【シゴトを知ろう】コンサートプロデューサー 編
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日本では、毎日全国どこかしらでコンサートが行われていますが、実現に至るまでには入念な計画と準備が行われ、たくさんの人が関わっています。そんなコンサートの企画立案、運営、予算管理などすべてのプロセスを統括する仕事が「コンサートプロデューサー」です。
今回は、ロックからクラシック・オーケストラまで、多くのコンサートを手掛けてきたコンサートプロデューサーであり、コンサート制作会社「株式会社ALIVE(アライヴ)」の代表取締役・西山英治さんにお話を伺いました。
この記事をまとめると
- コンサートのすべてに関わっていく仕事
- さまざまなコンサートについての運営についての打ち合わせ、進行を行う
- 人と人のつながりから仕事が生まれることが多い業種だという
最初からかかわったコンサートが大成功を収めた時にやりがいを感じる
Q1. 仕事の概要と一日のスケジュールを教えて下さい
コンサートプロデューサーとして、さまざまなコンサートの運営についての打ち合わせ、進行を行うのが私の仕事です。一日のスケジュールは打合せ中心の日とコンサート当日で異なります。
<打合せ中心の日>
07:30 起床
09:00 出発
11:00〜12:00 コンサートプロモーターとの打合せ
12:00〜13:00 舞台スタッフとの打合せ
13:00〜14:00 フライヤーデザイナーとの打合せ
14:00〜14:30 ランチ
14:30〜16:00 コンサート会場下見
16:00〜20:00 事務所作業(手配書・企画書・見積り作成、メール返信、取引先への連絡など)
20:00〜23:00 ミュージシャンとの打合せ
24:00 帰宅
26:00 就寝
<コンサート現場の日>
06:00 起床
09:00 会場入り
09:00〜10:00 機材搬入立会い
10:00〜12:00 楽屋準備&運営周りを打合せ
12:00〜14:00 メンバー会場入り〜コンサートの流れ打合せ
14:00〜16:00 リハーサル立会い
16:00〜17:00 会場準備 各部門への確認事項伝達
17:00〜18:00 開場
18:00〜20:00 コンサート本番 立会い
20:00〜22:00 客出し〜メンバー送り出し〜撤収
22:00〜24:00 打ち上げ
25:00 帰宅
26:00 就寝
Q2. 仕事の楽しさ・やりがいは何ですか?
コンサートを作るにあたり、どのような場所で、どのような内容のことを、どのような協力者と一緒に作っていくか。コンサートの最初からすべて関わっていく仕事なので、その集大成のコンサートが大成功を収めた時には何よりもやりがいを感じますね。
Q3. 仕事で大変なこと・辛いと感じることはありますか?
何も分からずにコンサート制作の仕事に就いて、最初の3年くらいは現場でかなりしごかれ、辛い時期もありました。今は辛いと感じる時期は特にありませんが、あえて言うと、現場が続いて睡眠不足になるときですね。
大学4年間で色々な場所で聞いた音楽が強烈に自分の体験として残り今の仕事に至る
Q4. どのようなきっかけ・経緯でコンサートプロデューサーに就きましたか?
大学時代にバンドをやっており、さらに学園祭・寮祭などの実行委員会で音楽のイベントに関わっていました。大学卒業後、1年間営業の仕事をしておりましたが、モチベーションが上がらずにやはり好きな音楽関係の仕事をしたいと思い、転職しました。
Q5. 大学ではどんな経験をしましたか?
大学時代は、音楽に詳しい友人とバンドを組んだり、バイクで日本全国旅行したり、一人で海外旅行に行ったり、あとは大学の学生寮に入ったのですが、そこで毎晩先輩後輩や友人たちと大音量で音楽を聞きながらお酒を飲んだりと、たくさん遊んでいました。
学園祭実行委員にもなり、タレントさんを呼んでステージ警備をしたりなど、イベントにも関わっていましたね。この4年間にしかできないかけがえのない体験をすることができました。
Q6. 高校生のときの経験が、現在の仕事につながっていると感じることはありますか?
