【シゴトを知ろう】不動産鑑定士 ~番外編~

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【シゴトを知ろう】不動産鑑定士 ~番外編~

2016.11.25

提供元:マイナビ進学編集部

【シゴトを知ろう】不動産鑑定士 ~番外編~

厳しい資格試験を乗り越えて、他業種から不動産鑑定士への転身を果たした藤嶋知将さん。調査方法の詳細から鑑定スキルを磨くための情報収集法まで、気になるお仕事の裏側を聞いてきました。

この記事をまとめると

  • 不動産鑑定の調査手順を紹介
  • 高値になるのはこんな不動産!
  • 鑑定スキルを磨くための情報収集のコツ

不動産鑑定の調査ってどんなことをしているの?

――不動産の鑑定にはこまやかな調査が必要とのことですが、具体的にはどのような流れで調査をされているのでしょうか?
 
まずはご依頼いただいた内容をかなりじっくりと詰めます。「この不動産を評価してください」という話であっても、不動産のどの部分を評価するのかによって、評価額は変わってきますから。

また、依頼目的をはっきりさせておくことも必須ですね。不動産の話は専門知識も多いので、依頼者の方がこの業界に詳しくない方だと、あとあと食い違ってしまうこともあるんです。
そういった場合には「こういった目的意識で、このような調査の進め方をするのはいかがですか?」と逆に提案させていただくことも多いですね。
 

――調査に出る前にそこまでしっかりと精査されるんですね。

そうなんです。ここでしっかり時間をかけたほうが、あとあとスムーズに行くことが多いです。急がば回れという感じですね。

依頼内容がしっかりと固まったら、まずは物件の情報を収集します。このとき集めるのは、敷地面積や間口、奥行、形状、築年数などの基本情報ですね。市役所や区役所、法務局などに物件の情報が記載された資料があるので、それを見てデータに落とし込みます。

基本情報の収集が終わったら、実際にその物件を見に行きます。物件の価格は、単に敷地面積の広さや建物の新しさだけで決まるわけではありません。駅からの距離や周辺の環境など、本当にさまざまな要素が絡み合っているので、物件そのものだけでなく、周辺を歩いてみたりして幅広く調査します。


――確かに、自分が物件を買う側の立場だと、周辺の環境はかなり気になりますよね。

はい。あとは不動産の価格って、周辺にある不動産の取引価格に左右されることも多いんです。そのため、その地域に精通された不動産業者の方へのヒアリングも欠かせませんね。

ひと通り調査を終えたら会社に戻ってきて、実際に査定作業を行います。ここで終了というわけではなく、査定作業が終われば必ず追加で必要な情報が出てきます。さらにその情報を収集しに調査に行くという繰り返しですね。

高値になる不動産の特徴って?

――不動産の価値をはかるとき、一番の決め手になる要素は何ですか?

これはかなり難しい質問ですね(笑)。不動産の価値をはかるとき、場所はとても重要な要素です。毎年決まった時期に地価公示や地価調査が行われているので「日本で一番土地価格が高いのは○○」というようなニュースを見たことがある人もいるかもしれませんが、案の定そういった場所は注目が集まりやすく、その結果として地価もますます高くなります。

木造か鉄筋かといった物件の構造も欠かせないポイントです。他にはどういった方がテナントで借りられているか、どういった用途に利用されているかなども調べますね。

不動産の価格をはかる指標としてよくあげられるものに、路線価があります。路線価とは、道路沿いの土地の値段のことなのですが、これも実は不動産鑑定士が出した数字を目安にして作られています。だから私たちは基本的にあらかじめある値を基準にして調査をするのではなく、その物件の立地や地価などを細かく調べて、0から参考データを作るというイメージですね。


――徹底してオリジナルの調査が必要なんですね。ひと口には言えないと思うのですが、高値になる不動産の特徴は何かありますか?

やはり、他に替えの効かない物件は高値になりますね。たとえば、今日本で一番地価が高いのは銀座4丁目の交差点*と言われています。もうここはブランド価値があり、他の土地では替えが効きません。そんな土地に建っている物件は、高い値がつくと思います。
*国土交通省のホームページ

あとは駅近の物件が人気というのはなんとなく分かるかもしれませんが、これだけでは希少価値は上がりません。間違いなく高値になるのは「駅上」ですね。駅近だとその駅の周辺がぐるっと一周対象になりますが、駅上はその地点しかないですから。
そういった「ここしかない」物件は、おそらく普遍的に売れますし、価値も上がっていくのではないかと思っています。

人がたくさん集まる場所というのも、やっぱり人気です。ロータリーに面しているような物件は、非常に良かったりしますね。これはテナントさんには特に大事なことです。いい商品を売っていても、お店を人に見つけてもらわないと売れませんから。


――不動産にも希少価値がつくのですね。エリアにも人気の差があると聞いたことがあるのですが、そのあたりはいかがですか?

