【シゴトを知ろう】溶接工 〜番外編〜
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「【シゴトを知ろう】溶接工 編」では、JFEエンジニアリング株式会社への入社をきっかけに溶接工の道を進んだ上原由貴彦さんにお話を伺いました。
私たちの暮らしを支える溶接技術ですが、普段の生活において、まだまだイメージが湧きづらいものかもしれません。そこでこちらの番外編では、溶接工の「あるある」なエピソードなどについて伺いました。
この記事をまとめると
- 溶接工の作業着は、冷却器が付いているので夏でも快適
- プライベートでも溶接部分を気にしてしまう
- 厳しい検査は、先輩からの指導で乗り切る
冬の寒い日は、部材の熱で暖をとる
――溶接作業と聞くと、厚手で頑丈そうな作業着を身にまとっているイメージがあります。あの格好は暑くないんですか?
たしかに厚着なので、暑そうに見えるかもしれません。しかし、じつは作業着の下には冷風が出るチューブ状の冷却器を巻きつけているんです。チューブを巻いているので、作業着内が高温になることはなく、夏場は思いのほか暑くなることはありません。逆に冬はどうかというと、溶接した部材をガスの炎で予熱する工程があるのですが、このガス炎で暖をとったりすることもあります。冷却器に比べて、こちらはちょっと原始的ですね。
溶接中は、部分日焼けに注意!
――では、この職業ならではのクセや習性などはありますか?
街を歩いているとき、溶接したものが目にはいると、ついつい「溶接外観品質」を気にして見てしまいますね。要は、しっかり溶接されているかどうか。「これなら自分のほうが技術は上だな」と思うこともあれば、勉強になるよう見事な溶接もあります。一般の人はまず気にならないことだと思いますが、私たち溶接工はついそういった細かい部分に目がいってしまいます。
――作業中、危険な目にあうことはありませんか?
たまに、作業服のボタンが外れていることがあって、生地と生地の隙間から溶接の光が当たって部分日焼けする、なんてこともありますね。それだけ、高温で強い熱なので夏の日でも完全防備が欠かせないんです。
先輩のアドバイスで品質検査に合格!
――仕事でやりがいを感じたエピソードを教えてください。
溶接検査の一つに、「超音波探傷試験」という試験があります。超音波を使い、溶接部分に傷やヒビが入っていないかチェックするのですが、溶接を始めたころは何回やってもNGが出てしまって……。そこで落ち込んでいたときに、先輩からいろいろなアドバイスをもらいました。先輩のアドバイスが決め手になり、溶接を行ったところ検査に合格! そのときは大きな達成感を感じましたね。
努力を重ね、溶接検査に合格したとき、大きな達成感を感じたという上原さん。また、上原さんにアドバイスをした先輩のエピソードからも、よき指導者をもつ重要さが伝わってきますね。
金属製の部材や溶接機などのツールを使ってはいても、最終的に仕上げるのは溶接工の仕事。溶接工になりたい人は、溶接の技術はもちろん、仲間意識の高め方、コミュニケーションのとり方などについても、ぜひこれから身につけてみてはいかがでしょうか。
【profile】JFEエンジニアリング株式会社 製作本部 鶴見製作所 重工工場所属 上原由貴彦
【取材協力】JFEエンジニアリング株式会社
http://www.jfe-eng.co.jp
この記事のテーマ
「自動車・航空・船舶・鉄道・宇宙」を解説
陸・海・空の交通や物流に関わるスキルを学びます。自動車、飛行機、船舶、鉄道車両などの整備・保守や設計・開発、製造ラインや安全の管理、乗客サービスなど、身につけるべき知識や技術は職業によってさまざまで、特定の資格が求められる職業も多数あります。宇宙については、気象観測や通信を支える衛星に関わる仕事の技術などを学びます。
この記事で取り上げた
「溶接工」
はこんな仕事です
金属に熱を加えて溶かし、接合させる仕事。自動車、造船、建築資材、機械などの製造業において必要とされる技術であり、活躍の場は幅広い。機械やロボットによる作業も増えてきているが、人間の手でなくてはできない繊細な作業もまだまだ多い。業務中はかがんだり立ちっぱなしになったりすることが多く、重量物を持ち上げることもあるため、体力や忍耐力が必要とされる。また、溶接機の操作方法や溶接材料に関する知識が問われ、企業によっては「溶接管理技術者」や「溶接技能者」の資格取得が求められる。