【シゴトを知ろう】体育教師 編

文理選択や進学先を決める際、将来就きたい仕事について考えることはとても大切ですよね。
今回は、保健体育科の教師として働いている西本さんに、教師になるため心がけたことや、体育教師という仕事のやりがいについてお話を伺ってきました!
この記事をまとめると
- “自己管理”を徹底しなければ勤まらない
- 大学で学んだことが現場に活きている
- ”人のために動く姿勢“が求められる仕事
”生徒の成長”が教師という仕事のやりがい
Q1. まずはじめに、お仕事の概要と一日のスケジュールを教えてください。
東京都の公立中学校で保健体育科の教師として働いています。保健体育の指導に加え、クラスの副担任も兼任しています。
<一日のスケジュール>
7:40〜 出勤(回覧板、区内・学校内連絡板、メール確認)
8:15〜 職員朝打ち合わせ
(校長からの連絡、全体での確認事項、アレルギー対応生徒の確認、副校長からの連絡、学年ごとでその日のスケジュール確認)
8:35〜 午前授業・部会の会議、教材研究など
12:45〜 給食
13:00〜 休憩
13:30〜 午後授業
16:00〜 部活指導
18:00〜 翌日の授業準備や事務作業
Q2. 仕事の楽しさや魅力などを教えてください。
生徒たちの「できない・つまらない」を「できた! 楽しい!」にいかに近づけられるか。それが体育科の教師として私が感じる“仕事の楽しさ”です。
生徒指導の視点からは、なんといっても卒業式が一番の魅力ですね。私たち教師は、生徒がこの日を笑顔で迎えることができるように日々の仕事を乗り越えていると言っても過言ではありません。
仕事の中に我慢や葛藤はありますが、「ここに至るまでの一切合切が報われた」と思うことができるくらい、卒業式という時間は素晴らしいものです。そんな気持ちを毎年味わうことができるというのが、この仕事のやりがいですね。
Q3. 教師をしていて、大変さを感じるのはどのようなときですか?
教師は24時間営業の仕事です。勤務時間が終わったとしても、 「部活が終わってからかなり時間が経っているのに帰ってこない」「祭礼で他校の生徒とトラブル」といった非常事態が起きればいつでも駆けつけなければいけません。そういった点は教師ならではの苦労なのかなと思います。
授業に関係するところでいうと、「自己管理」ですね。体育の授業は危険と隣り合わせのため、常にアンテナを高く張っていなければいけません。そのため、「自分自身のコンディションが生徒たちの安全管理につながる」という危機感を常に持つことが求められます。
生徒たちのためにも、自己管理を徹底するよう心がけています。
自分と同じように、学校生活を楽しく過ごしてほしいと思った
Q4. 教師になろうと思った経緯を教えてください。
学生時代、友人に「学校で一緒に過ごす毎日が楽しい」と言われたことがありました。自分自身もそう感じていましたが、その言葉がとてもうれしかったんです。
ただ、いつまでも学生のままではいられません。なので、今度は教師という立場からこれからの時代を生きていく子どもたちに「自分と同じように、学校に行くのが楽しいと感じてほしい!」と思うようになりました。
そういった経緯があり、教師を目指すようになりました。
Q5. 体育教師になるため、大学ではどのようなことを学びましたか?
教育法規、教育心理、教育原理、教科指導など、教育に関わるさまざまなことを学びました。その中でも、今の仕事に活きていると感じているのは教育心理と教科指導法規です。現在、特別支援教育の推進が図られていて、教育心理は教師にとって重要な知識とされています。また、教科指導法はつまずきがある生徒への手立てとして、今でも指導の基礎になっています。
夢を実現させるために“具体的な道筋”を考える
Q6. 高校生のとき抱いていた夢や、当時の活動で今につながっていると感じていることはありますか?
高校生のときから夢は体育教師になることだったので、体育の授業はしっかり受けていましたし、運動部も3年間継続しました。それが夢を叶える支えになると信じて、真剣に取り組んでいましたね。
また、部活動で副キャプテンを務めたことで、部員の管理、顧問・キャプテンの補助、自身の活動と幅広い経験を積むことができました。それが、現在のフットワークの軽さと視野の広さにつながっていると感じています。
早い段階から夢が定まっていたので、「それを叶えるためにはどうしたらいいのか」ということは、当時からしっかりと考えることができていたと思います。
Q7. どんな人が「教師」という仕事に向いていると思いますか?
見返りを求めず人のために動ける人だと思います。「子どものため、保護者のため、地域のため」と思って動いても、すぐに結果が出たりうれしい報告が届くとは限りません。それでも、そのときできることに対して真摯に取り組むことができる人、見返りを求めず相手のために努力できる人が、この仕事に求められている人材なのだと感じています。
Q8. では最後に、教師になりたいという高校生に向けてメッセージをお願いします!
「教師になりたい!」という夢が漠然としているのなら、どの教科の教師を目指すのか、できるだけ早い段階で絞ることをおすすめします。目標を明確にすることができると、効率よく勉強を進めることができますからね。
ただ、自分の教科の専門性を高めることも大事ですが、中学・高校での基礎的な勉強もおろそかにしてはいけません。生徒たちに頼られる先生になるため、学生時代の勉強もしっかりとおさえておきましょう。
体育教師は、指導力だけではなく体力や自己管理能力が求められる仕事だということがわかりました。
体力的な苦労は多いようですが、生徒の成長を支えることができるの、とてもやりがいのある仕事だといえるのではないでしょうか。
「体育教師になりたい!」という思いがある人は、保健体育の教員免許が取れる学校への進学を目指してみてはいかがでしょうか?
【profile】西本静
東京都の公立中学校で保健体育の教師を勤める。
この記事のテーマ
「健康・スポーツ」を解説
スポーツ選手のトレーニングやコンディション管理に関わる仕事と、インストラクターなどの運動指導者として心身の健康管理やスポーツの有用性を広く一般に伝える仕事に大別できます。特に一般向けは、高齢化の進展や生活習慣病の蔓延が社会問題化する中、食生活や睡眠も含めて指導できる者への需要が高まっています。授業は目指す職業により異なります。
この記事で取り上げた
「体育教師」
はこんな仕事です
小学校や中学校、高校などでスポーツの実技指導を行う仕事。生徒たちに健康の素晴らしさや、スポーツの楽しさを教える。身体を動かすことが好きで、健康について関心の深い人に向いている。スポーツに関する知識・技術だけでなく、身体の仕組みや心の健康、緊急時の応急処置について、詳しい知識が必要になる。大学や短期大学などで教員免許を取得した上で、教員採用試験に合格し、体育教師となることが一般的。小学校では全科目、中学・高校では専門科目を教えることが多い。特にスポーツを教えることが好きな人にはやりがいのある仕事だといえる。
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