【シゴトを知ろう】DTPディレクター 編
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新聞や雑誌、チラシなどの出版や印刷には欠かせない存在がDTPディレクター。専用の編集ソフトを用いて、自ら誌面の構成データを作り上げるほか、代理店やクライアント(依頼主)との打ち合わせやオペレーターへの指示なども行うお仕事です。
今回は、有限会社コンセプトワークスの初貝宗彦さんにDTPディレクターのお仕事内容について伺いました。
この記事をまとめると
- 出版・印刷に関わるお仕事。無事仕上がったときは、やりがいというより「安心感」が大きい
- 制作に直接携わりたい! 広告代理店勤務などを経て制作プロダクションへ
- 好きなものなら、学校の課題以外にも積極的に取り組んでみるべき
企業の印象を左右する印刷物を手掛けることも
Q1. 仕事概要と一日のスケジュールを教えて下さい
DTPとは「Desk Top Pubulishing」を略した言葉です。書籍やカタログ、パンフレット、チラシなど、出版・印刷に使うためのデータをパソコン上で編集したり制作したりする作業のことをいいます。
DTPディレクターは、自分自身でもパソコンのソフトを使ってデータ作成の作業を行いますし、DTPオペレーターに指示を出して制作進行管理も行います。
大学生向けのお部屋探しのパンフレットの制作をさせていただいたり、展示会などに参加される企業のパンフレットや配布物といったものの制作にも携わっています。
制作するものの進行度合いによって、その日にする作業は大きく異なります。
<一日のスケジュール>
10:00 出社
メールチェック、前日の作業の修正対応
見積もりオーダーへの対応
クライアントとの打ち合わせ
ラフデザインのチェック、入稿データのチェックなど
21:00 退社
Q2. 仕事の楽しさ・やりがいは何ですか?
印刷用のデータを納品させていただいて、仕上がりが予想通りにいったときが一番ホッとする瞬間ですね。やりがいとか楽しさというよりは、「安心感」の方が大きい仕事かもしれません。
会社案内や入社案内といった印刷物のお仕事をさせていただくこともあるのですが、「社内で評判がいいです」と言っていただけるのはうれしいですね。
Q3. 仕事で大変なこと・辛いと感じることはありますか?
企業の展示会に携わらせていただいた時、印刷したものを壁一面に貼ることがあったのですが、それはちょっとキツかったですね。2カ月で300枚分くらいのデータを作らせていただいたので。ただ、実際に出来上がったものを見た時は、「苦労が実ったな」と思えました。
制作への強い想い! 広告・出版業界で経験を積み独立
Q4. どのようなきっかけ・経緯でこの仕事に就きましたか?
新卒の時は、百貨店系列の広告代理店に入社しました。広告の制作管理や進行管理に携わっていて、今の立場とは逆ですね。クライアントとして、デザインプロダクションとの関わりがありました。
元々「自分自身が制作に携わりたい」という気持ちがあったので、広告代理店時代にデザインプロダクションと関わりを持つうちに、その想いが強くなっていった気がします。
その後は転職をして、出版業界なども経験しました。20代後半からは制作プロダクションでデザインに関わる仕事をして、そこから7、8年くらい経験を積んで独立という流れです。
Q5. 大学では何を学びましたか?
社会学部で経済に関連する分野の勉強をしました。デザインとは全く違った世界ですね。
就職活動の時は、出版や編集に興味があったのでそういう世界で働きたいなという想いがあったのですが、それはかなわなかったので、第二希望として考えていた広告代理店に就職しました。
Q6. 高校生のとき抱いていた夢が、現在の仕事につながっていると感じることはありますか?
高校の時は、理科系に興味を抱いたこともありました。電気・電子工学に進もうと思った時期もあったかな。
あと、音楽が好きでしたね。よくレコード店に足を運んだりもしていました。「自分で演奏する」ことを目指すというよりは、ミキサーなど裏方さんに憧れていました。
そういったことは、直接今の仕事には結びついていないですね。
「デザインに関わる仕事=アート」ではない
Q7. どういう人がDTPディレクターに向いていると思いますか?
集中力がある人ですね。文字に間違いがないかどうか確認する作業もあるので、「もう大丈夫だよな」と性善説での作業ではなく、「どこかに間違いがあるはず」という性悪説で作業しないと見落としが起こると思います。
デザインに関わる仕事というと「芸術」と勘違いしてしまう人もいると思うのですが、DTPで作るものの多くは「消費」されていくものです。
「クライアントが望むもの」と「アートの表現」というのは異なるものなので、「アートだ」と勘違いし過ぎない方がいいですね。
Q8. 高校生に向けたメッセージをお願いします
以前、デザイン関係の専門学校の人が採用面接に来たことがあるのですが、みんな同じような作品を持ってくるんですよね。決まったレイアウトで作られていて……。きっとみんな雑誌を作る実習で、教科書に沿って同じ素材を使って課題通りに作っているからなんですけど。
実際に仕事としてDTPをすると考えたとき、それだけをしていればいいということはもちろんありません。学校で教えてもらうことが全てではないと思うんです。本当に自分がやりたいことなら、授業以外に自分自身でも積極的に取り組むことで、初めて身になっていくものだと思います。
もしDTPに興味がある人がいれば、小さなスペースの中に、どのような形で文字や写真を配置したら見やすいかという部分などを試してみるといいと思います。
印刷物を作り上げるためのデータを扱うということは、やり直しがきかないこともあって、とても慎重な作業が要求されるようです。
DTPやエディトリアルデザイン(出版物のデザイン)などに興味があるという人は、学生向けの料金優遇プランなどもあるようですので、専用のソフトを一度触ってみるというのもいいかもしれませんね。
【profile】有限会社コンセプトワークス 代表取締役 初貝宗彦
この記事のテーマ
「マスコミ・芸能・アニメ・声優・漫画」を解説
若い感性やアイデアが常に求められる世界です。番組や作品の企画や脚本づくり、照明や音響などの技術スタッフ、宣伝企画など、職種に応じた専門知識や技術を学び、実習を通して企画力や表現力を磨きます。声優やタレントは在学しながらオーディションを受けるなど、仕事のチャンスを得る努力が必要。学校にはその情報が集められています。
この記事で取り上げた
「DTPディレクター」
はこんな仕事です
印刷物のデザイン・制作業務を、パソコン上のデータを主体にまとめる仕事。DTPを扱う制作会社や印刷会社のビジュアル統括者として、DTPオペレーター、コピーライター、カメラマンなど多数のスタッフと連携し、必要な指示を出して制作を進行していく。書籍・雑誌のコンセプトや広告・パンフレットの制作に際して、クライアント側の要望に応え、最適なデザインに仕上げていく業務の他、時にはクライアントへのプレゼンテーションのために自らデザインも考案する。会社によってはアートディレクターと呼ばれる場合もある。
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