私は高校生のころは獣医を目指していましたが、大学受験で獣医学部は受からずに、農学部で別の学科に入ったんです。なので高校生のときの夢はかなっていませんが、浪人していた時期にいろいろな場所で聞いた音楽は、今でも強烈に自分の体験として残っていて、それが現在の音楽の仕事につながっていると思います。
仕事の幅が範囲が広がるほど忙しくなるがその分充実感や達成感は大きくなる
Q7. どういう人がコンサートプロデューサーに向いていると思いますか?
やはり音楽が好きな人、誠実で体力がある人ですね。音楽やコンサートと関わる仕事をする上で、音楽への愛と体力は欠かせないものです。
Q8. コンサートプロデューサーを目指したい高校生に向けてメッセージをお願いします。
コンサートの仕事をやりたいという強い気持ちがあれば、必ず受け入れてくれる会社はあると思います。最初はとても地味な雑務から始まると思いますが、雑務の中でやりがいを見つけモチベーション高く働いていれば、誰かが見てくれると思います。人と人のつながりから仕事が生まれることが多い業種なので、人間関係を大切に信頼関係を築いていくことが一番の近道だと思います。
あとは、コンサートを見る、CDや本の流行りをチェックする、テレビ番組を見る、WEBで情報をチェックする、友人と音楽談義する、など音楽に関わるすべてのことにアンテナを張っていれば、いろいろな情報が入ってくると思うので、常にその意識を持っているといいと思います。
自分で現場を回せるようになると、アーティストとコンサート内容を一緒に考え、舞台演出スタッフとそれをどのように実現していくかを相談し、更にはプロモーターとライブ会場の選定・プロモーション方法・当日の会場運営の相談、そしてリハーサルスタジオの選定、立会、ミュージシャンスケジュール調整、移動行程の作成からホテルや移動チケットの手配、ライブに関わる全体予算マネジメントなど、他にも多々ありますが、仕事は多岐に渡ります。
空いている時間を見つけて、自分の勉強のために大規模なライブを見に行ったり、仕事仲間と情報交換のために飲みに出かけたり、新人アーティスト発掘のためにライブハウスに足を運んだり、という業務も出てきます。仕事の幅が範囲が広がるほど忙しくなってくる仕事ですが、その分充実感や達成感は大きくなるので、初心を忘れずに上を目指して頑張ってください。
大学時代に過ごした日々の中から、自分の道を見つけて現在の仕事に至ったという西山さん。最後のメッセージからは、そんなご自分の高校時代を思い出しているかのような熱さを感じられます。コンサートプロデューサーをはじめとしたコンサートに関わる仕事に興味がある人は、ぜひコンサートを生で体験して、その仕事を身近で感じてみてくださいね。
【profile】コンサートプロデューサー 西山英治
【取材協力】株式会社ALIVE(アライヴ)
http://www.alive-japan.com/
この記事のテーマ
「音楽・イベント」を解説
エンターテイメントを作り出すため、職種に応じた専門知識や技術を学び、作品制作や企画立案のスキル、表現力を磨きます。音楽制作では、作詞・作曲・編曲などの楽曲づくりのほか、レコーディングやライブでの音響機器の操作を学びます。舞台制作では、演劇やダンスなどの演出のほか、舞台装置の使い方を学びます。楽器の製作・修理もこの分野です。
この記事で取り上げた
「コンサートプロデューサー」
はこんな仕事です
コンサートの企画立案、運営、予算管理など全プロセスにおける責任を負う仕事。演者・会場・制作会社の選定・交渉・手配、予算やスケジュールの管理、宣伝やグッズの決定など仕事は多岐にわたり、イベント制作会社などでの現場経験と人脈、交渉力が重要(活動の一部はプロモーターや広告代理店が担当)。アーティストの新曲発売のプロモーションや、メディアを含む企業のPRイベントなど、最初からクライアントがいる場合は工程の一部のみを請け負うが、自主開催ではスポンサー集めから始めることが多い。
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