【シゴトを知ろう】環境計量士 ~番外編~

私たちを取り巻く大気や水といった環境ですが、産業や経済の発展にばかり注力してしまうことで、大きく損なわれてしまうことも。大切な環境を守るために、企業活動などによる環境への影響を測定・分析するのが、環境計量士の仕事です。
排水の水質検査やばい煙測定、騒音・振動調査などを通して、私たちの快適な暮らしを守る環境計量士。まだまだ知られていないことも多いその仕事について、「株式会社アサヒ産業環境」の末木美保さんに詳しくお話を伺いました。
この記事をまとめると
- 環境計量士には、綿密な計画力が必要
- 休日に工場地帯の煙や河川のにごりが気になってしまうことがある
- 環境測定・分析の重要性について理解してもらえると達成感を感じる
あらゆる問題を提議した上で計画を立てることは欠かせない
――このお仕事に必要な「力」があれば教えてください。
まずは、綿密な計画力が必要です。従業員には日頃から“準備8割”と言っています。測定をお任せしていただいている以上、「想定外」は通用しない現場が多いためです。初めて伺う現場では事前に下見をさせていただくこともあります。危険箇所の確認や水道、電源の位置などを調査し、あらゆる問題を提議したうえで計画を立てることは欠かせません。
さらに、お客さまが何を求めているかをくみ取って、それに合わせたアクションを起こす行動力も大切です。お客さまの要望に対して「自分(会社)が何ができるか?」を常に意識しながら入念なコミュニケーションをとるように心がけています。
食事のときでも、分析時の手つきになることもある!
――休みの日にありがちな「あるある」があれば教えてください。
普段、大気や水を測定・分析の対象としていることから、休日に工場地帯の近くを通る際などに煙突から出ている煙の状態を見てしまったり、河川のにごりが気になってしまったりすることはよくあります。
自宅で家族の食事を作っているときに、ドレッシングなどの液体を混ぜる際にはつい分析時の手つきでかき混ぜてしまうことも。さらに、香り(におい)を嗅ぐときに独特の嗅ぎ方をしてしまうことがあり、家族に注意されることがあります(笑)。
環境測定・分析の重要性について理解してもらえたとき、大きな達成感がある
――これまでのお仕事歴で一番心に残っているエピソードを教えてください。
環境測定・分析の重要性について認知の広がりがまだ十分でないことは常日頃から感じています。そのため、業務を通してその大切さをお客様にお伝えするように心がけていますが、それを理解していただけたと感じた時には大きな達成感を感じます。
法律解釈や専門用語など、お客さまにとってはご理解いただくことが難しい内容も多いのですが、自分なりの説明でご理解いただけて、「またよろしくお願いします」とのお言葉をいただけたときには、心からうれしく思いました。
休日にも工場から出る煙突の煙や川の水の状態をついついチェックしてしまうという末木さん。国家資格が必要な環境計量士の仕事は、環境を守るための測定・分析にとどまらず、人々の環境への意識を高めるうえでも大きく役立っているようです。
私たちの美しい地球を次世代につなぐために、日夜努力を続けている環境計量士の皆さんのお仕事、目にする機会があればぜひ注目してみてください。
【profile】アサヒ産業環境 末木美保
http://www.cityfujisawa.ne.jp/~asahi_ie/index.html
この記事のテーマ
「環境・自然・バイオ」を解説
エネルギーや環境問題の解決など、自然や環境の調査・研究を通じて、人の未来や暮らしをサポートする仕事です。また自然ガイドなど、海や山の素晴らしさを多くの人に伝える仕事もあります。高い専門性を必要とする仕事なので、職業に応じて専門知識や技術を学び、資格取得や検定合格をめざす必要があります。
この記事で取り上げた
「環境計量士」
はこんな仕事です
環境汚染物質や騒音などを測定・分析する仕事。「環境計量士」は、経済産業省が所管する計量法に基づく国家資格で、法律で決められた方法によって大気、水質・土壌、騒音、振動を測定して計量証明を発行する。例えば工場、建設工事、航空機、道路、鉄道などから出される有害物質や土壌汚染、あるいは機械が発する音や振動の測定を行うなどする。活躍の場は主に計量証明を行う事業所や環境コンサルティング会社などで、国家資格を取得した上で、実務経験など定められた条件を満たした者が認定される。