【シゴトを知ろう】学芸員 編

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【シゴトを知ろう】学芸員 編

2016.12.16

提供元:マイナビ進学編集部

【シゴトを知ろう】学芸員 編

みなさんが普段訪れる博物館や美術館。そこで資料や作品の収集や調査、研究などを行う専門職を「学芸員」といいます。

今回は、東京・お台場にある「日本科学未来館」で常設展示や企画展示、10代向けのワークショップの企画と制作を行う学芸員(キュレーター)、宮原裕美(みやはら・ゆみ)さんに、そのお仕事について詳しく伺いました。

この記事をまとめると

  • クリエイターや教育関係者、研究者など、たくさんの人とかかわる仕事
  • 美術以外にも興味を持ったことで、世界が広がり、現在の仕事にもつながった
  • 好奇心の強い人やサービス精神旺盛な人が向いている仕事

専門家の考えに触れることで、新しい価値観が見つかる喜び

Q1. 仕事概要を教えて下さい
 
私は前職で九州国立博物館で教育普及担当として勤務したあと、現在は日本科学未来館の学芸員(キュレーター)として、常設展示や企画展示の企画と制作を担当しています。また、ワークショップなどお客さまと一緒に、科学について考えていけるようなイベントの企画も行っています。

例えば今年の夏休みに開催した企画展「忍者ってナンジャ!?」では、まず、忍者の歴史的な位置づけを取材し、さらにそれを現代の科学とひも付けて、忍者の新しい一面をみなさんに楽しみながら知っていただける方法を考えながら一つひとつの展示を生み出しました。そのため、研究者や科学者だけではなく、空間デザイン、映像ディレクション、グラフィックデザインなどを担当するたくさんのクリエイターと一緒に何度も打ち合わせを繰り返し、展示を作り上げていきました。

常設展示は、最先端の科学技術や研究の最先端を紹介するという任務があります。どんな展示を作るべきかを、国の科学技術政策の方針や社会のニーズ、その時の世界的なニュース、動向などを鑑(かんが)みながら決めていきます。
 
 
Q2. 仕事の楽しさ・やりがいは何ですか?

現在進行中の科学の研究を知ることができるということですね。例えば、宇宙の誕生、地球外生命は本当にいるのか、生命の根源とは何か、地球温暖化の原因や解決策は何かなどです。

自分の国だけにとどまらず、地球規模で向き合わないといけない壮大な研究の最前線を目の当たりして、科学者といろいろな話をすることで、私自身の目が開き、新たな世界観や価値観を持って身の回りを見渡すことができるという機会をいただけるのは本当に楽しいです。
霊長類学を研究している科学者と「人間」をテーマとした展示を作ったときに、人間と最もDNAが人間に近いといわれるチンパンジーを比較することによって人間の特徴を研究するという、そのアプローチが非常に興味深いと思いました。
このように、まったく新しい考え方、見方と出会うことができるのが魅力です。
 
 
Q3. 仕事で大変なこと・辛いと感じることはありますか?

私が文系出身であることから、科学的な専門用語の理解には苦しむことがあります。例えば、「心の研究」は実は脳科学で追及しようとすることで、いわゆる感情や心理のみのことを指すものではないんですね。この共通の言葉の理解を持つことがけっこう大変でした。

それに加え、理系のスタッフは理論の根拠をどこまでそろえるかという事にこだわります。そのため、私は企画をたてる時に、その内容にどれだけ根拠がそろっているかということを大事にするようにしています。

「分からない」を「分かる」にするプロセスが楽しい

日本科学未来館の常設展、「未来逆算思考」の展示の様子

日本科学未来館の常設展、「未来逆算思考」の展示の様子

Q4. どのようなきっかけでその仕事に就きましたか?

