【シゴトを知ろう】宮大工 ~番外編~
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「【シゴトを知ろう】宮大工編」では、宮大工として働く「株式会社 松本工務店」の清水栄作さんにお仕事の内容や魅力について伺いました。10年近くの修業が必要なこと、一人ではなく個人の力を結集したチームワークで一つの建物を完成・修復していくということが分かりました。
こちらの記事は番外編として、宮大工のお仕事をさらに詳しく掘り下げるために、宮大工のお仕事の「あるある」や知られざる一面についてお話を伺いました。
この記事をまとめると
- 建築現場が遠方になる場合、長期間の出張で半年から1年以上、家から離れることもある
- 出張先でほかの文化財や建造物を見に行くことがある
- 材料を機械で運ぶための免許が必要になる
長期間の出張で半年から1年以上家を離れることもある
――宮大工は、神社の修復などで遠方に出向き長期間仕事に携わるため家を離れることも多いと聞きましたが、本当ですか?
はい、その通りです。当社の仕事の依頼は北海道から関東までいろいろな場所からあります。そのために長期間の出張になることもあり、半年から1年以上に及ぶこともありますね。
――宮大工ならではの、仕事上の「あるある」なことがあれば教えてください。
特殊な道具(かんなやのみ)を使うので、特別につくってもらったり、自分で加工して道具をつくったりします。特殊なので一年のうちに何日も使用しない道具があったりもするんですよ。
出張先でほかの文化財や建造物を見に行くことがある
――お仕事とリンクする、休みの日にありがちな「あるある」があれば教えてください。
出張などに行けば、仕事のない休みの日であっても、その土地の文化財などの建造物や観光名所になっている神社やお寺にはよく見学に行くことがあります。
材料を機械で運ぶための免許が必要になる
――宮大工のお仕事について意外と知られていない、知られざる事実やトリビアがあれば教えてください。
神社やお寺を作るための材料は非常に大きいものが多いため、人間の力では動かせないことがあります。そのため、加工するときや、移動はするときは機械で作業します。クレーン・フォークリフト・大型トラックなどを使うのでそのための免許が必要になってきます。宮大工は力を使う仕事だと思っている方もいるかもしれませんが、機械を使う分、力仕事は意外と少ないんですよ。
――最後に、お仕事の中で、一番の思い出や達成感を感じたエピソードについて教えてください。
神社やお寺など、新築・改築した建物が完成したときにお客さまからのお礼の言葉や感謝の気持ちを頂いたときが一番、達成感を感じますね。
日本全国にある神社やお寺が仕事の対象となる宮大工のお仕事。貴重な技術を持った職人だからこそ、重要な建築物に携わることができるんですね。その分、長い期間出張が必要になるなど、大変な仕事でもあります。宮大工に関心があるみなさんは、神社やお寺に行ったときに、建築物にどのような特徴があるのかこれまで以上によく観察して、どのような技術で作られているのか調べてみるといいかもしれませんね。古くから伝わる伝統や技術を知るとともに、宮大工の仕事へのイメージがきっと湧くはずですよ。
【profile】株式会社 松本工務店 宮大工 清水栄作
この記事のテーマ
「建築・土木・インテリア」を解説
人が活動し、生活する環境を整備する仕事です。建築や土木に関する分野と、インテリアコーディネイトなどのデザインに関する分野などがあります。資格取得のために学ぶことは、建築やインテリアの設計やプランニング、CADの習得など。依頼主の要望を具体化できる幅広い知識とコミュニケーション能力も求められます。
この記事で取り上げた
「宮大工」
はこんな仕事です
宮大工は神社仏閣などの修理・改善、建築を専門的に行う大工。全国各地の歴史的建造物を渡り歩くことから「渡り大工」とも呼ばれている。神社仏閣のほかに重要文化財やみこしなど木造建築物を手掛ける重要な役割を担う。昔ながらの技法を再現して修繕するには、厳しい修業を積み、高い技術を身に付ける必要がある。この技術は文化庁から「選定保存技術」に認定されているが、昨今、宮大工の高齢化が進み、職人数も減少していることから、後継者の育成が望まれている。