【シゴトを知ろう】出版業界で働く人(校閲者) ~番外編~

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【シゴトを知ろう】出版業界で働く人(校閲者) ~番外編~

2016.11.30

提供元:マイナビ進学編集部

【シゴトを知ろう】出版業界で働く人(校閲者) ~番外編~

書店員のアルバイトをしながら校閲の仕事を知り、今では校閲者としてさまざまなジャンルのゲラ(原稿を本の体裁に組んだ試し刷り)をチェックする株式会社鴎来堂 校閲部の小出涼香さん。ゲラチェックの流れや出版業界でしか使わない専門用語、知られざる校閲者の仕事の実態まで、意外なお話をたくさん伺いました。

この記事をまとめると

  • 指摘を入れるときには、著者への気配りも忘れない
  • 仕事では出版業界でしか使われない専門用語もたくさん使う
  • 集中力を保つため、机の配置や仕事の進め方にも工夫

ペンの色ひとつで間違いの発見率がアップする!?

――ゲラに指摘を入れるとき、気を付けていることはありますか?
 
ゲラに入れた指摘は編集者や著者、場合によっては印刷所の方など、さまざまな人の目に触れることになります。誰が見ても分かりやすいキレイな字で書くことはもちろん、指摘の意味が伝わりやすいようにということや、著者に対して失礼にならないように、丁寧な表現で書くことにも気をつけています。

例えばちょっと文章の整合性が取れていないというとき、「ここ意味分かりません」なんて書いてしまうと著者の方はムッとしてしまいますよね。
そのあたりのバランスが難しいです。ちゃんとこっちの意図も伝わりつつ、著者が不快にならないような表現になるよう心がけています。

だから見た目には無言のままずっとゲラと対面しているのですが、ゲラ上でいかにコミュニケーションを取るかは常に考えていますね。


――なるほど、細かい気配りが必要なんですね。1つのゲラをチェックするとき、決まった手順や流れのようなものはあるのでしょうか?

1つの案件は著者の赤字を反映しながら初校→再校→念校と進んでいくことがほとんどです。初校には著者のチェックが入ります。再校以降ではまず「赤字照合」から始めます。著者の赤字がすべてゲラに反映されているか、チェックしていくんです。

漏れがないように赤字にチェックマークを入れていくのはもちろん、入れ終わった後にもう一度漏れがないかどうか確認しています。そのときゲラからちょっと離れて、全体を見ることが大切。ゲラの端の方に書かれた赤字などを見落としていることがあるんです。
チェックマークを入れるときは赤字と色がかぶらないように、緑や水色など目に飛び込んでくるような色のペンを使っています。こういったひと手間で、チェック漏れが随分減るんですよ。

これがひと通り終わったら、実際にゲラを読む作業(素読み)に入って指摘を入れていきます。
指摘=赤字と思われているようですが、指摘は鉛筆で入れるのが基本です。校閲者が赤いペンで指摘を入れるのは、著者の赤字がきちんと反映されていなかった箇所などです。

出版業界の人しか分からない専門用語もいっぱい!

――校閲の世界には専門用語も多いと聞きましたが、やはりそうですか?

そうですね。この仕事は、結構専門用語が多いです。まず私たちの読む試し刷りのことを「ゲラ」と言いますし、振り仮名のことは「ルビ」と呼びます。ルビの入れ方も中付き(対象となる文字の中央に入れる)や、肩付き(対象となる文字の右肩につける)などがあります。
ルビについてはほかにも一文字ごとに振るか、対象の語全体に均一に振るかなどの違いもあります。

表記の統一も大切です。固有名詞のほか、キーワードにも気をつかいます。たとえば美容に関する本の場合「美しい」という表記と「うつくしい」という表記が混在していたら、傾向を見て「そろえますか?」という指摘を入れます。

ウェブではこうした表記の統一は「置換」なんかの機能で簡単にできますが、データがいつもあるわけではないので、紙の上でチェックをするときは記憶に頼るしかありません。とはいえ読みすすめながらどの表記が多出かを書き出してチェックするので「この言葉は漢字のほうが多いな」と気付けるんです。

――そんなに細かいところまで! でもたしかに、区別が必要なところですよね。

はい。あとは誤解が起きる可能性を少しでも減らすため表記方法を工夫します。たとえば漢数字の「一」だと、「―(ダーシ)」や「ー(オンビキ・伸ばし棒のこと)」と見分けがつきにくいですよね。だから「一」と書いた下に「(漢数字)」と注記を入れるようにしています。同じように漢数字の「二」もカタカナの「ニ」と見分けがつきにくいので、注記を入れます。

また「・(ナカグロ)」も「.(ピリオド)」などと見間違いやすいと思います。なので点が中央にくるように囲みを入れて、区別しやすいようにしていますね。
先ほどご説明した振り仮名の「ルビ」も、これはルビだと分かるように、丸囲みで「ル」という文字を入れたりします。

――チェックすべき点が本当にたくさんあるんですね……!

