【シゴトを知ろう】マスターリングエンジニア 編

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【シゴトを知ろう】マスターリングエンジニア 編

2016.12.12

提供元:マイナビ進学編集部

【シゴトを知ろう】マスターリングエンジニア 編

CDやレコードが製品として発売される上で、最終的な音の調整をする「マスターリング」。音楽が好きな人なら知っている言葉だと思いますが、実際にどんな仕事なのかは詳しく分からない人もいるかもしれません。

そこで今回は、アナログ・レコード、CDのマスターリングエンジニアとしてサザンオールスターズや山下達郎といった有名ミュージシャンの作品を数多く手掛け、音楽ファンからも長年支持されているマスターリングエンジニア、小鐵徹さんにお仕事内容や魅力について伺いました。

この記事をまとめると

  • アーティストの思っている通りに音を作ってあげるのが使命
  • マスターリングの仕事は強靭な肉体と精神力が必要となる
  • とにかくたくさんのジャンルの音楽を聴くことが大切

アーティストの思っている通りに音を作ってあげるのが使命

Q1. 仕事概要を教えて下さい

私はマスターリングエンジニアとして、さまざまな音源制作に関わっています。CDやレコードができるまでには、マスターリングという工程が必ずあるんですが、マスターリングエンジニアは、レコーディングエンジニアがミックスした「マスター音源」を素材として、音を最終調整します。

持ち込まれた音源は、まず最初に「すっぴん」の状態で聴きます。そこから「これはほんのちょっと薄化粧した方が楽曲が生きてくるかな」「これはもっと厚化粧した方がカッコよくなるかな」という判断をしていきます。なんでもかんでもお化粧をするんじゃなくて、まず最初にすっぴんを聴いて、そこからどうしようかという判断をするところから始まるんです。アーティストの方が思い入れを持って作った作品を、そのアーティストの思っている通りに作ってあげるというのが、我々の使命だと思っています。ですから、マスターリングエンジニアというのは自分の趣味趣向ではなくて、あくまでもアーティストがどういうものを聴かせたいのかを察知することに一生懸命なんですよ。

私の場合は、午前中から仕事することはあまりなくて、だいたい13時から始まります。仕事にかかる時間はシングルかアルバムかによって変わってきますが、マスターリングはその日のうちに完パケ(※)しなければいけません。仕事には難易度の違いがありますから、サクサク行くときは1曲1時間以内としても10時間くらいで終わるんですが、そうじゃないときは徹夜になることもありますね。

※完パケとは、完全パッケージの略。編集作業がすべて終了し、出荷できる状態にすること。


Q2. 仕事の楽しさ・やりがいは何ですか?

それはもう、できあがった製品をアーティストが手にしたときに、「小鐵さん、最高によかったよ」と言ってくれる一言に尽きます。


Q3. 仕事で大変なこと・辛いと感じることはありますか?

製品を手にしたときにアーティストの方が「この楽曲はもうちょっとお化粧がほしかった」「この曲間はもう半拍子こうしたかった」ということを耳にすると辛いですね。CDやアナログレコードというのは、アーティストにとっては子どもだと思っているので、満足のいくように作ってあげたいという気持ちがあるんです。そういう気持ちで毎回、マスターリングの立ち合いのたびに意気込んでやるんですけど、なにせ生身の人間ですから、なかなか難しいですね(笑)。

自分の耳で音を聴きながら技術を身に付けた

カッティングした溝をチェックする小鐵さん

カッティングした溝をチェックする小鐵さん

Q4. どのようなきっかけ・経緯でマスターリングエンジニアに就きましたか?

私が最初に就職したのは、音響機器メーカーで、そこで1年間くらい部品の外注係という仕事をして、その後、営業としてレコード会社に入社しました。当時はアナログ・レコードが右肩上がりの時代ですけど、日本盤レコードは外国盤に比べて音がカッコよくなかったんです。日本ではアメリカから送られてくるマスターをそのままベタで、マニュアル化した流れ作業的にカッティングしていたんです。それに比べたらマスターリングされた外国盤の方がカッコイイに決まっているんです。そこで、会社がある程度音に関する感覚とか知識がある人をマスターリングエンジニアとして社内募集したんです。そこで応募して入ったのが始まりです。それが1973年のことで、本格的にマスターリングをやり出したのが1975年くらいです。ですから、それまでの日本盤のアナログレコードはマスターリングされていないんですよ。


Q5. 大学では何を学びましたか?

