【シゴトを知ろう】パタンナー 編

みなさん、「パタンナー」という職業を知っていますか? パタンナーは、一言で言うと洋服の型紙(パターン)を作る人です。一つの洋服ができあがる上で、必要不可欠な役職といえるのではないでしょうか。
今回はそんな「パタンナー」というお仕事のやりがいなどについて、服飾の専門学校を卒業し、大手アパレル企業でパタンナーとして活躍しているKさんにお話を伺ってきました!
この記事をまとめると
- 担当した商品が実際に売り出される喜び
- ”大学受験”という経験が社会に出てからの自信に繋がる
- 試行錯誤を繰り返す忍耐力が求められる
自分が携わったものが商品になるという喜び
Q1. 1日のスケジュールを教えてください。
7:30 起床
9:45 出社
10:00 朝礼
10:15〜 当日縫製工場に出すものの確認や準備、工場との連絡。
12:00 ランチ休憩
13:00〜 パターンやトワルを進める
17:00 週一度生産会議
19:00 終礼
20:30 帰宅
24:00 就寝
私はこのようなスケジュールになっています。
割り振られたデザインサンプルをサンプルアップ日までに完成することができれば、時間の使い方は比較的自由です。
Q2. お仕事のやりがい、楽しさを教えてください。
洋服のデザイン画を実際の形に作り上げていくという作業をしているので、そのためにはパターンの知識だけではなく、仕様についてどう縫製していくかということも考えなければなりません。難しい仕様を実現できるように縫製仕様を考えていく作業は、大変ですがとても楽しいです。中でも、変わったデザインのものを担当したときはテンションが上がりますね。
やりがいを感じるのは、担当した商品が売れ筋商品になったときです。社内販売の受注が多くつけられたときはうれしくなります。
Q3. お仕事をする中で、大変なことや辛いことなどはありますか?
パタンナーは、常にデザイナーとコミュニケーションを取ることが求められるのですが、デザイナーと考え方が違ったり、縫製に対する認識が違った際に、デザインを優先しなければいけないときが多々あります。
しかし、工場で縫製している方々のことを思うと、「できれば縫いやすいようにしてあげたい」という気持ちが出てきます。そのジレンマがこの仕事の大変な点だと思います。パタンナーは企画と生産の間にいて、板挟みされることが多いですからね。
辛いことは、時間をかけて担当したデザインが変更・生産中止になってしまったときです。時間をかけて自慢のパターンにできたと思っていたものが、コストやデザイン性の問題で中止などになったときはとても悲しいです。
受験を乗り越えた経験が社会に出てからの自信に
Q4. 学校ではどのようなことを学びましたか?
大学卒業後、服飾系の専門学校に入学し、デザインの仕方、スタイル画の描き方、ハンガーイラストの描き方、パターンの知識、トワル(※1)の組み方、CAD(※2)の使い方、ミシンの使い方、縫製の仕方など、専門的な知識を徹底的に学びました。他にも、ビジネスマナーなどを教わる授業がありましたね。
※1 パターンメイキングの過程で行われる、デザイン・シルエット確認のための立体化のこと。
※2 キャド。コンピュータ上で図面の設計などを行うためのソフト。
Q5. 高校生のときに抱いていた夢はありますか?
高校生のときは大学受験でいっぱいいっぱいでした。そのときははっきりした夢よりも、大学に行きたいという気持ちが強かったです。ただ、受験勉強の辛さと、それを乗り越えてちゃんと大学まで行けた経験が今でも役に立っていると思います。おかげで、勉強がとても好きになりました。
そして、やる前からできないと思うのではなく、「努力することによってできるようになる」という自信が持てるようになりました。その経験があったからこそ、何か新しいことにチャレンジするとき、すぐ弱音を吐いたり、できないと言わず、「とりあえずやってみる」という前向きな姿勢になることができています。
パタンナーという仕事は、何度も試行錯誤することが求められる
Q6. パタンナーに向いているのはどのような人でしょうか?
私が思うパタンナーに向いている人は、考えることが好きな人、細かい作業が好きな人、根気よく何度も仕事をやり直すことができる人です。
実際の仕事では、パターンをこなすよりも考えている時間の方がはるかに長いです。しかし、一発で完成するパターンは存在しません。考え方があっていなければ、何度もやり直しが必要になってきます。
パタンナーはデザイナーと違って、物理的な要素や実現性を考えなければなりません。生地の特性はデザインにあっているかどうか、落ち感はどうなるか、縫製するときに必要なテクニックはどうかなど、考える事はさまざまです。
なので、細かい作業や思考を何度も繰り返しできる人が向いていると思います。
Q7. パタンナーになりたいと思っている高校生へ向けてメッセージをお願いします!
専門学校の学費を無駄にしないためには、毎日ちゃんと学校へ行き、宿題をして、スキルを手に入れることが大事です。私も4年間専門学校へ通い、寝ずに宿題をした日々がたくさんありました。
しかし、自分が一生懸命やってきたつもりでも、社会に出るとそれができて当然で、それ以上のことを要求されます。学校でちゃんと勉強していなければ仕事に慣れるのにも時間がかかりますし、「勉強不足でスキルが足りない……」と落ち込んで辞めてしまうケースもあります。なので、今できることを一生懸命やり、将来後悔しないように頑張ってください!
パタンナーは、デザイナーと生産現場の間に立ち、コミュニケーションを取りながら試行錯誤することが求められるなど大変な点も多いようですが、その分自分が携わったものが商品になるという喜びは大きいのではないでしょうか。
「ファッションが好き」「洋服に携わる仕事がしたい」という方は、服飾系の学校で専門的な知識を学び、ファッション業界へ踏み出してみてはいかがですか?
【profile】
4年生の専門学校を卒業後。
某アパレル企業にパタンナーとして入社し、今年5年目。
この記事のテーマ
「ファッション」を解説
ファッションの専門知識や業界のビジネスノウハウ、感性やセンス、そして技術を駆使し、世の中に新たな流行を生み出すビジネスです。主に、素材づくりや縫製など「つくる仕事」と、PRや販売促進などファッションビジネスに関わる仕事に分かれます。この仕事をめざすには、作品の発表会や学外での職業実習などを通して職業人としての実践力を身につける他、資格取得をめざす場合もあります。
この記事で取り上げた
「パタンナー」
はこんな仕事です
デザイナーが起こしたデザイン画を基に、縫製の型紙をつくる仕事。イメージや指示が書かれた平面画から立体的な服にするために、ダーツや縫いしろなどを加えパターンを作製する。型紙を基に生産をするので、ミスがないように慎重に作業を進めていく。コンピューターのCADを使用してパターンを作製するのが最近の傾向である。また、就職先は服飾メーカーや、サンプル専門メーカー、縫製工場、デザイナーのアトリエなど。経験を通して実力を付ければ、フリーランスとして働くことも可能だ。
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