【シゴトを知ろう】食品系研究・技術者 編
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油脂や製菓・製パン素材、大豆たんぱくなど、食品に関わる原料を研究・開発している「不二製油」の加藤真晴さん。普段接する機会のない研究者の仕事とは、どのようなものなのでしょうか? 仕事内容ややりがいについて、お話を伺いました。
この記事をまとめると
- 研究職の仕事を学ぶ
- 一生懸命考え続けることが大切
- 考えたことを伝えるコミュニケーション能力も必須
食品を支える重要素材を研究する仕事
Q1. 仕事概要と一日のスケジュールを教えて下さい
「油脂」の基盤研究を担当しています。油脂とは、チョコレートやアイスを作る際に欠かせない原料で、みなさんが必ず一度は口にしたことがあるもの。それをさらに深く研究して、新しい素材や技術の開発をしています。現在はチームリーダーをしているので、チームのみんなに指示を出したり、研究の方向性を決めたりする仕事がメイン。プレゼンや海外出張も多いです。
<一日のスケジュール>
8:30 出社・朝のミーティング
9:00 各担当者と研究の進行打ち合わせ・会議資料作成など
11:00 プレゼン準備
12:00 昼食
13:00 プレゼン
15:00 他部署の方々と研究打ち合わせ・研究方針の指示出しなど
18:00 帰宅
Q2. 仕事の楽しさ・やりがいは何ですか?
今まで不可能だと思われていたことが、研究によって実現できた時はうれしいです。最近は、数十年間実現が不可能だった開発にも成功しつつあるんですよ。0から1を生み出す仕事なので、それが形になって評価され、世の中に広まっていくのがやりがいになっています。
Q3. 仕事で大変なこと・辛いと感じることはありますか?
研究はトライ&エラーの繰り返しなので、失敗し、今後どう進めていこうかと落ち込むこともたくさんあります。でも、それが研究のヒントにもなるんです。失敗したら、どこがダメだったのかを分析し、それを突破口にして新しい切り口を見つけることができる。大変なことや辛いことも、それで終わりではなく、必ず次につながります。
世の中の役に立てる仕事をしようと食品の研究へ
Q4. どのようなきっかけ・経緯で食品研究の仕事に就きましたか?
初めは理系の大学に進学し、植物の研究をしていました。研究自体は高く評価していただけたのですが、もっと世の中に貢献できる仕事がしたいと思うようになり、さまざまな展開が考えられる食品の分野に進むことにしました。新卒で現在の会社に入社してからずっと働いています。
Q5. 大学・専門などでは何を学びましたか?
学校の先生をしている親戚のおじさんがいて、聞けば何でも知っている人でした。幼い頃から憧れていたので、おじさんがやっていたバイオ研究に近いことがしたいと思い、大学では砂漠で生きられる植物の研究を専攻し博士課程まで進みました。
Q6. 高校生のとき抱いていた夢が、現在の仕事につながっていると感じることはありますか?
特待生として家から離れた学校に往復4時間かけて通学していました。なので、部活はできなかったけれど勉強はよくしましたね。その頃に一生懸命考える癖がついたので、研究をする上での粘り強さが身についたと思います。
考え抜いたことを発信すれば、みんなに伝わる
Q7. どういう人が食品研究の仕事に向いていると思いますか?
研究を続ける根気強さももちろん必要ですが、せっかく研究をしても、それを伝えることができないと自己満足で終わってしまいます。なので、人に提案するためのコミュニケーション能力や、文章で表現する力も大切ですね。1人でできることにはどうしても限りがあるので、周りの人を巻き込みながらやることで、研究の幅も広がります。
Q8. 高校生に向けたメッセージをお願いします
筋肉トレーニングをすると次第に体が鍛えられるのと同じように、脳もトレーニングをすることで鍛えることができます。良いことをたくさん考えると良い思考が身につくし、たくさん考えるようにすると、日頃からたくさん考える癖がつきます。目の前にある物事をひとつずつしっかり考えられるようになっておくと、研究だけでなくいろいろなことに役立ちますよ。
一つの研究が完成するまでには、3年以上かかることが多いのだそう。その間も研究を続ける粘り強さや、考え続けること、さらにはそれを伝えることが研究者には大切だと教えていただきました。
もし興味があることにチャレンジをし、思い通りにいかないことがあったとしても、きっと次につなげるための糧になります。進路を考える際にも、諦めずに根気強く続けてみることが道を切り開く鍵になるのかもしれませんね。
【profile】
不二製油グループ本社株式会社
未来創造研究所 油脂チーム リーダー シニアマネージャー 加藤 真晴
この記事のテーマ
「食・栄養・調理・製菓」を解説
料理や菓子などの調理技術を生かしてサービスを提供したり、栄養に関する知識を生かして豊かな食生活を提供したりする仕事です。栄養に関する知識はもちろん、メニュー開発や盛りつけ、店のコーディネートに関するアイデアやセンス、食材や飲料に関する幅広い知識も求められます。
この記事で取り上げた
「食品系研究・技術者」
はこんな仕事です
食品メーカーなどで新たな食品の企画・開発や、商品の安全性や品質の検証、食品生産に役立つ技術開発などを行うのが仕事。ファミリーレストランやコンビニエンスストアで次々に登場する新メニューや新商品は、食品系研究・技術者が試作して食味や成分を分析し、開発しているものだ。また、ターゲットや商品コンセプトを決め、商品パッケージの検討や価格設定などの役割も担う。食品の製造機器や製造工程の検査を行う場合もあるので、責任の大きい仕事といえる。
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