そうなんです。でもこういったものはまだまだ序の口。不適切な表現が使われ、炎上したりすることってよくありますよね。そういう表現についてアラートを出すのも、私たちの役割だと思っています。

指摘には、基本的に「?(ハテナ)」を付けるようにしています。文脈上違和感があっても、著者の方は何かの意図があってその表現にしたのかもしれないし、そのあたりは私たちには正確に窺い知れないためです。

このようにあくまでもその指摘を採用するかどうかは著者の方や編集者の方の判断にお任せしていますが、差別的な表現が使われたり、あまりにも偏った断定的な表現については「世間一般的にはこう思うかも知れません」というのを、読者の立場で節度を持ってご提案するようにしています。


普段ゲラチェックのときに使っておられる文房具は、どんなものなのでしょうか?

校閲をするときはシャーペンか鉛筆、それと消しゴム、赤ペン、定規を必ずデスクに出しています。定規は指摘を少しでもキレイに入れるための必須アイテム。指摘の引き出し線があまりにグチャグチャしていると、読むほうもイヤになってしまうと思いますので。

ペンも鉛筆も、太くてはっきり見えるもののほうがいいですね。文字が細いと見えにくいですし、鉛筆だとだいたいみんなB2以上のものを使っていると思います。HBとかだと、固くて消したときに跡が残ってしまうんです。

あとはゲラによっても、筆記用具を使い分けています。背景が黒っぽいページだと、指摘を入れても見えませんよね。その場合、コピーで反転させてそれに指摘を入れたりしています。
索引など文字が小さい箇所があれば、そのページを拡大コピーしてから指摘を入れることもありますね。

壁に向かって仕事、メモでやり取り……校閲者の知られざる日常

――校閲のお仕事を始めてみて驚いたことや、意外だったことはありますか?

机が壁沿いに並んでいて、みんなが壁に向かって作業しているのを見たときは驚きましたね。でも、実際に壁に向かって作業してみると無心になれて仕事がはかどるんです。一見変わった配置ですが、この仕事には向いている配置なのかもしれません。

職場は基本的にシーンとしています(笑)。ほかの人の話し声がすると集中力が途切れるので、雑談は基本的にないですね。業務上で話す必要があるときも、小さい声でささやく程度。メモを渡して会話することもあります。

出版される前のゲラは機密事項となるので、社外の人に口外しないのはもちろんですが、内容はもとより「この人がこういう本を書く」ということでさえも、意図しない時期に世に出てしまえば一大事になりかねません。そういう事情もあって、自然に職場が静かになるのかもしれないですね。


――なるほど! そのほうが効率的に仕事を進められそうですね。

そうなんです。あとは机の整理整頓にも気をつけていますね。著者や編集者の方の赤字が入ったゲラというのは、世界に1つしかありませんから、汚さないよう細心の注意を払っています。
机はわりと広くて、ゲラ2つは置けるようになっています。場合によっては1つの案件で3つ、4つのゲラを同時に見なければならないこともあるので、机の上には極力ムダなものを出さないようにしていますね。筆記用具と辞書くらいです。

基本的に飲み物はゲラの近くに置きませんし、保管のときも濡れたり破れたりしないようにクリアケースに入れたりしています。プライベートではズボラな人も、仕事に入れば別(笑)。周りの人もみんな、ここは徹底しています。
 

これまで担当された本が並ぶ本棚を背に、生き生きと今の仕事のことを語ってくださった小出さん。校閲の業務は「ゲラの間違いをチェックする」というだけでは語りきれないほど、奥が深いものなんですね。そんなことに思いを馳せながら本を読むと、また違った発見があるかもしれません。
 

【profile】株式会社鴎来堂 校閲部 小出涼香

この記事のテーマ
マスコミ・芸能・アニメ・声優・漫画」を解説

若い感性やアイデアが常に求められる世界です。番組や作品の企画や脚本づくり、照明や音響などの技術スタッフ、宣伝企画など、職種に応じた専門知識や技術を学び、実習を通して企画力や表現力を磨きます。声優やタレントは在学しながらオーディションを受けるなど、仕事のチャンスを得る努力が必要。学校にはその情報が集められています。

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この記事で取り上げた
「出版業界で働く人」
はこんな仕事です

書籍や雑誌などの出版物を手掛ける仕事。出版社には企画、取材、執筆などを担当する編集者、校正者、進行管理や原価計算、印刷や製本管理など、数多いスタッフがいる。実際に本をカタチにするスタッフ以外に、出版物を書店へ流通させる営業マンがおり、電子書籍を扱うデジタル部門の担当者、読者に魅力を伝える仕組みを考える宣伝・プロモーターなどさまざまな担当者が働いている。出版社からは、編集プロダクション、カメラマン、ライター、イラストレーターなどの専門クリエーターへ外注する場合が多い。

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