【シゴトを知ろう】絵画修復師 編

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【シゴトを知ろう】絵画修復師 編

2016.12.20

提供元:マイナビ進学編集部

【シゴトを知ろう】絵画修復師 編

美術館や博物館を訪れると目にする、大きな絵画。ずいぶん古い物もありますが、長い間、展示や保管をしているうちに、傷やホコリが付いてしまったらどうするのか疑問に思ったことはありませんか? そんな古い絵画をオリジナルに近い状態でよみがえらせることが「絵画修復師」(絵画修復士)の仕事です。

今回は、特定非営利活動法人 美術保存修復センター横浜の絵画修復師・小野さち子さんに、絵画修復のお仕事について詳しく伺いました。

この記事をまとめると

  • 絵画修復師はチームワークが大切
  • 絵画を修復するだけでなく、その前後のプロセスも重要な仕事
  • 美術はもちろん、日本史や世界史に詳しい人も向いている職業

絵画修復師一人ひとりが知恵を出し合い、難しい作業を乗り越える

Q1. 仕事概要と一日のスケジュールを教えて下さい

毎朝ミーティングを行い、情報を共有することから仕事がスタートします。絵画修復師は、数人のチームで仕事を進めるのですが、各メンバーで担当している仕事が違いますので、昨日の最終状況や本日の進行、問い合わせがあった事などを報告し合います。その後、それぞれの仕事に戻ります。私は納品期日のスケジュールに沿って、絵画修復の作業をコツコツ進めます。

<ある一日のスケジュール>
09:30 出社。定例ミーティング
10:00 作業開始
12:30 ランチ
16:00 休憩
17:30 事務処理・週末の教室準備など
18:30 退社


Q2. 仕事の楽しさ・やりがいは何ですか?

絵画の痛みや破れがひどく、修復作業が難しい場合は「どんな方法で修復したらいいか?」をチームで考えます。みんなで知恵を出し合って、一人ひとりの力では難しい作業を乗り越えた結果、いい状態で作業を終えることができたときに、大きなやりがいを感じますね。絵画を修復する作業には緊張がつきものですが、そのほんのひとときだけ開放されてホッとします。

そして、依頼主へお渡しするときに、「こんなにキレイにしていただいてありがとうございます!」と喜んでいただけると、本当にうれしいです。


Q3. 仕事で大変なこと・辛いと感じることはありますか?

現在、教会の「イコン」を修復しています。イコンというのは、教会に飾られている絵画のことです。

当初、建て直しが決まった教会から修復の依頼がありました。しかし、「多数あるイコンをどこに保管するか?」など、詳細が決まっていない状態で相談をいただいたので、とにかく何が一番いい方法か考えました。

そこで、私たちはイコンを引取って保管してくださる団体を探しました。宗教画であることや予算上の理由から、イコンを引取って保管していただくことを断られることが多かったのですが、「玉川大学教育博物館」が寄贈を受け、さらに、修復費用も負担してくださることになったのです。そこから、何回もの打ち合わせを経て修復作業がスタートしました。

100年以上も前のイコンは、ホコリやロウソク、雨風が当たり、傷みが激しく、作業は予定よりも大幅に遅れることもあります。しかし、こんな時だからこそ、私たちはメンバーと協力しあい効率よく仕事ができるよう心がけました。このように、修復は単に絵や額を修復するだけではなく、前後のプロセスに時間を費やす事が少なくありません。「辛い」と思った事はありませんが、毎回大変だなと思います。

※通常、修復作業については個人情報となるので公開はしませんが、この修復(静岡ハリストス正教会)に関しては情報公開の許可をいただいています。

ジュエリーデザイナーから、絵画修復士にキャリアチェンジ

美術保存修復センター横浜の絵画修復士・小野さち子さん

美術保存修復センター横浜の絵画修復士・小野さち子さん

Q4. どのようなきっかけ・経緯で絵画修復士に就きましたか?

私は美術系の短期大学を卒業後、ジュエリーの加工会社に入社しました。それと同時に、絵画修復教室に通い、絵画修復の勉強を重ねました。 その教室に数年通ったのち、当時の理事長から「アシスタントとして働かないか?」と、誘っていただいたのがきっかけで、今の仕事に就くことになりました。


Q5. 大学では何を学びましたか?

私は美術系の短大で、デザインについて学びました。在学中は水彩画、油彩画、彫刻などいろいろな技法を体験したことが、今の仕事に役立っています。


Q6. 高校生のとき抱いていた夢が、現在の仕事につながっていると感じることはありますか? 

当時から絵は好きだったので、美術展に行くのが趣味でした。そのころから「美術に関わる仕事に就きたい」と想像していましたが、まさか自分が絵画修復師になるとは夢にも思いませんでしたね。

大切なのは「絵画に対して謙虚であること」

Q7. どういう人が絵画修復師に向いていると思いますか? 

“急がば回れ”ができる、忍耐力がある、常に勉強できる、チームワークを大事にできる、といった人が向いているのではないでしょうか。修復の作業はイタリアで生み出された方法が基本になっています。歴史があるものですから、その場の単純な発想で作業を進めては、お預かりした絵画が台無しになってしまいます。絵画に対して謙虚な姿勢でいることが大事です。


Q8. 高校生に向けたメッセージをお願いします

最近は古いものを残す文化が世界的に根付いてきているように思います。日本でも蚤(のみ)の市が多く開催されていますし、そのような背景が、絵画を修復できる環境を育てていくように思います。

また、日本史と世界史、美術史を頭に叩き込んでおく必要があります。社会人になってからだと絵画について学ぶ時間を取ることが難しくなってくるので、今から多くの本を読み知識を深めておきましょう。さらに、油彩画を描く機会があると、なおいいと思います。ぜひ絵画の世界へ飛び込んでみてくださいね。



絵画修復師の仕事は、「絵画に対して謙虚であることが大事」だと話してくださった小野さん。絵画の保存や修復に興味が湧いた人は、絵画を後世に残すために欠かせない絵画修復師の仕事への興味を深めてみてはいかがでしょうか。


【profile】特定非営利活動法人 美術保存修復センター横浜
絵画修復師 小野さち子
http://www.npo-acrc.org

特定非営利活動法人 美術保存修復センター横浜が運営する修復教室「横浜絵画修復教室」は、高校生の方も保護者同伴(見学・入会時のみ)となりますが、見学・受講が可能です。又、短期集中講座も開講しており、次回は2017年5月3日〜7日です。

この記事のテーマ
デザイン・芸術・写真」を解説

デザインは、本や雑誌、広告など印刷物のデザイン、雑貨、玩具、パッケージなどの商品デザイン、伝統工芸や日用品などの装飾デザインといった分野があり、学校では専門知識や道具、機器を使いこなす技術を学びます。アートや写真を仕事にする場合、学校で基礎的な知識や技術を身につけ、学外での実践を通して経験やセンスを磨きます。

「デザイン・芸術・写真」について詳しく見る

この記事で取り上げた
「絵画修復師」
はこんな仕事です

古くなったり傷付いたりした油彩画、日本画などの絵画を対象に、極力オリジナルに近いものをイメージして修復する。自分の作品ではなく、有名な作者の作品価値と作風を生かすという心構えと、自らの表現力の両方が伴わなければならない。仕事は作品の元の様子や時代背景を想像するための調査から始まる。下地のカンバスの素材や絵具の顔料によっても手法が異なる。使用する道具は多岐にわたるので、道具に対する知識も重要。美術系専門学校や大学で学び、美術館、工房などに勤めながら「修復士」をめざす人が多い。

「絵画修復師」について詳しく見る