【シゴトを知ろう】コンサート・ステージスタッフ 編
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多くの人が携わることで開催されるコンサート。その現場では、ステージ上の演者が華やかに輝くために、さまざまな演出技術を持ったスタッフが働いています。
今回は、そうしたコンサートスタッフの一員、照明をコンピューターで操作する「ムービングプログラマー」の平安山良伍(へんざんりょうご)さんにお話を伺いました。どのようなお仕事なのでしょうか?
この記事をまとめると
- ムービングプログラマーとして現場に入る前に3日間ほど準備期間がある
- 結婚式場の照明スタッフのアルバイトをきっかけに現在の仕事を目指した
- この仕事に向いてる人は「好奇心・探究心のある人」そして協調性も必要
ムービングプログラマーとして現場に入る前に3日間ほど準備期間がある
Q1. 仕事の概要を教えて下さい
私は、コンサートなどで光を動かすことで色や模様の演出をする照明器具「ムービングライト」をコンピューターで動かすプログラマー、「ムービングプログラマー」として働いています。
その日の仕事内容は、現場の日と会社に出社する日でだいぶ違います。ムービングプログラマーとして現場に行く前の日は、朝10時に出社し、20分程、毎朝行われる社内ミーティングに参加した後、携わる現場の照明デザイナー、担当チーフと打ち合わせを行い、誰が何をするかの作業分担(図面や書類作成、機材のスタンバイなど)を確認して作業を開始します。その後、夕方ごろまでムービングライトを仕込むための図面・書類作成等の紙面作業を行った後、ようやくプログラミングの準備に入ります。まずビジュアライザー(コンピューター上で仮想プログラミングするためのシミュレーションソフト)内で本番と同じ機材をセッティング。次にムービング卓(ムービングライトを操作するための機材)のセットアップを行い1日が終了します。大体の場合現場に入る前に3日間ほど準備期間があり、2日目の朝もしくは昼からプログラミング作業を開始、3日目に機材をトラックに積み込み翌日現場入りという流れです。
Q2. 仕事の楽しさ・やりがいは何ですか?
やはりコンサート本番ですかね。本番の緊張感がたまらないです。コンサートがうまくいったときに、大きな達成感を感じます。
Q3. 仕事で大変なこと・辛いと感じることはありますか?
この仕事にはどうしても徹夜はつきものなのですが、睡眠が少ない日や、プログラミングなどで時間に追われる日が続くと辛いですね。
結婚式場の照明スタッフのアルバイトをきっかけに現在の仕事を目指した
Q4. どのようなきっかけ・経緯でコンサート・ステージスタッフに就きましたか?
高校生のころに東京で仕事をしたいと考えていたのと、地元(沖縄)でしていた結婚式場の照明スタッフのアルバイトでムービングライトを触って、もっと本格的にやってみたいと思ったんです。そこで高校の進路指導の先生に相談し、舞台全般を学べるスクールへ1年間通って、卒業後に入社しました。
Q5. スクールでは何を学びましたか?
基本的な照明の用語やシュート(※照明の位置決め)の仕方、業界の歴史などですね。スクールに通っているときはそんなにピンとこなかった事が最近になって役立ったり、学生のころは早く現場に行きたい気持ちが強かったのですが、今はスクールに通った1年は大事な1年だったなと思っています。
Q6. 高校生のとき抱いていた夢が、現在の仕事につながっていると感じることはありますか?
夢ではないんですが、高校生の時に同級生とバンドを組んだことがあったので、楽器の種類やバンドの機材などをなんとなく知っていたのは、今の仕事でも役に立っています。他部門のスタッフと話をするときに知っていると、話が早いので。
この仕事に向いてる人は「好奇心・探究心のある人」そして協調性も必要
Q7. どういう人がコンサート・ステージスタッフに向いていると思いますか?
好奇心・探究心のある人が向いてると思います。ムービングライトやムービング卓はどんどん最新の機材が出てくるので。あとチームでの作業が基本なのでコミュニケーション能力があり、協調性のある人もいいですね。
Q8. 高校生に向けてメッセージをお願いします
ムービングプログラマーは仕込み・バラシでは高所作業や、重たい機材の設置、徹夜などもあり身体と頭を使う仕事なので楽な仕事ではありません。最新機材を勉強したり、最近だとネットワークの知識も必要だったり覚えることもたくさんあります。ですが、すごくやりがいのある仕事です。本番の緊張感と、現場が終わった時の達成感は最高です。女性のムービングプログラマーの方もいます。若くても頑張って覚えれば卓を触るチャンスはあるので、やる気と根性のある方はぜひ目指してみてください。
コンサートの感動は音だけではなく、その舞台でどのような演出が行われたかも大きく印象に残りますよね。数あるコンサートスタッフの中でも、お客さんの視覚に訴えかける照明を操るムービングプログラマーの仕事は、その感動を演出する一端を担っている大変重要な仕事です。音楽が好きでコンサートによく行くみなさんは、ぜひコンサートの演出を担うスタッフの仕事についても観察してみてください。将来の仕事選びのヒントが隠されているかもしれませんよ。
【profile】ムービングプログラマー 平安山良伍
【取材協力】株式会社クリエイティブ・アート・スィンク(C.A.T.)
http://cat-group.co.jp/
この記事のテーマ
「音楽・イベント」を解説
エンターテイメントを作り出すため、職種に応じた専門知識や技術を学び、作品制作や企画立案のスキル、表現力を磨きます。音楽制作では、作詞・作曲・編曲などの楽曲づくりのほか、レコーディングやライブでの音響機器の操作を学びます。舞台制作では、演劇やダンスなどの演出のほか、舞台装置の使い方を学びます。楽器の製作・修理もこの分野です。
この記事で取り上げた
「コンサート・ステージスタッフ」
はこんな仕事です
ホール、スタジアム、野外広場などの会場で、舞台・照明・音響関連の設営から本番、撤収までを手掛ける仕事。音楽ジャンルや会場付きかによっても異なるが、主に舞台クルーは背景の装飾やスモークマシンなど特殊効果機材の配置や操作を行い、照明クルーはプランに基づく機器のセッティング、ピンスポットやムービングライトなどのオペレーション、音響(PAエンジニア)はマイクやスピーカー、モニター、ケーブルなど機材の調整やミキシングを行う。いずれも専門によって分業化されている。
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