【シゴトを知ろう】アロマアドバイザー 編
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「脳を鍛えることができる感覚」として最近注目されている嗅覚。植物から抽出したアロマ(精油)を使って嗅覚を刺激し、心身に働きかける作用をもつアロマテラピーは、育児や介護現場などで応用されています。さまざまな効果が期待されているアロマテラピーを一般の方でも楽しめるよう、アロマの使用方法や基本知識を正しく伝えるアロマアドバイザーという仕事も注目されています。
今回は、アドバイザーの上位であるインストラクターの資格を生かし、スクール講師として働く桑山佳織さんに、そのお仕事について伺いました!
この記事をまとめると
- アロマアドバイザーの上位資格にはインストラクターがあり、講師を目指せる
- 香りを表す言葉を、小説から得ることもある
- アロマアドバイザーには、話を聞く能力が必要
生徒の皆さんと触れ合うことで、香りの幅を再認識
Q1. 現在のお仕事内容について教えてください。
私はアットアロマ株式会社が運営するスクールで、講師をしています。
空間デザインの要素として、アロマをどう捉えて使っていくか、といった授業を行っています。その中で、エッセンシャルオイルそれぞれの捉え方から、アロマを拡散させ、香り空間を作る方法まで教えています。講師のほかにも、授業のカリキュラムや、授業で使うテキストを作成するなど、スクールの運営にも携わっています。
Q2. お仕事の中で、魅力ややりがい、楽しさを感じるのはどんなときですか。
私自身もアロマが好きでこの仕事に就いたので、授業を通してアロマが好きで学びたいと思っている方とお会いできるのが、私にとってこの仕事の一番の魅力だと思います。生徒のみなさんは、それぞれいろいろな背景をもって学びに来られているので、アロマに対してさまざまな考え方を持っています。授業は一方的に講師が話すのではなく、対話をするという形をとっているので、話の中で生徒のみなさんの考えを知ることができておもしろいんです。
あるアロマの香りのイメージを聞く中で、こちらが想像していない言葉が返ってくることもあり、香りは人によって捉え方が違うということを痛感しますね。授業の中で、香りのもつ幅を改めて知ることができ、楽しいです。
いろいろな経験をすることが、香りを表す語彙力となっている
Q3. 一方で、お仕事の中で大変さや苦労を感じるのはどんなときですか。
公共の空間で香り空間をつくっていく場合には、香りに対してある程度の共通した認識をもつことが大切です。ですが、香りは人それぞれの感覚によるところが大きく、目に見えないものなので、その香りを表す的確な言葉が見つからないときもあります。
香りを表す言葉のヒントを、ワインやコーヒーなど別分野の本で得ることもありますが、ふとした時に見た小説や映画などから得ることもあります。そういった経験から、自分の語彙力(ごいりょく)を増やすように日頃から意識しています。
Q4. 現在のお仕事を志すようになったきっかけを教えてください。
アットアロマが演出をしているホテルに宿泊したときに、館内がいい香りで満たされていて、「アロマで空間演出ができるんだ!」と興味を持ったことがきっかけで、この仕事を志すようになりました。
Q5. 大学ではどのような勉強をしましたか? また、実際にお仕事に就くまでに、どのような勉強や経験を積まれてきたのか、これまでの道のりについても教えてください。
大学では文学部に入り、日本文学を学んでいました。日本は昔から香文化がありました。古典文学には様々な香りが登場します。そのような知識と、また、日本語の繊細な形容詞による表現を学んだことが、今の仕事に活かされていると思います。
この職に就く前からアロマに興味があり、日々アロマやハーブを使っていたんです。趣味の延長で、アロマテラピー検定を独学で受けました。精油の成分や学名、産地などアロマテラピーの基本的な知識を得てから、アロマアドバイザーの資格を取得しました。その後、上位であるアロマインストラクターの資格も、夏休みを利用してまとめて勉強し、スクールに通って取得しました。
人前に立って「教える」ということは、講師になって実践を積みながら日々修練しています。知識があることと、それを教えることは違うと感じます。インプットは一人でもできるけれど、人に伝えるということは、実地経験を積まないとできませんから。
多様な経験をすることが、感性を磨くことにつながる!
Q6. 高校生のころはどんな夢を持っていましたか?
高校生のころは「自分には何ができるんだろう」と思って、それを探していました。ただ、香りは好きだったので、香りのアンテナは張っていたと思います。また、音楽を聴いたり、小説を読んだりして、いろいろな表現を知り感性を磨いていたことは、今に役立っていると思います。
Q7. アロマアドバイザーはどんな人が向いていると思いますか。
さまざまな感覚の人がいる中、その人の個性を大切にしながら、その人に合わせて香りを伝えていかなければならない仕事なので、その人が伝えたいことをきちんと受け止められる能力が必要です。受け止めた上で、こちらが伝えたいことを伝えていける柔軟性が大切だと思います。ですので、話を聞くことが得意な人が向いていると思います。
Q8. アロマアドバイザーを目指している高校生へ向けて、一言メッセージをお願いします。
自分の好きなことはとことんやってみる! と同時に、苦手なことも食わず嫌いにならず、やってみることが大事だと思います。意外な魅力に気づくことも多く、そういう経験を重ねることで、自分の幅が広がり、世界が広がっていくきっかけになると思いますよ。
香りに興味があるというところから、独学でアロマの知識をつけていった桑山さんの行動力には驚きです!
アロマアドバイザーに興味が湧いた人は、本を読んだり映画を見たりして、感性を磨き、自分の幅を広げるきっかけにしてみてください。
【profile】アットアロマ株式会社 桑山佳織
この記事のテーマ
「エステ・ネイル・リラクゼーション」を解説
ネイリストやエステティシャンといった美容のスペシャリスト、アロマテラピストなどリラクゼーションのスペシャリストとして活躍する仕事です。いずれも高いホスピタリティや接客能力が求められるだけでなく、自ら学び続け、新しい技術やトレンドを取り込む好奇心やセンスが必要となります。
この記事で取り上げた
「アロマアドバイザー」
はこんな仕事です
花や草から抽出したエッセンシャルオイルを使い、心や身体を癒やすアロマテラピーについてアドバイスをする仕事。民間資格として、公益社団法人日本アロマ環境協会が認定するアロマテラピーアドバイザーがある。この資格を取得し、アロマショップで働く人や、サロンでアロマトリートメントを行う人も多い。資格を取得するには、エッセンシャルオイルの作用や効能、機材の使い方などを身に付ける必要がある。アロマ製品は基本的には雑貨扱いだが、化粧品に分類されるものもあるので、薬事の知識もあるとベターだろう。
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