【シゴトを知ろう】あん摩マッサージ指圧師 編
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痛みを抱える人々の症状の原因を探り、手技で緩和したりするあん摩マッサージ指圧師さん。
今回はランナーに特化している治療院で院長を務めている田中友浩さんに、あん摩マッサージ指圧師の仕事について伺いました。
この記事をまとめると
- ランナーに特化した治療院。昼はランニングしています!
- トレーニングより治療におもしろみを感じ、究めてみたいと思った。
- 痛みの本質を知るために、コミュニケーション能力は重要。
ランナーさんの記録更新は大きな喜びに
Q1. 仕事概要と一日のスケジュールを教えて下さい
治療家・トレーナー・管理栄養士が、ランナーの目標達成に必要な「モノ」「カラダ」「プラン」全てをサポートする、ランナー専門の治療院「RUNART 足の治療院-駒沢公園-」で院長をさせていただいています。業務の中心は患者様への治療施術です。
当院はランナーさんに特化していますので、ランナーさんの多い駒沢公園の近くに開院しました。私も昼休憩には走りに行ったりしています。
<一日のスケジュール>
11:30 出社
12:00 治療施術・メール対応
14:00 休憩/駒沢ランニング
16:00 治療施術・メール対応
21:00 帰宅
Q2. 仕事の楽しさ・やりがいは何ですか?
今はランナーさんを専門的に診させていただいているので、目標とされているレースでよい記録を出されたり、自己記録を更新されたりというお話を伺うとうれしくなります。
膝の痛みを抱えている方が多いので、痛みが改善することによって、その方の生活に少しでもためになれているということも大きな喜びにつながります。
Q3. 仕事で大変なこと・辛いと感じることはありますか?
患者さんの痛みとしっかりと向き合って治療をさせていただくのですが、それでも治りきらないという患者さんがいらっしゃることは辛い部分ではあります。
この仕事を始めたばかりの頃には、「指を作る」ということに苦労しました。私の師匠の足などを押したり揉んだりするのですが、しっかりと指に体重を乗せることができるようになるまでには時間がかかります。
片方の親指の後ろから反対の手の親指を重ねて押したりすることによって、指の関節のところにあるしわもだんだんとなくなってきたりもします。とにかく反復練習で、身体で覚えなくてはいけないという大変さはありましたね。
大学卒業後、トレーナーになるためにアメリカへ留学
Q4. どのようなきっかけ・経緯でその仕事に就きましたか?
高校生の時サッカーをしていたんですが、腰を痛めてしまって、試合の前などに近くの鍼灸院に行くと症状がよくなる。そこで、あん摩とか鍼灸ってすごいんだなと思いました。
初めはスポーツトレーナーになりたいと思って、大学卒業後に留学して専門の勉強をしました。
帰国後、日本でトレーナーの仕事をするためには、あん摩マッサージ指圧師や鍼灸などの資格が必要になるということで資格を取得をしたんです。そこから、トレーニングよりも治療することの方がおもしろくなってしまったというのがきっかけですね。
痛みを抱えて困っていらっしゃる方はものすごく多かったので、「これは究めてみたいな」と思いました。
Q5. 大学では何を学びましたか?
日本の大学は文学部でした。トレーナーとしての勉強をしたいと思って、その後アメリカに留学した際には、キネシオロジー(機能運動学)というものを学びました。
身体がどのようにして動くのか、効率的なトレーニングとはどのようなものか。足が速くなる、球が速く投げられるといったように、競技におけるパフォーマンスアップなど、身体の構造に関する勉強が主な内容です。
Q6. 高校生のとき抱いていた夢が、現在の仕事につながっていると感じることはありますか?
結構な強豪校でサッカーをしていたので、やはりサッカー選手は目標にしていました。実際、同級生にはJリーガーになった人も5人くらいはいましたね。
私は自分自身のけがの経験をきっかけに、今の仕事に興味を持ちましたが、高校の時海外のチームと試合をしたりすると、高校生のチームなのにトレーナーや栄養サポートをする人が帯同していたりしたんです。
スポーツに打ち込む子どもを大切にするという状況がそこにはあって、サポートをする仕事もいいなと感じた部分はあります。
当時は「練習中に水は飲むな」みたいな根性の世界だったりもしたので、より科学的なトレーニングというものにも興味がありました。そういう意味では、今の仕事につながる部分もあるかなと思います。
経験が無駄になるということはない。だから、何でもするべき!
Q7. どういう人があん摩マッサージ指圧師の仕事に向いていると思いますか?
人のことを思いやれる人というのは向いていると思います。そして、重要になるのはコミュニケーションを取ることができる人。どこが痛いのか、何が原因で痛むのかというのは、患者さんとの会話を通して見つけていくことになります。
お仕事は「デスクワーク」という方でも、パソコンを1画面で使われているとは限りませんよね。2画面でパソコンを使っていることで、体をひねる機会が多いかもしれない。そういったことをこと細かに拾っていきながら痛みの本質にせまるためには、コミュニケーションの能力は非常に重要ですね。
Q8. 高校生に向けたメッセージをお願いします
経験が無駄になるということはありません。なので、興味があることは何でもしたほうがいいと思います。
自分自身のことを振り返ってみると、プロサッカー選手になれないと思った時、他にやりたいと思えることをすぐには見つけられませんでした。「これをやりたい」ということを仕事にできるという人の方が少ないというのが現実なので、自分自身が行動を起こして、さまざまな経験をしていくことが一番だと思います。
一時は自分自身の目標を見つけられなかったという田中さん。今の職業に就いたきっかけは、高校時代の部活で故障を経験したことでした。
高校生の皆さんの中にも、部活に力を入れてきたけれども引退後になかなか目標が見出せないという人もいるかもしれませんが、自分自身を振り返ることで、田中さんのように自らの道を見つけることができるかもしれませんね。
【profile】治療院「RUNART 足の治療院 -駒沢公園-」 院長 田中友浩
この記事のテーマ
「医療・歯科・看護・リハビリ」を解説
医療の高度化に伴い、呼吸器や透析装置、放射線治療などを取り扱う医療・検査機器の技師がますます求められています。この分野の仕事は、高度な知識と技術をもって患者に医療技術を施すスペシャリスト。めざすには、基礎知識から医療現場での実践能力に至る段階的学びが必要となります。
この記事で取り上げた
「あん摩マッサージ指圧師」
はこんな仕事です
あん摩マッサージ指圧師は、肩こりや腰痛といった慢性的な身体の症状を、もんだり押したりして血行をよくし、不調を和らげる仕事。勤務地は治療院や介護施設のほか、スポーツの現場や在宅訪問など多岐にわたり、技術を身に付ければ独立・開業も可能。近年肩こりや腰痛を抱えるのは、ある程度の年齢を重ねた人だけでなく、情報機器の普及で若年層にも広がりつつあるため、ニーズは幅広い。最近では美容やリラクゼーションを目的として施術を行う場合もある。
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