【シゴトを知ろう】DTPディレクター ~番外編~
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DTPディレクター・初貝宗彦さんのインタビュー番外編。印刷業界がアナログからデジタルへと移行していく過渡期を経験している初貝さん。今ではほぼパソコン1台でできてしまうことも、アナログ時代にはなかなかできないことだったりと苦労されたようです。
この記事をまとめると
- 聞き上手、話し上手が多い。自分を追い込み過ぎないことも重要
- デジタル化されて本当によかった。アナログ時代は苦労の連続
- まずはDTPオペレーターから。本人の頑張り次第で、キャリアパスは開けていく
気になる印刷物は、「取って」おいたり「撮って」おいたり
――印刷物って世の中にあふれていると思うんですが、お仕事柄気になることはありますか?
街の中を歩いていると気になる広告があったり、印刷物を目にしてどうしても気になる部分があったりもします。写真の切り方一つとっても「こういう切り取り方をするのか」とか、文字のフォントの選び方でも「あー、こんなフォントあるんだ。いいなぁ」とか。
そういうものに関しては、印刷物そのものを取っておいたりしますね。看板のように物理的に持ち帰ることができないものはスマートフォンで写真に撮っておいたり、本をパッと開いて気になったものがあれば、そこに付箋を貼ったりということもしています。
あと、私の場合は自分がデザイナーとしての役割を担うこともあるので、「いいデザインが浮かばないな」という場合には、外に出てリフレッシュすることもあります。
人間はどうしても、自分の中に蓄積されたデータに頼ろうとしてしまうと思うんです。前にやったデザインに無意識のうちに影響されたりすると、似通ったものになってしまうこともあるので、新しいものを頭に入れるようにしますね。
――DTPディレクターには、どのような性格の人が向いていますか?
打ち合わせなども多い仕事なので、「ヒアリング能力」は必要かなと感じます。「どれだけ先方の意向を正確に引き出すことができるのか?」というのが重要になりますから、代理店さんだったり依頼主さんだったりから、「どのような考え方で進めるのか?」という部分をお聞きして、それを自分の中にしっかりと落とし込まなくては作業ができません。
それをオペレーターに対して指示しなくてはいけないということもありますので、聞き上手であり話し上手という人が多いかなと思います。
あと、自分を過度に追い込み過ぎず、気持ちを楽に保てるということも大切ですね。適度に息抜きすることができないと、絶対に長く続かないと思います。
技術の進歩で仕事の進め方も大きく変わった
――仕事をする前と後で何かギャップを感じたことはありますか?
実際にDTPに関連する仕事をするようになるまでは、こんなに忙しい世界だとは思っていなかったですね。自分が最初にこの仕事に関わり始めた頃はまだ、デジタルとアナログが半々のような時代だったので、今より何倍も印刷には手間がかかっていました。
ほぼパソコン1台あれば何でもサクサクとできてしまう今とは違って、編集用のパソコンのソフトもまだフルカラーではなく、モノクロでしか表示されなかったり……。印刷のデータを作るために定規で線を引くこともあったんですが、力の入り方で線の太さが微妙に変わってしまったり……。
今のDTPを取り巻く状況を考えると、本当に考えられない世界ですよね。ここまで便利になってしまったら、もう絶対に戻れないですね。
最近では徹夜で作業するようなことはまず無くなりましたが、昔は徹夜もしょっちゅうしていた気がします。
今ではデータをパソコンで見れば済みますが、印刷所から何か確認されてもいいように、当時は印刷したデータの控えを持ち歩いていたりもしましたね(笑)。
独立や代理店への転職などキャリアパスはさまざま
――DTPに関わる仕事には、どんなキャリアパスがあるのでしょうか?
最初は、DTPオペレーターから始めます。ディレクターの下について、指示された通りに写真の切り抜きや配置をしていく。専門学校などに通わなかったとしても、こういったものは実践的に学ぶことで身に付けていくことも可能だなと感じます。
仕事を覚えてきたら、徐々にディレクションを任されるという場面もあるかと思います。そこでようやくDTPディレクターですね。お客様や代理店の方とお話をして、先方の意向をくみ取って誌面へと反映させていくという形です。
DTPディレクターとして5年くらいキャリアを積んだら、独立を考える人もいると思います。その人の興味や頑張りにもよるとは思いますが、広告などのアートディレクターや書籍・雑誌などのエディトリアルデザイナー(出版物のデザイナー)という立場で仕事をするということもあるでしょう。
デザインのプロダクションから代理店のデザイン部門に転職する人もいるようですから、そういったキャリアも考えられなくはないと思います。
依頼主から「聞き取り」、それをオペレーターに正確な指示として「伝える」DTPディレクターのお仕事。コミュニケーションのスキルが求められる場面も多そうですね。
DTPの世界を目指そうと考えるのであれば、意識して周囲の人たちとコミュニケーションを取るようにするだけではなく、今のうちから、気になった本や雑誌、広告などを集めてみてはいかがでしょうか。
【profile】有限会社コンセプトワークス 代表取締役 初貝宗彦
この記事のテーマ
「マスコミ・芸能・アニメ・声優・漫画」を解説
若い感性やアイデアが常に求められる世界です。番組や作品の企画や脚本づくり、照明や音響などの技術スタッフ、宣伝企画など、職種に応じた専門知識や技術を学び、実習を通して企画力や表現力を磨きます。声優やタレントは在学しながらオーディションを受けるなど、仕事のチャンスを得る努力が必要。学校にはその情報が集められています。
この記事で取り上げた
「DTPディレクター」
はこんな仕事です
印刷物のデザイン・制作業務を、パソコン上のデータを主体にまとめる仕事。DTPを扱う制作会社や印刷会社のビジュアル統括者として、DTPオペレーター、コピーライター、カメラマンなど多数のスタッフと連携し、必要な指示を出して制作を進行していく。書籍・雑誌のコンセプトや広告・パンフレットの制作に際して、クライアント側の要望に応え、最適なデザインに仕上げていく業務の他、時にはクライアントへのプレゼンテーションのために自らデザインも考案する。会社によってはアートディレクターと呼ばれる場合もある。
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