【シゴトを知ろう】ネットショップオーナー 編
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みなさん、ネットショップで商品を買ったことはありませんか? スマートフォンやパソコンが普及したことで、インターネットで買い物をするのは当たり前のことになりました。
しかし、商品を売る側、つまり「ネットショップの運営」についてはよく分からない、という人も多いのではないでしょうか。
そこで今回、熊本県の名産品をはじめ、全国各地の果物を取り扱うネットショップを運営している西川さんに、お仕事についてお話を伺いました。
この記事をまとめると
- 自分次第で売上を伸ばすことができる
- サイトのデザインや編集の知識が必要
- 夢を叶えるために、進むべき道を明確にする
自分の努力が売上に反映される
Q1. まずはじめに、お仕事の内容を教えてください。
熊本県産をはじめ全国各地の果物の卸業をしています。スーパーや飲食店などをメインに商品を提供しています。約3年前に卸売の一事業としてインターネット販売を開始しました。
「より良い品をより安く」をモットーに、お客様のニーズに合わせた商品提供を行っています。
1日のスケジュールは
5:30~ 起床
6:30~ 出社 卸業務の注文確認
7:00~ 仕入れ
9:00~ 送り状作成・問い合わせ返信などの事務作業
10:30~ 梱包・商品の発送準備
11:30~ 休憩
12:30~ 卸業の経理業務
13:30~ 配送業者に引き渡し
14:00~ 本日分の発送の案内メール
14:30~ 本日発送分の確認・原価計算
15:00~ 在庫管理・明日の仕入れ準備・注文取り
16:00 退社
22:00 就寝
このようになっています。
Q2. お仕事のやりがいを教えてください。
商品企画はもちろんのこと、自分次第で売り上げを伸ばすことができるというのがこの仕事のやりがいです。
また、売り上げだけではなくお客様からの「おいしかった」といった温かいメッセージを頂くことやリピーターが増えていくのも楽しみの一つです。
Q3. お仕事の中で大変なことはありますか?
今やインターネット上で何でも手に入る時代ですので、ただ出店すれば売れるというものではありません。ネットショップを始めた当初は1週間に1件しか注文が来ないこともありました。
テレビ、ニュース、ラジオ、新聞、雑誌、スーパーなどさまざまなものから情報を得て商品が魅力的に見えるよう、試行錯誤しながら育てていかなくてはなりません。
また、お客様にリピートをしていただくためにはアフターフォローも地道にやっていかなければいけません。ときには厳しいご意見をいただくこともありますが、それを真摯に受け止め商品の向上へとつなげていきます。
気長にコツコツとやり続けること、流行に常に敏感でなくてはいけないことはとても大変ですが、この仕事をする上でとても大切なことだと感じています。
自分の夢に向い、独学で勉強
Q4. どのようなきっかけで今のお仕事に就かれたのでしょうか?
高校を卒業したあと、なんとなく就職し接客業に就きましたが「どことなく違うな」と感じていました。
その気持ちのまま何の目標もなく過ごし、結果として1年で退職してしまいました。一度就職したとはいえ、高校でもろくに机に向かわなかったものですからパソコンの使い方すら分からない状態でした。
そこで、「今の時代にパソコンが触れないのは恥ずかしい」と思い、職業訓練校で事務の勉強を開始しました。その一貫で1か月ほどEC(※)の仲介会社へ行った際に、初めてこの業界の裏側を垣間見ました。とても短い時間でしたが、楽しいと感じた瞬間でした。
そういった思いもあり「この会社に入りたい!」と思ったのですが、スキルのない私には難しい話でした。
結果として別の会社に事務員として入社することになったのですが、ECへの思いが消えず、サイトのデザインや編集に必要な知識を働きながら勉強しました。
はじめは職業訓練でお世話になった会社に入りたいという思いで勉強をしていましたが、いつしか「自分で商品を売ってみたい」という思いが芽生え始めました。実家が果物の卸会社をしていたこともあり、「実家の自慢のフルーツを売ろうじゃないか!」と思い立ち、3年前にスタートを切ることになりました。
※インターネットやコンピュータなど、電子的な手段を介して行う商取引の総称
Q5. 高校卒業後に就職したとのことでしたが、振り返ってみて「これをしておくべきだった」と思ったことなどはありますか?
