【シゴトを知ろう】靴デザイナー 〜番外編〜

「【シゴトを知ろう】靴デザイナー 編」では、「RANDA」などで知られる株式会社ジェイ・ビーのデザイナーを務める富山由貴さんに、靴デザイナーのお仕事内容や魅力について伺いました。
こちらの番外編では、靴デザイナーならではの「あるある」や、お仕事の知られざる一面などについてお話を伺います。
この記事をまとめると
- 靴は健康への影響が大きいので、クッション性のある素材を使うなど工夫している
- 日常生活の中でもつい靴や靴のデザインに活かせるものをチェックしてしまう
- 中世ヨーロッパではヒールの靴をはくのは男性だった
履く人の健康を守るために、クッション性のある素材を使うなど工夫している
――靴は健康への影響が大きいと聞きました。靴のデザインをするときに、健康のことを考えてデザインすることはありますか?
靴を着用していただくとき、できる限り快適に過ごしていただきたいと考えるため、内側の肌に触れる部分はクッション性のある素材を積極的に使用しております。履いていただく方の健康のことはじっくり考えています。
――お仕事とリンクする、休みの日にありがちな「あるある」があれば教えてください。
靴とは関係のない場所へ出かけた際でも、知らない間に靴に目がいき、市場調査の感覚で仕事に生かせる情報を集めてしまっていることは靴デザイナーにとってあるあるですね。
ハイヒールはかつて男性のものだった!?
――では、靴に関することで意外と知られていない、知られざる事実やトリビアを教えてください。
「おしゃれは足元から」といわれるように、靴は日々のコーディネイトに欠かせないアイテムだと思います。現代では、たとえば革靴は男性、ヒールのある靴は女性というのが一般的ですが、その昔、ハイヒールはおもに男性が履いていた時代があったそうですよ。
もともとハイヒールは中近東で乗馬用の靴として男性に利用されていたもので、それが16~17世紀ごろに欧州に伝わり、背が高く雄々しく見せるために男性の貴族たちがヒールをより高くして履いていたという説があります。特に、身長が低かったフランス国王ルイ14世は、ハイヒールの愛好家だったとされています。その後、女性がハイヒールを履くようになっていきました。(※諸説あります)
日本に靴が伝わり普及していくのはそれからしばらくあとのことですが、そのときにはすでにハイヒールは女性が履くものとなっていたようです。
早朝から店頭に並んでくれたお客さんを見て、大きな達成感を感じた
――最後に、お仕事の中で、一番の思い出や達成感を感じたエピソードについて教えてください。
初めて担当させていただいた、自社ブランドと他社キャラクターとのコラボ企画を展開できたことが、私の中で一番思い出に残っています。
今はインターネットで何でも手に入る時代ですが、店頭でしか購入できない限定商品を作成しました。つくり上げるまでに、データの作成、靴として着用できる許容範囲、デザインの幅を広げられる規定ぎりぎりまで可能性を広げて考えたデザインは、さまざまな方のご協力で貴重なアイテムに仕上げることができました。そしてSNSでの告知が始まり、お客様の驚きとわくわくの声を聞きながら発売日を迎え、店頭で早朝からのお客様の行列を知ったとき、会社の歴史に残る1日になったのではないかと達成感を感じることができました。
ハイヒールがもともと男性のものだったとは驚きですね! こうしたファッションに関する歴史もデザインする上では役に立ちますので、歴史の勉強をしながらファッションにも注目してみるとおもしろいはずです。ぜひ、いろいろな靴のデザインを見て、どんな素材が使われているのか、形のバリエーションはどれくらいあるのかなど研究してみてくださいね。
【Profile】株式会社ジェイ・ビー RANDA 富山 由貴
http://jb-corp.co.jp/
https://www.facebook.com/jb.corp.Recruit/
この記事のテーマ
「ファッション」を解説
ファッションの専門知識や業界のビジネスノウハウを学び、感性やセンス、基礎技術を磨きます。作品の発表会や学外での職業実習などを通して職業人としての実践力を身につけるほか、資格取得を目指すカリキュラムもあります。仕事としては、素材づくりや縫製など「つくる仕事」と、PRや販売促進などファッションビジネスに関わる仕事に分かれます。
この記事で取り上げた
「靴デザイナー」
はこんな仕事です
靴のデザインを専門に行う職種。分野は大きく分けて紳士靴、婦人靴、子ども靴の3つ。季節や用途によってビジネスシューズやハイヒール、スニーカー、サンダル、ブーツなど多様なアイテムに対応する。ファッションアイテムとしての美しさはもちろん、履き心地、歩きやすさを兼ね備えているか、さらに歩行に関する運動力学の視点も必要。多くがシューズやアパレルメーカーの企画部やデザイン部に勤めている。足元のファッションが大好きなら適性があるが、消費者ニーズを反映させる視点や企画力、デザイン能力も求められる。