【シゴトを知ろう】留学カウンセラー ~番外編~

留学カウンセラー・野尻嘉津子さんへのインタビュー番外編。留学カウンセラーは春から夏にかけて大忙し! その代わりシーズンオフに長期休暇を取れるので、旅行に安く行けるなんていう裏話も。業界用語や業界の裏側、実際に仕事をしてみて感じたギャップなどについて語っていただきました。
この記事をまとめると
- 留学業界で使われている用語、実は旅行業界から来ているものも
- 海外経験がある人がほとんどのため、カウンセラーには個性的な人が多い
- カウンセラーから海外転職も。国際交流に力を入れる大学からは経験を求められる
家族と休みを合わせての旅行は無理……。でも、安く旅行に行ける!
――業界や職務内での、一般人が知らない業界用語はありますか?
私たちのように留学に関連する仕事に携わっている人間は、結構当たり前に省略した団体名などを使ってしまっている気がします。「JASSO(独立行政法人 日本学生支援機構)」とかは、一般の方に言ってもなかなか伝わらないですし。
あと、手配の関係で旅行業界で使われてる業界用語を使うことも多く、「エアオン」もその一つでしょうか。「エアーオンリー」といって、航空券のみの手配の時に使います。
――一般の方に言うと驚かれる業界の常識はありますか?
一般の方の夏休みの時期が、すごく忙しいんです。短期留学の人は7~8月に出発という人が多いので、5月頃からその時期までは対応が続くことになります。なので、家族や友人と休みを合わせての旅行がどうしてもできないと言うと、驚かれたりもしますね。
ただ、その分休みが集中するハイシーズンを避けて、費用が安い時期に旅行に行くことができるという利点もあります。
出発が集中する週末は、連絡が取れる場所にいるようにする
――業界内にはどんな性格の方が多いですか?
「個性的な人」が多いですね。みなさんそれぞれがいろいろな場所に行かれていて、そこで経験したことがあるので、お話が楽しい方は多いです。
あと、これは海外で生活をしていた人の特徴でもあると思うのですが、日本でずっと生活してきた人と比べると、ハッキリとした物言いをされる方も多いですね。
――働くにあたって制限されることはありますか?
ビザやエアー(航空券の手配)などの手続きまでしているカウンセラーさんの場合には、留学される方と本当に出発直前までのお付き合いになります。なので、「今週末出発する人が多いな」という土日であれば、「何かあった時のために連絡が取れる場所にいなくちゃ」と意識されるということはあると思います。
電話なりメールなりで海外とのやり取りが発生する仕事ですので、コミュニケーションが取れる語学力は必要です。決まった基準はないですが、英語の場合、英検2級以上が目安になると思います。
――海外で通じにくい英語ってありますか?
今は小学校の時から英語の授業があったりもするので改善されているのかなとは思いますが、私の時代では英語を話すということに慣れる機会がなく、通じない経験は結構ありましたね。
「ホットチョコレート」を何回言っても分かってもらえなかったり、ファストフードで、日本で使う「テイクアウト」が通じず、「to go」という言い方を知らなくて説明に時間がかかったり。
あとは、「バニラ」のように、日本でカタカナ語として定着してしまっている単語であればあるほど、実は海外では通じにくいんです。カタカナ語になった時点で音やアクセントが変わってしまっているので。
留学した時のギャップをなくすため、適切なアドバイスが必要
――業界内の横のつながりは多いですか?
留学や国際交流関連のセミナーや懇親会などが開催されると、留学業界や大使館関係の方がいらっしゃったりしますので、そういう場ではよくお話をします。
それぞれのエージェントさんによって得意な国や地域が違ったりしますので、各国の事情について情報交換をしたりということも多いですね。JAOSは業界団体なのでみなさんとつながりがあって、留学カウンセラー同士でカラオケに行ったりとかもあります。
――事前のイメージとのギャップはどんな部分にありましたか?
留学カウンセラーになりたての頃は、どんな学校があるのかという情報を覚えなくてはいけないという思いが強くありました。でも、実際にカウンセリングさせていただいていくと、同じ国の中でも東部と西部など地域によって大きく違いがありますから、広いバックグラウンドの知識がないといけないと思うようになりましたね。
写真とか動画のイメージを強く持っている留学希望者の方の場合、例えば「ロッキー山脈のきれいな緑が見たい」といった憧れがあるのですが、写真のような美しい時期って実は本当に短い期間しかないので、今の時期行っても見られないとか。
オーストラリアやニュージーランドに夏休みに留学する人には、「南半球で季節が逆だから、海水浴じゃなくてスキーしかできないけど大丈夫?」みたいなお話をすることもあります(笑)。
――業界内ではどんなキャリアパスがありますか?
留学カウンセラーという職種でいえば、個人でもできる部分があるお仕事なので、留学エージェントに入社されて、そこで経験を積んだ方が最終的に独立されるというパターンもあります。
他にも海外との仕事のやり取りを通じて、そこから海外での仕事に転職されるという方も中にはいらっしゃいますね。あと、グローバル教育に力を入れている大学も増えていますので、留学カウンセラーの経験者を採用する大学もあり、そういったキャリアに向かうということも可能だと思います。
海外で本当に通じる英語を身につけるために留学を検討しているという人は、留学カウンセラーに相談してみると、興味深い海外体験を聞くことができるかもしれません。
留学する国や地域によって経験できることが大きく変わるので、自分が留学しようと思っている地域への留学経験があるカウンセラーさんだと、より安心して相談できそうですね。
【profile】一般社団法人 海外留学協議会(JAOS) 留学カウンセラー 野尻嘉津子
この記事のテーマ
「語学・国際」を解説
外国語を自在に使い、コミュニケーションを図る表現力を実践的に学びます。国際情勢などの知識、情報を収集する好奇心、語学力向上の努力が常に求められます。資格取得を目指すカリキュラムもあります。将来の仕事としては、日本語と外国語を翻訳・通訳することで双方の意志疎通の手伝いをするなど、海外との橋渡しをする職業が考えられます。
この記事で取り上げた
「留学カウンセラー」
はこんな仕事です
海外留学を考えている人に留学先の情報を提供し、希望に沿ったプランを提案。留学全般の手配と渡航後のケアなどを手掛ける。英語圏への留学を例にとっても、該当する国は実に多彩だ。外国で学びたい分野、予算や期限によって学校選びは千差万別といえる。さらに、必要書類の作成や航空券の手配、宿泊先の確保なども仕事のうちだ。留学先とのコーディネートを行うので英語力は必須となる。留学に関する知識、旅行代理業のノウハウ、相談者の信頼を得る接客力も欲しい。
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