【シゴトを知ろう】空間デザイナー ~番外編~
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空間デザイナーの仕事について、具体的なお話を空間デザイナーの持木慎子さんに伺い、理解が深まりました。
こちらの番外編では、この仕事ならではの「あるある」話を通して、よりリアルな仕事内容についてご紹介します。
この記事をまとめると
- 自宅の一部屋が素材に占領されてしまうこともある
- ショーウインドウを見るときは、夢中になりガラスに頭をぶつけそうになる
- 仕事で常にチャレンジできることにやりがいを感じる
自宅の一部屋は道具や素材でいっぱい!
――このお仕事ならではの、仕事上の「あるある」なことを教えてください。
これは自宅で作業されている方はほとんどそうだと思うのですが、部屋が素材のサンプルだらけになり、ぱっと見た感じがゴミに見えるということです。
空間を演出するオブジェなどをつくるときは、何度も試作を重ねます。例えば、動物の毛を表現したいと思ったときに、フェイクファーや毛糸、石膏など、素材によって表現できる表情は違います。そうやって試作を何度も繰り返し、制作方法や自分のイメージにぴったり来るものを探るのですが、どうしても試作のための道具や素材が山のように溜まってしまうんです。一見、無駄なもののように思えますが、私たちにとっては仕事に欠かせない大切な宝物です。
休日もショーウインドウをのぞき込む
――休みの日にありがちな「あるある」があれば教えてください。
買い物などで街に出かけると、ついついショーウインドウ巡りを始めてしまうことです。ときには施工の方法などが気になってしまい、じっくりのぞき込んでしまうことも。夢中になりすぎてガラスに頭をぶつけないようにショーウインドウに手を当ててからチェックするクセがついています。はたから見たら、あやしいかもしれません(笑)。
また、仕事柄、さまざまな物の素材感やつくりが気になり、触って確かめたくなります。街中にあるオブジェなどの造形物を見るとつい「コンコン」と叩いて素材や中の構造を確かめてしまいます。
街歩きのときには、気になった物や風景などを写真に残すようにしています。これは仕事のアイデアを考える上で大切な要素になるんですよ。
――意外と知られていない、空間デザイナーの知られざる事実やトリビアを教えてください。
私はデザインから制作まで一貫して一人で行っているのですが、プロジェクトが大きくなると、他社のスタッフと関わりながら仕事をすることになります。デザイナーと言う言葉から、一人でコツコツやる仕事だと思われがちですが、意外に人と関わることが多くチームプレーが大切なのです。
現場では、発注していた物が届かない、急なデザイン変更があるなどさまざまなトラブルはつきもの。搬入時間が限られている中で、人の意見を聞きながら最適な対応をしていきます。
私がいつも大切にしているのは、「最善を尽くす心の強さ」と「いいものをつくりたいと思う情熱」です。みなさんの中には、対応力や決断力はどのようにしたら身につくか不安な方もいるかもしれませんが、経験を積むことで得ることができますよ。
ショーウインドウは、作品を額縁に入れるような楽しさがある
――最後に、お仕事の中で、一番の思い出や達成感を感じたエピソードについて教えてください。
仕事ごとに喜びのポイントは違います。例えば、ショーウインドウは、作品を額縁に入れるような楽しさがあり、自分の世界を表現する充実感があります。
街歩きの途中で足を止めて、写真を撮ってくれたり、季節ごとの変化を楽しみにしてくれている方がいるとうれしく思います。
また、大きなプロジェクトでチーフデザイナーとして動くときは、クライアントはもちろん、チームのモチベーションが上がるような魅力的なアイデアでプレゼンテーションができるかが、腕の見せ所でもあります。競合会社とのプレゼンに勝ってデザインを具現化できたときは、やっぱりうれしいですね。常に違うこと、新しいことにチャレンジできるのがこの仕事のおもしろさでもあります。そして、デザイナーとして必要とされていることを実感できるとき、大きなやりがいを感じます。
空間デザイナーとして活躍するには、デザインの才能だけでなく、コミュニケーション能力も大切だということが分かりました。常に新しいことにチャレンジできるので、毎日違う環境で学ぶことが好きな人にはぴったりかもしれません。
ものづくりや、人を楽しませることが好きな人は、ショッピングに出かけたときにショーウインドウをのぞいて、空間デザイナーの仕事に注目してみてくださいね。
【prifile】持木工房 持木 慎子
※メイン画像:持木さんが新宿伊勢丹で「ファッションとネイルの融合」をテーマにデザイン制作したショーウィンドウ。
この記事のテーマ
「建築・土木・インテリア」を解説
人が活動し、生活する環境を整備する仕事です。建築や土木に関する分野と、インテリアコーディネイトなどのデザインに関する分野などがあります。資格取得のために学ぶことは、建築やインテリアの設計やプランニング、CADの習得など。依頼主の要望を具体化できる幅広い知識とコミュニケーション能力も求められます。
この記事で取り上げた
「空間デザイナー」
はこんな仕事です
ショーウインドーやディスプレー、マンションなどの建築物のエントランス、屋外でのイベントなど、さまざまな空間をデザインする仕事。具体的には、まず利用目的をしっかりと把握することから始まる。その上でインテリア、ディスプレー、展示、ビジュアル表現など多岐にわたるデザイン要素を組み立てていく。斬新なセンスのあるアイデアや企画力が求められる他、完成までには多くの人との共同作業が必要なため、コミュニケーション能力はもちろん、全体を指揮するリーダーシップも必要とされる。
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