【シゴトを知ろう】塗装業 〜番外編〜
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「【シゴトを知ろう】 塗装業 編」では、佐藤興業株式会社で働く1級塗装技能士 高橋淳一さんに塗装業をはじめたきっかけ、日常のお仕事の様子などを教えていただきました。佐藤興業株式会社はテレビに映るような有名な建物も多く手掛けており、リーダーとしてチームを率いて手掛けた建物が完成したときの達成感はとても大きなものであることが分かりました。
今回は、より塗装の仕事を掘り下げるべく「番外編」として、塗装業ならではのトリビアなどについて伺いました。
この記事をまとめると
- ショッピングモールの壁や扉の塗装をまじまじと見てしまう
- 職人同士のコミュニケーションを取るときに使う、暗号のようなな言葉がある
- 野球場、巨大アミューズメント施設など、テレビによく映る建物を手掛ける醍醐味がある
ショッピングモールの壁や扉の塗装をすごく見てしまう
――塗装業ならではの、仕事上や休みの日の「あるある」なことを教えてください。
買い物でショッピングモールに出かけたときなどに、壁や扉の塗装をまじまじと見てしまいますね。どんな風に仕上げているのかな、きれいだな、と気になります。
それと、先日大きなアミューズメント施設の近くにあるショッピングモールに行ったときに見たんですが、「だまし絵」みたいな塗装をしているところがあるんです。遠くから見るとレンガや扉があるよに見えるんですけど、近づいてみると塗装をしてある、という絵と塗装の中間のような技法があるんですよ。うちの会社はそういう塗装も扱っているので、今後はそういう技術も学んでいきたいですね。
――塗料が体に着くと、落ちにくいこともあるのでは……と思うのですが、そうしたときに落とすコツはあるのでしょうか?
そう思われるかもしれませんが、私たちの仕事で使っている塗料は、お風呂に入って、お湯で落とせばだいたい落とせちゃいます。水性塗料であれば特にそうです。水ではなくてお湯で落とせばだいたいは落とせますので、特別なものは使っていませんね。
――日ごろ、体調管理などで日常的に心掛けていることがあれば教えてください。
やはり朝が早い仕事なので、早寝早起きを心掛けています。それと、ちょっと体調が悪いときは仕事をせず、休むように、上司から言われています。体調が悪いときに気温の高い外の現場で仕事をして万が一熱中症になってしまったり、倒れたりしてしまってはいけないので。体調が悪いときには無理をしないようにというのは会社からいつも言われていることですし、気をつけています。
職人同士のコミュニケーションを取るときの暗号のような言葉がある
――塗装のお仕事について意外と知られていない、知られざる事実やトリビアがあれば教えてください。
ご存じの方もいらっしゃるかもしれないですが、「遮熱(しゃねつ)塗料」という屋根に塗ると夏場の温度がいくらか下がる塗料とか、「光触媒(ひかりしょくばい)」という壁に塗っておくと汚れがつきにくいという塗料があります。
あとは、塗装業者でしか分からない言葉があります。例えば、水のことを「ずた」と言ったりします。トイレに行くときにも「ずたに行ってきます」と言います。要するに、お客さんにあんまり知られなくてもいいことを言うときに使う、職人同士のコミュニケーションを取るときの暗号みたいなものです。地域や職人さんによっては使わない人もいるかもしれませんが、私たちの間ではそういう言葉を使っています。
野球場、巨大アミューズメント施設など、テレビによく映る建物を手掛ける醍醐味がある
――最後に、お仕事の中で、一番の思い出や達成感を感じたエピソードについて教えてください。
私たちが携わっている仕事は、野球場、巨大アミューズメント施設、高層ビルなど、テレビによく映るような大きな建物を手掛けることが多いので、そこに自分が仕事で携わったというのは誇れるところですね。家族や友だちに「この建物の塗装、俺がやったんだよ」と言えるというのは、この仕事の醍醐味ですし、とても達成感を感じることができますね。
いかがでしたか? 塗装業者にしか分からない言葉というのは初めて知った人がほとんどではないでしょうか? どんな業界にもその仕事ならではの業界用語があるんですね。
有名な施設も手掛けている佐藤興業株式会社でリーダーシップを振るう高橋さんは仕事にとても充実感があるに違いありません。塗装業は、大きな仕事で世の中に貢献したいと思っている人にはとてもやりがいのある仕事なのではないでしょうか。
【profile】1級塗装技能士 高橋淳一
【取材協力】佐藤興業株式会社
http://www.p-sato.co.jp/
この記事のテーマ
「建築・土木・インテリア」を解説
建築や土木に関する技術を中心に学ぶ分野と、インテリアコーディネイトなどデザインを中心に学ぶ分野の2つに大きく分かれます。資格取得のために学ぶことは、建築やインテリアの設計やプランニングに必要な専門知識、CADの使い方などが中心です。どちらの分野も依頼主の要望を具体化できる幅広い知識とコミュニケーション能力も求められます。
この記事で取り上げた
「塗装業」
はこんな仕事です
かつてはペンキ塗りと呼ばれた塗装業。現代では色を塗るだけの仕事ではなく、抗菌や防水などを施しながら塗装をするなど複合的な技術力が求められている。ほかにも素材に適した塗料選びや、塗る回数、塗装の乾燥時間の見極め、雨天後の水分の除去など、さまざまな観点を考慮しなければ耐久性や仕上がりの美しさに影響するため、技術力とともに経験がものをいう仕事になる。塗装業には「二級塗装技能士」や「一級塗装技能士」の資格があるが、それぞれ5~7年の実務経験を経てから、受験資格を得られる。