【シゴトを知ろう】スポーツアロマテラピスト 編
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「アロマ」というと、香りを楽しむものというイメージが強いと思いますが、スポーツ選手のメンタルやコンディションのサポートにも活用されていることをご存じですか? そのようにアロマを使ってスポーツ選手のサポートをする「スポーツアロマテラピスト」という仕事があります。
今回の【シゴトを知ろう】では、スポーツアロマテラピストという職業のお仕事内容や魅力について、コンディショニングサロン&スクールPunafullの代表を務める井泉有香子さんにお話を伺いました。
この記事をまとめると
- アロマを用いてスポーツ選手のサポートをするのがスポーツアロマテラピスト
- 選手の生涯を考え心身の健康を守ることもスポーツアロマテラピストの大事な役目
- メンタル面をサポートするためにコミュニケーション能力と洞察力も必要
アスリートのメンタルやコンディションのサポートをする職業
Q1. 仕事概要を教えて下さい
私はスポーツアロマテラピストとして、主にアスリートを対象に身体面およびメンタル面のコンデショニングのサポートを行っています。具体的には、パフォーマンス向上やけが予防、早期の疲労回復を目的に自然療法のアロマを用いてトリートメントや運動指導をしています。
スタジオ内でアスリートから一般の方までを対象にスポーツアロマトリートメントやピラティスレッスンを行うほか、スポーツチームの合宿に帯同したり、競技場に設置されるケアステーションに出張したりします。そのほか、スポーツ以外にも企業様向けに健康維持のセミナーなどを行っています。また、災害時にトリートメントのボランティア活動を行うこともあります。
Q2. 仕事の楽しさ・やりがいは何ですか?
スポーツを通して得られる感動を一緒に味わえることが魅力であり、やりがいにつながります。
思うように成績が上がらない選手のケアをしているときは焦りや不安、力不足を感じて落ち込むことも多々ありますが、苦しみながらも前を向いて挑戦する選手の姿を見ていると、たくさんの勇気やパワーをもらえます。支える立場でありながら、喜びを一緒に味わえる瞬間はとても感動しますね。スポーツアロマはストイックな環境の中に置かれる選手たちの癒しの場です。そのため、選手の個人的な悩みを聞く機会も多くあります。その苦しみを受け止めながら、選手にとって最良の方法を導き出せたとき、「この感動を味わうとやめられない」と思います。海外選手との交流も楽しさの一つですね。
Q3. 仕事で大変なこと・辛いと感じることはありますか?
スポーツは結果がすべてと言われますが、私たちの仕事は選手としてだけではなく、選手の生涯を考え心身の健康を守ることを担っています。ですから、目の前の結果を求めるべきなのか、どれが正しいことかを悩むことが多々あります。信頼関係を築くことが最も重要になりますが、人を相手にしているので決まりがないことも悩みであり、またおもしろさでもあります。
けがをしたスポーツ選手に何かできないかと考えたときアロマと出会う
Q4. どのようなきっかけ・経緯でスポーツアロマテラピストに就きましたか?
けがをした知人のプロスポーツ選手から、なかなか痛みがとれず不安で眠れないという話を聞いて、何か役立つものはないかと調べて見つけたのがアロマでした。当時はアロマのことはよく知らなかったのですが、とてもよく眠れて疲れが取れたと言われたことがきっかけで、これはスポーツの分野でも役立つかもしれないと思い、志すようになりました。その後、トリートメントを教える学校に通ったり、アロマ本を買って独学で学んだりしました。現在はトレーナーの資格も取得し、運動指導とあわせて総合的な身体のケアを目指しています。
Q5. 大学では何を学びましたか?
大学では心理学を学びたかったのですが夢が叶わなかったため、スキー中心の生活で大会に出場したり合宿生活をしたりしていました。それから、大学時にスキー準指導員の資格を取得していたので、シーズン中はインストラクターとしてスキー指導のアルバイトをしていました。その経験は結果的に今の仕事につながり、スキー選手のサポートを行っています。また、学生時代はぼんやりとスポーツ系の仕事をしたいと思っていましたが、何をしたいのかを定めることが出来なかったため、まずはいろいろなことを経験してみようと思い、スポーツジャーナリストの学校に通ってみたり、1年間のアメリカ語学留学でいろんなスポーツ観戦をしたりしました。そのすべてが今の仕事に役立っていますね。
Q6. 高校生のとき抱いていた夢が、現在の仕事につながっていると感じることはありますか?
地元に甲子園球場があり、夏は高校野球に夢中になっていたので、いつか高校球児のサポートをしたいなぁと思っていました。スポーツエージェントの仕事について調べた記憶もあります。また、小さいころからスキーとフィギュアスケートをしていたので、スポーツを通して考える力や忍耐力、集中力、身体の感覚、体調管理、団体生活の過ごし方を身につけました。そこで学んだ成功や失敗の経験は、アロマテラピストを通してスポーツ選手を支える今の仕事につながっています。
選手との信頼関係を築くためコミュニケーション能力は必須
Q7. どういう人がスポーツアロマテラピストに向いていると思いますか?
スポーツアロマテラピストは、身体のケアだけではなく、メンタル面でのサポートも求められるため、コミュニケーション能力と洞察力が必要となり、客観的な視野を持てる人が向いています。また体力がある人も求められます。
Q8. 高校生に向けたメッセージをお願いします
スポーツアロマテラピストに求められることは、顧客様との信頼関係を築くことです。そのためには、健康に関する知識を得ることはもちろんのこと、多くの人と会話し、いろんな経験を積んで価値観を広げ、コミュニケーション能力を高めてください。また、これからは予防治療も必要とされる時代です。スポーツアロマテラピストの知識はアスリートだけではなく、あらゆる人の健康維持のサポートに役立ちます。専属セラピストとして、「あなた」だから相談したいと思われる存在を目指してほしいです。
スポーツアロマテラピストは、選手の悩みや身体の不調を受け止め、コンディションを整えるサポートをする仕事です。選手一人ひとりの心身の状態を把握して、それぞれに合ったアロマや手技を使い分けなければいけないので、学ぶことはいろいろありますし経験も必要になります。スポーツに関わる仕事をしてみたいという人はもちろん、人の役に立ちたいという人にも興味深い仕事ではないでしょうか。
【profile】
Punafull代表 スポーツアロマスペシャリスト 井泉有香子
www.punafull.com
この記事のテーマ
「エステ・ネイル・リラクゼーション」を解説
ネイルアーティストやエステティシャンなど、美容のスペシャリストを育成したり、アロマセラピストやマッサージ師のように身体のもみほぐしや香りでの癒しに関わる知識と技術を身につけます。あわせて学校では、職業に応じた専門技術と接客能力を磨きますが、新しい技術やトレンドに対応するため、自ら学び続ける好奇心やセンスが求められます。
この記事で取り上げた
「スポーツアロマテラピスト」
はこんな仕事です
アロマテラピーの癒やし効果をスポーツの分野に取り入れ、早期の疲労回復やけがの予防、ストレスによる不調改善などを行う技術者。精油を使ったマッサージで筋肉疲労を減らしたり、精油の持つ香りで試合前の緊張緩和、トレーニングや試合前後のウォーミングアップとクールダウンなどに役立てるなど、スポーツ選手の肉体と精神の両面をケアする役割を担っている。プロ野球やサッカー、テニスなどの専属トレーナーとしての活躍はもちろん、クリニックや治療院、スポーツアロマサロンでの勤務など、幅広い働き方がある。