大学や専門学校などに進学しておくべきだったかな、という後悔は少しあります。
やはり専門的な知識を早くにつけるに越したことはありませんし、上下のつながり、横とのつながりは仕事をする上で大変大きいものです。
どの職業へ就くにしてもあらゆる分野で知り合いは多いほうがいいですからね。
Q6. 高校生のときに抱いていた夢などはありますか?
今思うと何事にもあまり興味がなかったのか、夢や目標もありませんでした。高校生のときに目標を見つけていればきっと進学をしていたのでしょう。
進学しないという選択をしたからこそ伝えられることと言えば、やはり高校生のときにいろいろな人に出会うこと、いろいろな職業や生き方の人を見ることは大事だなと思います。人と出会い感動したりすることで興味を持てるものや自分のやりたいことが見つかります。それが「夢を持つ」「目標を持つ」ということにつながっていくのだと思います。
夢を叶える秘訣は“ステップを具体的に考える”
Q7. どういった人がこのお仕事に向いていると思いますか?
まめな人が向いていると思います。イベントごとにバナー(※)や広告を変更したり、商品の変更やセール価格の変更、お客様へのご案内やフォローメールなど細かな作業が多いので、飽きっぽい人には難しいかなと思います。また、実際にネットでお買い物をすることが好きな方はユーザー側の心理を心得ているので良いと思います。
※ウェブサイトを告知、広告するのに使用する長方形の画像ファイルのこと
Q8. 同じ道を目指す高校生に向けてメッセージをお願いします。
まず夢や憧れを持って行動をしてください。そして、その夢を実現させるにはどうすればいいのかを具体的に考えてください。
例えば「10年後に独立したい」という目標を立てるとします。そしたら次に、その目標を叶えるためには、20歳のときに必要な資格を取り、21歳のときに企業へ実習に行く、22歳のときに……と、シュミレーションするんです。そうすれば、今の自分に何が足りないのか、何のスキルが必要なのかが明確に分かるようになります。すると、自然とそれを補うために行動を起こすようになります。
これをしっかりと行い実際に夢が叶うと、また次の夢へ、また次の夢へと、どんどん目標が膨らんでいきます。私自身まだまだですが、夢や憧れがあることで毎日が輝いているのは本当です。
なので、高校生のみなさんも夢を持って、一生懸命それを叶えるために努力してください。
自分のやり方一つで売上が変わるネットショップオーナーというお仕事。常に情報を集めたり試行錯誤をしたりと苦労も多くあるようですが、とてもやりがいがあるお仕事だということが分かりました。
「ネットショップに興味がある」という人は、サイトのデザインや編集が学べる学校への進学を目指してみるといいかもしれませんね。
【profile】有限会社マルイチ西川商店
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この記事のテーマ
「コンピュータ・Web・ゲーム」を解説
デジタル情報をつなぐシステム構築をはじめ、webやゲーム、アニメーション、映画など、メディアやコンテンツを創り出します。コンピュータの設計・開発などを学ぶ情報処理系と、アニメ・ゲームなどの制作を学ぶコンテンツ系があります。また、ビジネスの現場で広く使われているアプリケーションを使いこなすスキルを身につける授業もあります。
この記事で取り上げた
「ネットショップオーナー」
はこんな仕事です
ネットショップのオーナーとして、商品を販売する仕事。商品の仕入れと管理のほか、決算手続きや梱包・発送など販売に関する一連の業務を行う。また経営者として、コスト削減や販売促進について考えることも仕事の一つだ。Webサイトを運営し、顧客とのやりとりは主にメールになるため、パソコンの基本操作ができることが必須になる。医薬品や動物は販売許可が必要で、健康食品や化粧品などは法律による広告の規制があるため、これらの知識を身に付けておかなくてはならない。