値上がりするエリアというのはプロでも予測が難しいです。しかし最近は開発動向も公表されているので、そこで大きく変わるようなところは、注目されやすいかもしれませんね。
マンションなどの部屋を借りるとき、月々家賃を支払うと思いますが、その家賃はそのエリアの相場を基準に決められていることがほとんどです。

この相場を見極めるのが難しくて、今高い家賃で成り立っている物件でも、将来その地域に住人が全然いなくなり、相場がぐんと下がることもあるかもしれないですよね。そうなれば、今の家賃では誰も入居してくれないということにもなりかねません。
なので、「将来高くなるか、安くなるか」ということも考慮して、長期的な目線で調査をしないといけません。

鑑定スキルを磨くには、どんなことをしておけばいいの?

――不動産鑑定のセンスを養うための情報収集の方法や、目をつけるべきポイントはありますか?


人の動きや不動産市場の動きを予測するために、ニュースを見ておくのは1つの方法ですね。ただ、既にニュースが出回っていたり、開発が始まってしまったりしてからでは遅いので、それ以前に情報をキャッチし事前に仕込んでおく必要があります。だからこそ、この仕事が成り立つとも言えますから。

一方で、ニュースの影響力は大きいです。物件の価格は人の期待によって動く部分も大きいんです。「ここが値上がりするよ」と言われれば1人買って、1人が買えば次の人が買って……と実際に値上がりしていったりします。
そういう面で考えると、日ごろからニュースを見て、人の集まりそうなエリアを予想するのは、やはり不動産鑑定のセンスを磨くのに役立つかもしれません。


――先行きを予測する力が必要だということですね。街中に建っている住宅やビルを見るとき、注目すべきポイントなどはありますか?

不動産鑑定において、「ここを見ていたら安心」というポイントはありません。だからこそ自分が気になるポイント、面白いと思うポイントに着目して、そこから調査を広げていくことができるんですね。

最初はビルの前にあるテナントの看板を見て「このカフェ、すごく行ってみたいな」というところから始めても大丈夫。そこから「このカフェには何人くらいお客さんが来るかな。そうしたらどのくらい利益が出るかな」と広げていけばいいわけですから。 

不動産鑑定と聞くとすごく難しいことのように思えるかもしれませんが、本当は建物を自分の好きな見方でしっかり見る、ということに尽きるかなと思っています。
同じオフィスビルでも立地を気にする人もいれば、建物そのものに興味のある人もいるし、どんなテナントが入っているかが大事という人もいますよね。これらのどれが間違いで、どれが正解ということはありません。
自分の街にある住宅やビルを眺めて、興味を持つところから始めてみてほしいと思います。


家や住宅、ビルなどは身近にあるのに、どことなくイメージのわきにくい不動産という商品。値段を決めるのが難しいからこそ、オリジナルの調査や情報収集が必要なのですね。興味が湧いた人は、近くに建っている住宅やビルを観察してみるのもいいかもしれません。 
 

【profile】
一般社団法人日本不動産研究所 本社事業部 
不動産鑑定士 藤嶋知将

この記事のテーマ
ビジネス・経営」を解説

法律などの専門知識を学び、文書作成などの技能を磨くほか、資格取得や検定合格を目指すカリキュラムもあります。小売業や不動産売買、経営コンサルタントや税理士など、各ビジネス分野におけるスペシャリストも育成します。国家試験の合格が求められる高度な資格を必要とする仕事もありますが、専門学校の中には受験指導に実績を誇る学校もあります。

「ビジネス・経営」について詳しく見る

この記事で取り上げた
「不動産鑑定士」
はこんな仕事です

不動産を鑑定し、適正な価格を評価する仕事。不動産を売買するときや家賃を決めるとき、公正な価格が定まっていることが重要となる。不動産鑑定は国や都度府県から依頼される公的評価と、企業や個人から依頼される民間評価の2種類。業務としては、鑑定対象となる土地や家屋の建設などにかかった費用や近接地域での取引額、それを利用することでの収益見込みなどを調査。不動産鑑定評価基準にのっとり、適正な価格を決定。不動産鑑定事務所や不動産会社などで活躍する人が多い一方、不動産コンサルタントになる人もいる。

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