宇宙と地球をつなぐエレベータ−、その仕組みは?
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この記事をまとめると
- 世界中で「宇宙エレベーター」の研究がすすめられている
- カーボンナノチューブにより「宇宙エレベーター」の実現が現実味を増す
- ひとたび完成すれば、ロケットより安全に宇宙へ行くことが可能に
未来の建設業
建設の仕事が、将来、地球上の仕事だけではなくなるかもしれません。みなさん、「宇宙エレベーター」または「軌道エレベーター」をご存じでしょうか? それは地上と宇宙をエレベーターでつなぐ、これまでにない輸送機関なのです。
近年の技術発展によって、理論的に十分実現可能なものになっており、その実現に向けて、世界中で研究が進められています。これが実現すれば、宇宙エレベーターの建設をする仕事も出てくるかもしれません。でも、実際、どんな仕組みで宇宙エレベーターが可能になっているのでしょうか?
カーボンナノチューブの発見
もともと、宇宙エレベーターは、1970年代にSF小説に登場したことで有名になりました。原理は、高度3万6000kmにある宇宙ステーションから地上へケーブルをおろし、そのケーブルに、地上と宇宙を行き来するエレベーターを設置する、というものです。
ただ、これは不可能だと考えられていました。なぜなら、長いうどんを箸で持ち上げると、うどんが自身の重さを支えられなくなりちぎれてしまいますよね。宇宙エレベーターも同じで、3万6000kmものケーブルはそれ自体の重さに耐えきれないと考えられていました。計算上では、鉄の100倍以上の強度を持つ素材が必要でした。
しかし、1991年に、ケーブルに必要な軽さや強度を実現する可能性のあるカーボンナノチューブという素材が見つかりました。カーボンナノチューブというのは炭素でできた素材で、とても軽く、同じ重さの鉄の100~150倍の強度にできると考えられています。
そして2007年、イギリスでこのチューブを鉄の20倍の強度にすることに成功。日本でも2025年までに鉄の100倍の強度にすることを目指して研究が進められています。この発見によって、宇宙エレベーターはただの空想から現実的なアイデアに変わっていったのです。
ロケットより安全に宇宙へ
カーボンナノチューブの研究の進展を受け、2008年11月には、第1回日本宇宙エレベーター会議が開催され、現状や課題が話し合われました。
現在、宇宙開発の主役はロケットですが、ロケットには墜落や爆発の危険が伴います。しかし宇宙エレベーターにその危険性はなく、大気汚染の心配もありません。さらに、訓練を受けた宇宙飛行士でない私たちでも、宇宙へ行くことが可能になるかもしれないのです。宇宙エレベーターがひとたび完成すれば、そこから他の星へのエレベーターの開発・建設が始まるかもしれません。なんとも夢のあるプロジェクトですね。
人類が宇宙で活動するための技術を開発する、宇宙開発技術者たち。ただの空想だと諦めることはありません。あなたの夢のある空想が、宇宙開発を新たなステージに導くかもしれませんよ。
この記事のテーマ
「自動車・航空・船舶・鉄道・宇宙」を解説
陸・海・空の交通や物流に関わるスキルを学びます。自動車、飛行機、船舶、鉄道車両などの整備・保守や設計・開発、製造ラインや安全の管理、乗客サービスなど、身につけるべき知識や技術は職業によってさまざまで、特定の資格が求められる職業も多数あります。宇宙については、気象観測や通信を支える衛星に関わる仕事の技術などを学びます。
この記事で取り上げた
「宇宙開発技術者」
はこんな仕事です
国の研究機関や民間企業、大学などで、宇宙開発にとって有用な技術を開発する仕事。国の研究機関としては宇宙航空研究開発機構(JAXA)があり、関連する民間企業や大学などをまとめながら、政策としての宇宙開発を推進している。民間企業では、ロケットや人工衛星などの部品の開発・製造や、打ち上げの支援などを通じて宇宙開発に貢献。また、これらの取り組みを支えているのが、大学での研究成果である。宇宙開発技術者は、これら「産」「官」「学」のいずれかで宇宙開発に取り組むことになる。
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