【シゴトを知ろう】美術修復家 〜番外編〜

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【シゴトを知ろう】美術修復家 〜番外編〜

2016.12.20

提供元:マイナビ進学編集部

【シゴトを知ろう】美術修復家 〜番外編〜

「【シゴトを知ろう】美術修復家」では、鎌倉絵画修復工房を主宰されている加賀優記子さんに美術修復家のお仕事内容や魅力について伺いました。

今回は番外編として「あるある」な出来事や休日の過ごし方などを伺い、美術修復家の知られざる姿に迫ってみたいと思います。

この記事をまとめると

  • 美術修復家は、過去の間違った修復を自分の手で治すことができる
  • 英語、フランス語、イタリア語が飛び交うグローバルな職場
  • 美術館に飾られるような有名作家の絵画を修復できる喜びがある

過去の間違った修復で絵画の魅力が半減していることも

――修復の作業をしていると、美術修復家だけが知っている絵画の秘密にも出会えると聞きました。過去にあったエピソードを教えてください。

過去の修復家の怠惰な修復に驚いたことがあります。17世紀のオランダ絵画を修復したときのことなのですが、もともとは、黒い背景にチューリップの絵がたくさん描かれている絵画でした。チューリップ1点の数で絵画の価格が変わってしまうほど重要なのですが、過去の修復家は背景と一緒に何本かのチューリップを黒い絵具で塗りつぶしていたんです。黒い背景が絵具の剥落のためにひどく傷んでいたので、過去の修復家は面倒臭くなったのかもしれません。この絵画は、私が古い補彩を落としてチューリップの花を再生しました。

夏は丸ごとバカンス!でも、絵の状態によっては休めない!?

――お仕事とリンクする、休みの日にありがちな「あるある」があれば教えてください。

大きな作品の修復にかかわっているときは、定期的にお休みを取れないことがあります。大きな絵がバキバキに割れていて、来る日も来る日もずっと絵の破片を接着しっぱなし、納品は4か月後とはいえ終わりそうにない……という時は、怖くて休みを取れません。

反対に、8月は絵にカビがつくリスクがあるので、まるまる1か月お休みにします。オーストラリアにバカンスに出かけていた時に、画商から仕事の依頼があり、ちょっぴり気まずくなったこともあります(笑)。


――このお仕事では、修復の専門用語が英語、フランス語、イタリア語など多様な言語が飛びかうグローバルな職場だと聞きました。英語は必須ですか?

修復の専門用語は英語、フランス語、イタリア語が混ざる事が一般的です。理由は、伝統的な技法名、薬品・材料名などが、沢山の国で受け継がれて来たからです。

現在、修復の方法は、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツを主流としています。私はフランスで修復を学んできましたが、その事に執着せず、毎年情報収集を行い、リアルタイムで修復の最も正しい、評価される基準をチェックしています。そんなときは、アメリカやフランス、または世界会議の学会誌、最近ではインターネットでの情報を見るので、語学が堪能だとハードルは下がりますね。

美術館に飾られるような有名な作家の絵画を修復できる喜び

――お仕事の中で、一番の思い出や達成感を感じたエピソードについて教えてください。

達成感があった作品は、最近で言えば、モーリス・ドニの作品「永遠の春」でしょうか。この絵画はとても大きく、しかも私が大好きな、色彩の美しい作品でした。修復の依頼が来たときはとてもうれしかったです。

また、ピカソの絵画を修復した時も印象的でした。私の娘も「ピカソが来る!」と、はしゃいでいたのですが、来てみると灰色の絵でちょっとがっかり。ぜいたくな悩みなのですが……。でも、この絵は天国をモチーフにした絵画なので、アトリエにいるスタッフはみんなハッピーになれました! 絵画には不思議な力がありますね。

ただし状態はあまりいいとはいえませんでした。亀裂が数百もあり、ボロボロ。今にも剥落しそうで困りました。数か月の長い時間をかけて落ちそうな絵具の層を丁寧に接着し、亀裂に充填材を詰めて彩色をしました。気持ちを込めて修復したモーリス・ドニの作品「永遠の春」は、現在、有楽町にある「三菱1号館美術館」に飾られています。興味が湧いた人は、ぜひご覧になってみてくださいね。



美術修復家は、過去の間違った修復を直し、絵画本来の輝きをよみがえらせるすてきな仕事ということが分かりました。美術修復家の仕事に興味がある人は、加賀さんが修復を担当した作品を見て、絵画の魅力に触れてみるのもいいかもしれません。


【profile】
鎌倉絵画修復工房 主宰、ペベオ絵画修復エデュケーション・センター長 加賀 優記子

この記事のテーマ
デザイン・芸術・写真」を解説

デザインは、本や雑誌、広告など印刷物のデザイン、雑貨、玩具、パッケージなどの商品デザイン、伝統工芸や日用品などの装飾デザインといった分野があり、学校では専門知識や道具、機器を使いこなす技術を学びます。アートや写真を仕事にする場合、学校で基礎的な知識や技術を身につけ、学外での実践を通して経験やセンスを磨きます。

「デザイン・芸術・写真」について詳しく見る

この記事で取り上げた
「美術修復家」
はこんな仕事です

長い年月を経た美術品の価値が損なわないように修復をする仕事。経年劣化することは避けられないため、今以上に劣化が進まないよう作業を施して保存する。傷付いたものは元の状態を模索しながら修復する。いずれも最小の手当てでオリジナルに近づけることが重要。美術品の専門知識のみならず化学や物理の知識も求められる。国内の美術・芸術系の専門学校や大学でも美術修復の基礎を学べるが、ヨーロッパを中心に海外の修復技術は大変高く、留学はとても有意義。語学力と感性を磨いておくことも大切だといえる。

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