【シゴトを知ろう】フラワーアレンジメントの先生 ~番外編~
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自由が丘で多くの生徒さんにフラワーアレンジメントを教えてきた立花靖子清子さん。「花の仕事」に関して、あまり知られていない業界の常識やフラワーアレンジの魅力などを語ってもらいました。
この記事をまとめると
- いけばなは「引き算」、フラワーアレンジメントは「足し算」
- 花に関わる職業の人は“職人気質”
- マンツーマンのレッスンだから匂いにも気配り
「実物」の読みはジツブツ? ミモノ?
――一般人が知らない業界用語はありますか?
花を長持ちさせるために、水の中で茎を切ったり削いだりすることを“水揚げ”といいます。それと似た言葉で、お湯の中で茎を切ったり叩いたりして花を長持ちさせる方法を“湯揚げ”といいます。花の種類や状態、花を扱う人のこだわりによって違いますので、一概に「これがベスト」とは言えません。お花屋さんで買った時は、家で長持ちさせるにはどんな水揚げ方法がいいか聞いてみるといいかもしれませんね。あとはホオズキや柿など実がついている花材は「実物」と書いて「ミモノ」と読みます。言葉で言うと伝わりますがSNSなどで「来週は実物を使います」と書いた時に、時々疑問に思う方がいるみたいですね。
――生け花とフラワーアレンジメントはどこが違うんですか?
花の業界で一般的に言われているのは「生け花は引き算、フラワーアレンジメントは足し算」ということ。フラワーアレンジメントはヨーロッパが発祥になっていることもあり、どんどん足していって華やかにしていくのが特徴と言われています。でも私のレッスンでは和の要素も洋の要素もあまり区別なく取り入れて、その季節やタイミングに合わせた形を提案しています。それに外国の良いところを取り入れて発展させていくこと自体が、とても日本らしいのではないかと思っています。生活空間に花で潤いを加える楽しみ方を提案するという意味では同じかもしれないですね。
ウエディングブーケからフラワーアレンジに目覚めた人も
――どんなきっかけでフラワーアレンジメントを習い始める人が多いですか?
社会人になってしばらくして生活が落ち着いたので、自分の生活に美しいものを手軽に取り入れたいという方、また結婚式のブーケがきっかけという方も多いです。せっかくだから自分でブーケを作りたいという花嫁さんや親友にブーケを贈りたい人など、やはり結婚式は花を強く身近に感じるタイミングのようです。でも男性の生徒さんもいらっしゃいますし、中学生の頃から通っていて今はブライダルの花装飾の仕事に就いている方もいますよ。花が好きで花に触れたいと思ったら、いつでも始めていただきたいと私は思っています。
――業界ではどんな性格の人が多いですか?
花の業界にいる方って、先生だけやっている・店舗経営だけやっている・装飾だけやっている……と厳密に分けられている人はあまりいらっしゃらないんです。私も含め、みなさんそれぞれ兼ねたり並行してやっていらっしゃいます。何に重きをおいているかで芸術家肌だったり社交的だったりと異なりますが、総じて“職人気質”ではあると思います。教室の講師だけに限ると、やはり教えることが好きでおだやかな方が多いようですが、それも“花を教える職人”といえると思います。
“花の業界”は多種多様。焦らず広く世界を見てほしい
――この職業で働くにあたって気をつけていることはありますか?
マンツーマンのレッスンなので、近づいた時に強い匂いがしないよう気をつけています。レッスンの前日にはニンニク料理などを控えますし、レッスン直前はコーヒーを飲まないようにしています。花屋で働いていた頃は業務が忙しいこともあって水のようにコーヒーを飲んでいましたが、コーヒー臭は意外と息の中に残ってしまうんです。嫌な匂いではないかもしれませんが、やはりレッスン中は花に集中していただきたいので、気を散らせるような匂いはしないよう注意しています。
――この職業につくにはどんな進路に進めばいいのでしょうか?
「フラワーアレンジメントの先生になりたい」とハッキリ決めているなら、そういった専門学校に行くのが早いと思います。私が学生の頃より増えているので、羨ましい限りです(笑)。花が好きだけど進路として思い定められないという場合は、焦らず別の学問を学ぶのもいいと思います。私も短大の経営学科に進学しましたし。花に関する仕事は本当に多岐にわたっていますし、大人になって全く別の業種から花の仕事についたという人も大勢います。最初の「花が好き」という気持ちから「花を育てたい」とか「花屋を経営したい」「アレンジ作品を作りたい」など気持ちが定まってから初めても全く遅くないので、まずは広くいろんな世界を見て、自分が本当にやりたい“花の仕事”を見つけることが大切だと思います。
花の美しさと共に人との交流を楽しみ、大切にしている様子が立花さんの言葉の端々から伝わってきました。それが花に関わる仕事の中でも「フラワーアレンジメントの先生」という職業に立花さんを導いた要因なのかもしれませんね。
【profile】
ジュノーフラワースクール主宰 立花清子
2001年4月自由が丘にてジュノーフラワースタジオオープン。
現在まで延べ35000人の指導を行う。
都内飲食店・ホテル・イベント会場では生花展示多数。
テレビ、業界専門誌等にてフラワーアレンジの素晴らしさを伝えに多数出演。
この記事のテーマ
「動物・植物」を解説
ペットなど動物や観賞用の植物に関わり暮らしに潤いを提供する分野、食の供給や環境保全を担う農業・林業・水産業などの分野があります。動物や植物の生態や生育に関する専門知識を身につけ、飼育や栽培など希望する職種に必要な技術を磨きます。盲導犬や警察犬、競走馬、サーカスの猛獣などの調教・訓練や水族館や動物園で働く選択肢もあります。
この記事で取り上げた
「フラワーアレンジメントの先生」
はこんな仕事です
一種類の花や複数の花を組み合わせ、花束やフラワーボックスを作ったり、リースにしたりするのがフラワーアレンジメントの仕事。この仕事を目指す人たちの講師になるには、花に関する知識のほか、花の配色を考えるカラーコーディネートの知識とセンスが必要になる。講師になるには特に必須の資格はないが、花屋での勤務経験や国家資格である「フラワー装飾技能士」の取得が役に立つだろう。活躍の場はカルチャーセンターや専門学校のほか、自分の花屋で客に対してスクールを開催する人もいる。