【シゴトを知ろう】ワイナリーで働く人 ~番外編~

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【シゴトを知ろう】ワイナリーで働く人 ~番外編~

2017.01.05

提供元:マイナビ進学編集部

【シゴトを知ろう】ワイナリーで働く人 ~番外編~

山梨県甲州市の甲斐ワイナリーでワイン作りに携わっている植木万里子さんへのインタビュー番外編。小規模なワイナリーで働くことの魅力や一般の人があまり知らないワイン業界の用語、業界の常識について伺いました。

この記事をまとめると

  • ブドウは繊細な果物。一房ずつ紙の傘をかけたり、はけで花カスを払ったり
  • 色の競演「ヴェレゾン」は、おいしいブドウになるサイン
  • 華やかなイメージを持つワイン。イメージを支えるのは丁寧で地道な作業

品種、産地、年、収穫時期……。ブドウによって変わるワインの味

――「○年のワインは出来がいい」という話を聞いたことがありますが、ブドウの収穫年によってワインの味が変わるものなのでしょうか?

やはりその年ごとに違うブドウの出来によって、味は大きく左右されますね。うちのワイナリーでは、自分たちで栽培しているブドウだけではなく、契約農家さんから仕入れたブドウも使ってワインを作っているので、ブドウの味の違いはすごく感じます。

同じ産地の農家のブドウであっても、収穫の時期が少し違うだけで酸味が強くなったり、甘みが強くなったりという違いが出てきます。なので、同じ畑の同じ品種のブドウを使って、全く同じ製法で作ったとしても、似た味になることはあると思いますが、年によっても収穫時期によってもできるワインの味に違いが出てくるのは自然なことです。
ワイナリーごとに「うちのワイナリーの味」という範囲をある程度決めていて、そこから大きく外れないようにということはしていると思います。


――ブドウの栽培で特別な作業ってあるんでしょうか?

ブドウは本当に繊細な果物なので、雨を媒介にした病気を防ぐために紙でできた傘をかけるという作業(傘かけ)を行います。
また、他の植物と同じように花が終わった後に実ができるんですが、花が枯れたカスなどが残っていると、それが原因で実に病気が出てしまうというリスクもあります。そういったことを防ぐために、一房ずつはけで花のカスを落とすという作業もしていますね。
本当に作業としては地味なものが多いですが、ブドウの出来を大きく左右するものなのでどれも手が抜けません。

醸造前と醸造後、「澱」には2つの意味がある

使用するブドウだけではなく、酵母によってもワインの味に違いが出る

使用するブドウだけではなく、酵母によってもワインの味に違いが出る

――一般の人があまり知らない業界用語ってありますか?

「澱(おり)」っていう言葉はきっとそんなに知られていませんよね。ワインを作る上で2つの使い方があるんです。

1つ目は、生搾りのフレッシュジュースを思い浮かべてみてもらいたいんですが、果実から直接搾ったジュースって、時間が経過するとだんだん果肉などが沈んでいって、濃いドロッとしたものが下にたまると思うんです。この下の方にあるものを「澱」と呼びます。
ワインを作るときはまず、搾汁した後に1日程度寝かせてこの「澱」を取る「澱取り」という作業を行います。搾りたての状態でワインを作るとにごりが多くなってしまうので、濃度も味も安定した上澄みの部分を使ってワインを作っていきます。

そしてもう1つ、赤ワインができた後に、ワインの瓶の中にある沈殿物のことも「澱」と呼びます。これは果実由来のものではなくて、発酵後の酵母とワインの成分が結びついて下にたまるものです。


――一般の人があまり知らない業界の常識ってありますか?

ブドウの色が一粒ずつ色づくってあまり知られていないですよね。
小さな果実が集合している状態が房なので、粒ごとに色づくタイミングも変わるんです。紫色のブドウも黒っぽいブドウも、基本的に最初は緑色です。そこから最初は一粒だけ色がついて、それが数粒になっていって、最終的に全部に色がついていきます。
色づくことを「ヴェレゾン」(仏語)と呼ぶんですが、この時期に伸びすぎた枝の刈り込みなどをして、木が伸びるために使う栄養を果実に集中させることで、よりおいしいブドウになるんですよ。

小規模なワイナリーだからこそ経験できること

――仕事をする前と後で何かギャップを感じたことはありますか?

ソムリエ時代の上司や飲食業界の同僚からは、「華やかな業界じゃないからやめておいた方がいいんじゃない?」とすごく言われました。実際自分が面接に来た時にも、同じようなことを言われたんです。だからですかね(笑)? ギャップはほとんど感じませんでした。

何度も言われて、自分の中で覚悟をしていたというのが大きかったと思うんです。ブドウ畑にはもちろん虫もいますし、ブドウの木を消毒するための薬品が体にかかることもあります。「ワイン」はスマートで華やかできれいなものというイメージが強い人であればあるほど、ギャップを感じやすいとは思いますね。


――小規模なワイナリーで働くことのよさというのはどういった点ですか?

ソムリエとして仕事をしていた時、ワインに関する知識をお客さまに説明することはできても、「自分で経験していないことだから、うわべだけでしか話せていないな」と感じていました。
大規模なワイナリーの場合は、ブドウの栽培や醸造、ボトリング(瓶詰め)などは基本的に分業のところが多いと思うんです。当社の場合は、小規模だからこそ全ての工程に携わることができることが大きな魅力だと感じています。
ブドウを育てることからお客さまに商品をお渡しするところまで、ワイン作りの裏側を全部経験できたことは、本当によかったなと思っています。


ワインを提供するソムリエから、ワインを作る人へと転身した植木さん。その根底にあるワインへの愛情を感じることができるお話でした。
高校生のみなさんの中にも、好きなことを仕事にしたいと考えている人が多いのではないでしょうか。しかし、好きなことを仕事にするということには、おもしろさだけではなく難しさも伴います。自分が何をしたいのか、なぜそれが好きなのかという軸をしっかり持つことによって、難しささえも楽しめるといいですね。


【profile】甲斐ワイナリー 植木万里子
HP http://www.kaiwinery.com/

この記事のテーマ
食・栄養・調理・製菓」を解説

料理や菓子などの調理技術や、栄養や衛生などに関する基礎知識を身につけます。職種に応じた実技を段階的に学ぶほか、栄養士などの職種を希望する場合は、資格取得のための学習も必須です。飲食サービスに関わる仕事を目指す場合は、メニュー開発や盛りつけ、店のコーディネートに関するアイデアやセンス、酒や食材に関する幅広い知識も求められます。

「食・栄養・調理・製菓」について詳しく見る

この記事で取り上げた
「ワイナリーで働く」
はこんな仕事です

ワインづくりの専門家。ワイナリーの規模は個人経営から大手酒造メーカーまでいろいろ。日本でもワインが飲まれることが一般的になり、愛好家も多い。ブドウの栽培から収穫、発酵、熟成まで愛情なくしてはよいワインはできないとされていて、そこが大変でもあり面白いところでもある。また、優れたワインほど個性がはっきりするとされ、つくり手の個性が期待される。葡萄酒技術研究会によるワイン醸造技術管理士(エノログ)という認定資格があり、海外のワイナリーで働くためには、世界各国の学校へ留学する道もある。

「ワイナリーで働く」について詳しく見る