私は美術鑑賞や映画鑑賞が趣味だったので、大学の文学部で美術史を専攻していたのですが、その後アメリカに留学した時に、ニューヨークの近代美術館に行って、とてもびっくりしたんです。

そこで小学生向けのギャラリートークを偶然目にしたのですが、みんな床に座って、自分の意見を積極的に話しているんです。それに美術館の学芸員は、作品を解説するというよりは、絵について質問を子どもたちに投げかけるだけで、子どもたちは絵をみながら自分なりの考えを話していました。そこには正解も不正解もなく、何人もの子どもたちの考えの総体がその絵の解説となっていたんです。その光景にとても感動しました。そして帰国後は特に現代美術(80年代以降の生きているアーティストや同世代のアーティストなどが特に対象)を見ることが多くなりました。

そんな中、展覧会を作る人はどんな思いで作っているのか、ということに興味を持つようになったのです。大学で学芸員の実習に行ったときに、学芸員が孤立して仕事しているわけではなく、展示会社の人、デザイナー、雑誌・新聞、学校教育者などさまざまな人と関わり、お客様の反応も直接感じられる、とても社会に開かれた仕事なのだと実感して、ミュージアムで働きたいと思うようになりました。


Q5. 大学で学んだことで今につながることはありますか?

大学では美術史コースで勉強しながら、音楽関係のサークルに入っていました。そこでは、音楽に詳しい先輩が、ジャンルごとにレコードやCDをかけ、その音楽の解説や、当時の文化について教えてくれました。そして音楽と映画、ファッションがとても密接に関わっていることを知りました。現在、科学の展示を作るときに、音楽、ファッション、新しい技術といったさまざまなジャンルを横断して一つのものを作ることがありますが、その時の影響があるのかもしれないなと思います。


Q6. 高校生のときはどんな夢を抱いていましたか?

高校生のころは絵本作家になるのが夢でした。絵を描いたり、お話を書いたり、また英語も好きだったので、英語の絵本を自分なりに翻訳したりしていました。小説を読むのも好きだったので、図書館で本をよく借りて読んでいましたね。

新しいことをおもしろいと思える気持ちを大切にして

Q7. どういう人がその仕事に向いていると思いますか?

新しいことを「おもしろい!」と思えるような好奇心のある方が向いているのではないでしょうか。それと、サービス精神のある人が向いていると思います。お客さまに納得してもらう、楽しんでもらうためにはどんな展示がいいのか、一生懸命考えられる人がいいと思います。


Q8. 高校生に向けたメッセージをお願いします

学芸員の仕事は、研究対象が美術であろうが、科学であろうが、やることに違いがあるとは思いません。何か新しい発見や、世界観を手にすることで、世界の見え方がたちまち変わってしまうような体験をしたい人、それを誰かに伝えたい人にはぜひ目指してほしいです。

それには、普段からいろいろなことに興味を持ち、おもしろがるということを大事にしてほしいと思います。美術作品や文学作品など、評価の高い小説や作品に触れることで、自分の持っているセンサーを磨くことは、自分が何かを生み出すときの力となるはずですよ。


 
宮原さんが手がける現在の展示の斬新な見せ方には、常に「新しいこと」に好奇心を持つことがつながっていることが分かりました。学芸員の仕事に興味が湧いた人は、自分の興味のある分野以外のことにも目を向けて、ぜひ自分の感性のセンサーを磨いてみてくださいね!
 
 
【profile】日本科学未来館 学芸員(キュレーター)宮原裕美(みやはら・ゆみ)

この記事のテーマ
デザイン・芸術・写真」を解説

デザインは、本や雑誌、広告など印刷物のデザイン、雑貨、玩具、パッケージなどの商品デザイン、伝統工芸や日用品などの装飾デザインといった分野があり、学校では専門知識や道具、機器を使いこなす技術を学びます。アートや写真を仕事にする場合、学校で基礎的な知識や技術を身につけ、学外での実践を通して経験やセンスを磨きます。

「デザイン・芸術・写真」について詳しく見る

この記事で取り上げた
「学芸員」
はこんな仕事です

博物館の展示資料を集め、管理をすることが主な仕事。学芸員とは博物館法によって定められた専門職で、国家資格の名称でもある。民芸博物館や歴史博物館のほかに、美術館や水族館、動物園といった文化施設全般が仕事のフィールドとなる。展示資料の収集・管理のほかに、展示の企画、施設の広報、来場者の案内と、業務は多岐にわたり、地方講演や海外での資料収集に出かけることも珍しくない。さらには、経験を重ねると講演会や大学の講義に講師として招かれることもある。

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