をされていました。ちょうど子どもの成長をそばで見守りたい、と思っていたところでしたし、これなら子どもと一緒に家で仕事ができると考え、教えていただくことにしました。そのアロマトリートメントのベースとなるのがタッチセラピー手波法でした。
最初の1年間は徹底的にビジョンヨガでこわばった心と体を緩めて、体の感覚を磨いていきました。そうすると、少しずつ自分が今どう感じているのかが分かるようになり、閉じていた皮膚感覚が開いていくようでした。そこから、さらに1年かけて友人や家族を相手にモニターを重ね、ようやく触育士として認定をいただくことができました。
Q5. 大学では何を学びましたか?
大学時代は、ウェディングプランナーを目指していました。大学では、人間関係学科で社会学を学び、並行して着物の着つけやプランナーになるための専門学校の夜間コースに通いました。接客業の厳しさを学び、どんな結婚式を挙げたいのかヒアリングし、プランニングしていくことはお客様のニーズ(要望)を知り、講座を組み立てていく過程と似ています。
また、ウェディングプランナーをしていた経験から、人前で話すことも抵抗がなくなりましたし、イレギュラーなことが起こっても迅速に対応できる力、動揺しない精神力が育まれてきたと思います。
Q6. 高校生のとき抱いていた夢が、現在の仕事につながっていると感じることはありますか?
こんな職業に就きたいという具体的なものはありませんでしたが、とにかく「人を喜ばせることをしたい、役に立つことをしたい」と思っていました。高校時代は弓道部に所属し、部活一色の毎日でした。弓道で培った姿勢や集中力、そしてコントロールしようとせずに無心になることは、タッチセラピーをする上で生かされていると思います。
ワクワクすることはなんでもやってみて!
Q7. どういう人が触育士の仕事に向いていると思いますか?
まず、人が好きであること。そして、自分の周りの人を大切にできる方が向いていると思います。人の体に触れるので、まず自分自身が整っていることが大事です。心と体のメンテナンスを通して、自分のことを大切にすることも触育士に必要な要素だと思います。
Q8. 高校生に向けたメッセージをお願いします
自分が興味のあること、ワクワクすることはなんでもやってみるといいと思います。直接関係がないように見えても、何一つムダではなく、いろんな経験がきっと将来につながっていきます。いろいろな経験を積んでいく上で、私が大事だと考えているのは、「自分の感覚に素直でいること」「自然に触れ、五感を磨くこと」「人がいいというものだから、ではなく自分自身がどう感じるかを大事にすること」「心と体の緊張を緩めること」といった感覚です。自分に触れて、体の声に耳を傾け、自分の気持ちを大切にしながら過ごすことが、やりたいことを見つける近道になるはずですよ。
タッチセラピーや触育という言葉は、みなさんにはあまりなじみがないかもしれませんが、子育て中のお母さんたちの間では注目度が上がっています。「体に触るだけで癒されるの?」と思うかもしれませんが、一度やってみるとその効果に驚くと思いますよ。人の体に触れることで、愛情を分け与えるという意味もあるのでしょう。触育士の仕事に興味が湧いた人は、まずは、身近にいる人と触れ合って、その効果を実感してみてくださいね。
【profile】タッチセラピー協会事業部長 塩谷幸美
http://la-sophia.co.jp/wp/tenami/
この記事のテーマ
「エステ・ネイル・リラクゼーション」を解説
ネイリストやエステティシャンといった美容のスペシャリスト、アロマテラピストなどリラクゼーションのスペシャリストとして活躍する仕事です。いずれも高いホスピタリティや接客能力が求められるだけでなく、自ら学び続け、新しい技術やトレンドを取り込む好奇心やセンスが必要となります。
この記事で取り上げた
「そのほかのエステ・ネイル・リラクゼーション系の職業」
はこんな仕事です
エステやリラクゼーションの中に、「腸セラピー」を行う「バウエルセラピスト」がある。腸の不調によって引き起こされる肌荒れや便秘を、腹部を優しくほぐすことで改善し、身体全体の不調にも働きかけると注目されている。ほかにも女性の関心が高いといえばダイエットだろう。健康的にダイエットができるよう、医学と栄養の観点からアドバイスをする「ダイエットコーディネーター」という仕事がある。食事メニューやサプリメント、運動法を指導し、管理栄養士の資格を取得している指導者も多く、注目されている。
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PICK UP! 「そのほかのエステ・ネイル・リラクゼーション系の職業」について学べる学校
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