【シゴトを知ろう】俳人 〜番外編〜
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「【シゴトを知ろう】俳人 編」では、俳人の小澤實(おざわ・みのる)先生に、お仕事内容や魅力について伺いました。記事を読んで、俳句を詠むことに興味を持った高校生もいるのではないでしょうか。
そこで、こちらの記事では番外編として、俳人の「あるある」や、知られざる一面についてお話を伺ってみました!
この記事をまとめると
- 連句では、表六句を過ぎると、お酒を飲んで語り合う風習がある
- 俳句を詠む際には、「締切」「季語の題」を決めることが大事
- 句会で、たくさんの人と一緒に句を詠むのは楽しい
俳人は、お酒を飲むことを大事にしている人が多い
――俳句を詠む人には、どんなタイプの人が多いのでしょうか?
「酒飲み」が多いと思います。連句(※)では、古来より「表六句(※)」を過ぎると、天地と集まった人に感謝をささげて、お酒を飲んで、みんなで語り合う風習があるんです。だから、プロの俳人であっても、アマチュアの俳人であっても、お酒を飲むことを大事にしている人が多いです。中には、全くお酒は飲まないという人もいるんですけどね。
※連句……最初に「五・七・五」を詠み、そこから連想される情景を「七・七」で詠み、つなげていく詩形。
※表六句……「五・七・五」+「七・七」の形を、3セット(計6句)作った状態。
「俳句甲子園」では、高校生の感性に刺激を受けている
――俳句は、どういうときに思いつくことが多いのですか? 突然、インスピレーションが湧いてくるのでしょうか?
おもしろくない答えになってしまいますが、私の場合、時間的な締切があるから俳句が詠めています(笑)。俳句って、なかなか自分から作れるものではないんですよね。締切は、辛いけれどありがたいものでもあります。高校生のみなさんも、俳句を詠むときに名句ができなかったからといって「自分には才能がないんだ」と思う必要はないですよ。40年間俳句を詠んでいる私でも、自然には作れないのですから。
だから俳句を詠む際は、ぜひ、締切を設定してみてください。また、テーマが決まっていない状態で俳句を詠むのも難しいと思うので、「紅葉」「木枯らし」など季語の題を決めておくのもいいですよ。
――若い人で、俳句を詠む人はどのくらいいるのですか? 高校生向けの「俳句甲子園(※)」というコンクールもあるとお聞きしました。
50~40代以下で俳句を詠む方は非常に少ないので、私は危機意識を持っています。だからツイッターで情報発信をして、若い方に対して、俳人がどういう生活をしているのか知ってもらえるように努めているんです。
ただ、「俳句甲子園」は高校生のコンクールですので、たくさんの若者がやってきます。彼らの勝っては泣き、負けては泣きという表情を見ていると、「自分が高校生のときにも、こんな大会があればよかったな……」と感じます。毎年、高校生の初々しい感性に刺激を受けていますね。
※俳句甲子園……高校生を対象とした俳句コンクール。愛媛県松山市で毎年8月に開催される。
句会には、良い句を選び、選ばれる喜びがある
――最後に、お仕事の中で、印象に残っている体験について教えてください。
私は、1回1回の「句会」(俳句を作って、発表しあう会)を大切にしています。ほかの読み手と顔を合わせながら行う句会は楽しいですよ。良い句を選び、選ばれる喜びが、そこにはあります。
新聞・テレビ投稿などをメインとして、1人で俳句を詠んでいる方もいらっしゃいますが、とても強い意志が必要ですし、大変だと思います。私はたくさんの人と一緒に句を詠むのが好きですね。声を出して、句を詠む。選ばれない悔しさや、選んでもらう喜びを味わう。句会をやると、体調がよくなって、心もすごく晴れ晴れとします。
多くの新聞には、読者が作った俳句が載っているコーナーがあります。小澤先生のお話を読んで俳句に興味を持った人は、まずは家にある新聞に目を通してみるのもよいでしょう。読んでいるうちに俳句を作りたい気持ちが高まってきたなら、小澤先生のお話にあったように、ぜひ「締切」「季語の題」を決めて、俳句を詠んでみてくださいね。
【profile】小澤實
澤俳句会
http://www.sawahaiku.com/
Twitter
https://twitter.com/seisyokyo99
【取材協力】公益社団法人 俳人協会・俳句文学館
http://www.haijinkyokai.jp/
この記事のテーマ
「マスコミ・芸能・アニメ・声優・漫画」を解説
若い感性やアイデアが常に求められる世界です。番組や作品の企画や脚本づくり、照明や音響などの技術スタッフ、宣伝企画など、職種に応じた専門知識や技術を学び、実習を通して企画力や表現力を磨きます。声優やタレントは在学しながらオーディションを受けるなど、仕事のチャンスを得る努力が必要。学校にはその情報が集められています。
この記事で取り上げた
「俳人」
はこんな仕事です
俳句を詠む人。五七五の17音に、季節を表す季語と終止を表す切れ字を用い、喜びや悲しみ、自然の美しさ、見た風景などを表現する。創作活動以外にも、主宰する組織の雑誌を持ち、投稿される作品を選び、批評したり添削したりもする。エッセイの発表や、俳句番組での評論、俳句大会での公演、俳句教室での指導、小中学校で俳句の授業などを行う。選句の仕事では、各地で催される俳句大会や、雑誌の俳句投稿などに寄せられる数多くの俳句の中から入選作品を選出する。師匠となる先生に弟子入りするほか、協会やクラブに加入して実績を積んでいく。