【シゴトを知ろう】建築施工管理技士 編
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街中にあふれるビルや住居やショップなどの建物は、大工や工務店だけで造っているのではありません。現場で指揮をとり、完成に導くのが建築施工管理技士です。現場の指揮以外にも、たくさんの重要な役割が任されています。
では、建築施工管理技士の仕事とは、具体的にどのようなものなのでしょうか? 今回は、大阪府和泉市のMiHOMA一級建築士事務所の吉永直矢さんに普段の仕事内容について伺いました。
この記事をまとめると
- 建築管理技師は、現場管理だけでなく、ときにはデスクワークなどもこなす
- 現場スタッフの作業をスムーズに進めさせるのも大事な仕事
- 専門知識よりもコミュニケーション力が必要になる場面もある
デスクワーク、講師など仕事は工事現場以外にもある
Q1. 仕事概要と一日のスケジュールを教えて下さい
まず「建築施工管理技士」とは、鉄筋工事や内装工事といった建築工事の施工計画をつくる仕事です。デスクワークだけではなく、現場での工事の進行をチェックしたり、調整したり、施工管理を行ったりします。1級は大規模工事を扱い、2級は中小規模工事を扱います。
現在の仕事は、主に建物の設計監理、現場の施工管理を請け負っています。私の場合、会社に所属する会社員ではなく、自分で会社を立ち上げた経営者なので、毎日現場に出るわけではありません。毎日の流れは、案件や現場によって異なります。現場以外の仕事では、資格取得のための学校で、1級建築施工管理技士養成クラスの非常勤講師も務めています。
現場で仕事をする日は朝から打ち合わせが始まり、夕方ごろ仕事を終えます。
<一日のスケジュール>
07:00 起床
08:30 出勤。現場視察、現場担当者との打合せ。
12:00 昼食
13:00 帰社。現場での打合せ議事録作成、施工図作成。
18:30 退勤
24:00 就寝
Q2. 仕事の楽しさ・やりがいは何ですか?
なにもないところから、一から建物を建てるということに一番楽しさを感じます。設計図から、どんどん頭の中に建物のイメージが浮かんでいきます。完成した建物が想像できてしまうところも建築施工管理技士の楽しさでしょう。
Q3. 仕事で大変なこと・辛いと感じることはありますか?
どんな仕事でも大変なことはあると思いますが、工程管理にはとくに気を使います。私たち、施工管理の仕事は、例えば、大工さんと内装屋さんの仕事がお互いに干渉せずにスムーズに作業できるように調整することです。もちろん、「この日までに完成させる」という工期も決まっており、遅れてはいけない責任感も生じ、プレッシャーになったりもします。
現場監督の父の姿に、憧れを抱き建築の世界に
Q4. どのようなきっかけ・経緯でその仕事に就きましたか?
現在の仕事をやってみたいと思ったきっかけは、高校2年生の時に、父親の現場にアルバイトで手伝いに行ったときのことでした。父親は施工管理をしており現場監督を任されていたのですが、正直なところ父親が普段どんな仕事をしているのか、アルバイトに行くまではまったく知りませんでした。
そこで初めて建物を建てている様子を近くで見て、また普段家では見せることのない、真剣に仕事に向き合う父親の姿を見て、建築に魅力を感じました。すぐにこの仕事がしたい!と思った瞬間でしたね。
Q5. 現在のお仕事に就くまで、どのようなこと経験を積まれてきましたか?
父親の働く姿に影響され、高校卒業後、父親の会社へ就職しました。実は、父親の現場でアルバイトするまでは、将来何がしたいのか決まっていなくて、なんとなくで普通科高校へ進学していたため、建築のことはまったく知識がない状態でした。当然、何も分からずに、最初のころは苦労しましたね。
ただ、根っからの負けず嫌いということもあり、一生懸命努力して知識を身に付けていきました。この時の気持ちが今の仕事にもつながっていると思います。幼いころからの夢というわけではなく、困難の多いスタートでしたが、なにかの運命でこの仕事に就いたんだと思うこともしばしばあります。
現場の人たちとうまくやりとりするためのコミュニケーション力も大事
Q6. どういう人がその仕事に向いていると思いますか?
「建物の持ち主であるクライアントのリクエストを聞いたり、現場で作業する人たちとうまくやりとりしたりするためのコミュニケーション力も大事です。個人的には、まず現場がおもしろいと感じられるかどうか、です。何事にも興味を持ち、楽しみながら知識や技術を身に付けていく。あとは、負けず嫌いでガッツのある人が向いていると思います。それらのことを就職から現場での活動を通し、身を持って経験しました。
Q7. 高校生に向けたメッセージをお願いします
現在、施工管理できる人が少なくなってきています。確かに現場は危険なこともあり、しんどい事もたくさんあります。しかし、自分が施工管理した建物が完成して、クライアントなどの関係者の喜ぶ顔を見たとき、頑張ってよかったとつくづく感じます。
専門知識に自信がなくても、私はこの世界に入ってから先輩たちに多くの仕事を教えてもらいましたので、全然大丈夫です。もちろん、早いうちから勉強するにこしたことはありません。ぜひ建築にまつわる興味を深めてみてください。
建築にかかわる仕事はさまざま。完成のときの達成感以外にも、完成に向けてイメージをふくらませるワクワク感も建築管理技師の醍醐味のようです。建築管理技師に興味のある人は、資格取得も視野に入れて、進路を考えてみてはいかがでしょうか。
【profile】MiHOMA一級建築士 吉永直矢
※メイン画像はイメージです
この記事のテーマ
「建築・土木・インテリア」を解説
建築や土木に関する技術を中心に学ぶ分野と、インテリアコーディネイトなどデザインを中心に学ぶ分野の2つに大きく分かれます。資格取得のために学ぶことは、建築やインテリアの設計やプランニングに必要な専門知識、CADの使い方などが中心です。どちらの分野も依頼主の要望を具体化できる幅広い知識とコミュニケーション能力も求められます。
この記事で取り上げた
「建築施工管理技士」
はこんな仕事です
ビルや施設などの建築工事を管理・監督する仕事。建築士による設計を実現するための施工計画や施工図などを作成するとともに、実際の建築現場においても責任者や管理者として、工程管理・品質管理・安全管理などの一連の業務の監督を行う。そのため、鉄筋工事から内装仕上げに至る幅広い建築技術の知識が必要。また、建築の規模が大きい場合には関わる会社やスタッフの人数も多くなるため、現場を束ねるリーダーシップやマネジメント力も求められる。
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