進学を考えたときに、音に関することだからベーシックになるのは電気だなと思って大学は電気工学部に入りました。でも、マスターリングという技術があることも知らなかったですし、今の仕事を学校で学んだということではないです。

こういう仕事って、簡単に1+1=2、というように教えられるものじゃないと思うんです。当時私が入ったときには仕事を教えてくれる先輩や師匠がいたわけじゃないんですよ。何をしたかというと、アメリカから送られたきたテープを聴いて、外国盤と聴き比べて、テープの音をレコードの音に近づけようとしたんです。でも当時はどうすればいいかもまったく分からないから、「ちょっとベースの音が大きいな。ベースは低い音だからここかな」とか、適当につまみをいじりながら音を近づけて行ったんです。それがとてもいい勉強になったんです。そうやって自分で覚えていきました。

1973年にレコード会社の工場で仕事を始めたときに、立派なスピーカーがある大きい試聴室があったんです。昼休みに昼飯を誰よりも早く食べて、試聴室を確保して自分の好きなレコードを聴いていたのですが、それが今思えばものすごくいい勉強になっていました。また、そのころに三味線や尺八だとかクラシック等、色んなジャンルの曲をマスターリングしたおかげで、今はどんな素材が来ようと即対応できます。


Q6. 高校生のとき抱いていた夢が、現在の仕事につながっていると感じることはありますか?

中学生のころにブラスバンドに興味を持って、そこからジャズを聴くようになったんです。それでラジオやポータブルレコードプレイヤーを買ってもらって、もう三度の飯よりも好きなくらい、中学高校と音楽を聴いて過ごしました。そのときに抱いた音楽の仕事への夢は、今のマスターリングエンジニアの仕事につながっていると思います。

マスターリングの仕事は強靭な肉体と精神力が必要となる

アナログレコードのカッティングで使われている、アナログカッティングマシン

アナログレコードのカッティングで使われている、アナログカッティングマシン

Q7. どういう人がマスターリングエンジニアに向いていると思いますか?

マスタリングの仕事は、時間も不規則だし体力も必要です。ですから、強靭な肉体と精神力をもって頑張れる人ですね。


Q8.高校生に向けてメッセージをお願いします

どんなことでも、「好きこそものの上手なれ」と言いますが、とにかく音楽が好きなことが基本だと思います。画家の方がよく「たくさんの作品を見なさい」と言うらしいですが、僕もまったく同じことを思いますね。たくさんの音楽を聴くといいと思います。



「一番大事なことは、『続ける』ということなんです」と語る小鐵さん。現在73歳ですが、80歳まで現役を続けるのが今の目標なんだとか。そのためにも体調管理と仕事のクオリティを保つように頑張っているそうです。こうした努力があるからこそ、一流のマスターリングエンジニアとして長年活躍していらっしゃるんですね。
マスターリングエンジニアに興味がある人は、音楽の細かいニュアンスを注意深く聴いてみることから始めてみてはいかがでしょうか。


【profile】マスタリングエンジニア 小鐵徹
【取材協力】株式会社JVCケンウッド・クリエイティブメディア
JVCマスタリングセンター代官山スタジオ
http://vcm.victor.jp/media/mastering/index.html

この記事のテーマ
音楽・イベント」を解説

エンターテイメントを作り出すため、職種に応じた専門知識や技術を学び、作品制作や企画立案のスキル、表現力を磨きます。音楽制作では、作詞・作曲・編曲などの楽曲づくりのほか、レコーディングやライブでの音響機器の操作を学びます。舞台制作では、演劇やダンスなどの演出のほか、舞台装置の使い方を学びます。楽器の製作・修理もこの分野です。

「音楽・イベント」について詳しく見る

この記事で取り上げた
「マスターリングエンジニア」
はこんな仕事です

音楽CD、ラジオ、テレビなど、メディアの規格に合わせた音質を整える仕事。主に音楽CD制作に際し、CDプレス用の規格に調整する仕事が多い。すなわち音源を商品化できるレベルまで仕上げていく役割だ。機材を扱うレコーディングエンジニアとは分業化が進み、別の職種になる。しかし、スタジオによってはレコーディングエンジニアがマスターリングまで行うこともある。この道へは音楽専門学校などで専門知識を学び、レコード会社、レコーディングスタジオ、音楽制作会社などに就職し、腕を磨いていくのが通常ルートだ。

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