【シゴトを知ろう】ブライダルスタイリスト 編
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一生に一度の晴れ舞台「結婚式」。女子の場合、自分が着たいドレスについて、今から想像をふくらませている人もいるのではないでしょうか。
結婚式において新郎・新婦の衣装や小物を用意する仕事を「ブライダルスタイリスト」といいます。ブライダルスタイリストの方は、普段どんなお仕事をされているのでしょうか? そこで、東京都渋谷区にあるブライダルサロン「クリオマリアージュ」のマネージャーであり、チーフスタイリストとして活躍していらっしゃる下村菜美さんに、お仕事の内容や魅力について伺いました。
この記事をまとめると
- ブライダルスタイリストの仕事は、お客様と半年~1年にかけてのお付き合いになるので、本当に仲良くなることができる
- 高校の部活で養った体力や、チームワーク、協調性はブライダルスタイリストの仕事に生かすことができる
- ブライダルスタイリストは『人が好きな人』には向いている仕事といえる
お客様と長いお付き合いをしていくうちに、信頼関係が生まれる
Q1. 現在のお仕事内容について教えてください。
私はブライダルスタイリストとして、結婚式を控えているご新郎様・ご新婦様のご衣装や小物を準備するお手伝いをさせていただく仕事をしています。1日の仕事内容としては、お店にいらっしゃったお客様のご案内がメインの業務になりますが、接客の合間に、衣装のサイズのお直し・メンテナンス・検品(品物に不備がないか検査すること)・荷造りといった作業もしています。
Q2. お仕事の中で、魅力ややりがい、楽しさを感じるのはどんな時ですか?
「お客様の一生に一度の舞台に関われる」ことが、この仕事の魅力だと思います。「ありがとうございました。おかげさまで、いい結婚式になりました」とおっしゃっていただけた時、やりがいを感じますね。お客様はウエディングを行うために、私たちに大きな金額をお支払いしてくださっているのですから、本来は私たちが「ありがとうございました」と言いたいくらいなのに、すごく感謝をしていただけるのはありがたいです。
また、ご新郎様・ご新婦様とは半年から1年にかけてのお付き合いになるので、本当に仲良くなれます。ウエディングの話題だけでなく、仕事の話、趣味の話、お2人のなれそめといった色々な話をしていくようになって、信頼関係が生まれるんです。結婚式1ヶ月前の小物合わせの段階になると、「下村さんがいいと思うのはどれですか? それに決めます」と任せていただけることもあるくらいです。
Q3. 一方で、お仕事の中で大変さや苦労を感じるのはどんな時ですか?
「ミスした時、取り返しがつかない」のがこの仕事の大変なところだと思います。例えば、式本番でご新婦様のドレスに汚れ・破損があったとしても、もう1回、100人近いゲストを呼んで、結婚式ができるかといったら、絶対にできません。仕事において「何かあった時は、謝罪じゃ済まない」という緊張感は常に伴います。
「こういうことが起こるかもしれない」という最悪の可能性も考えながら、そうならないようにするために、5~6回検品を繰り返しています。本番の一発勝負に向けて、チェックにチェックを重ねる毎日です。
ブライダルスタイリストは、接客のスキルや体力が重要視される仕事
Q4. 現在のお仕事を志すようになった理由を教えてください。
理由はいくつかあります。まずは、大きな金額のお金が動く仕事のほうが、接客のスキルが重要になると感じたからです。接客を担当した人を気に入っていただくことによって、お客様は初めて大きなお金をお支払いすると思うんですね。
また、私は人をお世話することや、洋服が好きでした。そういった気持ちとリンクする仕事は何かな、ということを考えて、ブライダル関係の仕事を目指そうと思うようになりました。
Q5. 大学ではどのようなことを学びましたか?
私は4年制大学でブライダルとは関係のないことを勉強していました。ただ、もともとお裁縫は好きだったので、一定レベルのことはできました。このスキルは、今の仕事で衣装のお直しをする時に活かすことができていますね。
そのほかのブライダルのノウハウは、入社してから本格的に学びました。例えば、ドレスのフィッティング(試着)の際は、本番のイメージをつかんでもらうために、お客様の髪をおまとめするのですが、そういった技術も入社後に自分で勉強しました。
Q6. 高校生のころはどのように過ごしていましたか? また高校の経験において、今のお仕事につながっていることはありますか?
高校のころはテニス部に入っていて、強豪校だったこともあり、アスリートばりにスポーツをがんばっていました。ブライダルスタイリストは体力仕事なので、その土台になる体力は部活動で身に付いたと思います。また、部活で学んだチームワークや協調性も、今の仕事に生きていると感じます。
普段からたくさんのものに触れることによって、お客様を楽しませることができる
Q7. このお仕事はどんな人が向いていると思いますか?
人が好きな人は向いていると思います。例えば、今度結婚式を挙げようと考えているお客様が来店したとして、人が好きな人は、「このお客様は、こんなアクセサリーをつけているのか」「バッグやメイクはこういうブランド・雰囲気のものを好むのか」ということを、興味を持って見ることができるんですね。そうすると、「この方は、あのウエディングドレスが好きかもしれない」と思いついて、お客様に一番マッチするものをおすすめすることができるんです。
あとは、コミュニケーション能力がある人も向いています。お客様が「こういうドレスが着たいです」とおっしゃった時に、きちんとそれに見合ったものを用意しなければいけません。だから、お客様のご希望を聞き取る能力は大切です。
Q8. ブライダルスタイリストを目指している高校生へ向けて、一言メッセージをお願いします。
今から、たくさんのものに触れることを大事にしていただきたいです。この仕事は、花嫁さんを幸せな状態にするために、「楽しませる」ことを心がけなければいけません。じゃあ、人を楽しませられる人がどういう人かというと、私は「引き出しの多い人」だと思うんです。色々なことに興味があったり、趣味が多かったり、さまざまな分野の情報を持っている人って話していて楽しいんですよね。
私も、映画、読書、歌舞伎、アミューズメント施設、ラーメンと、いろいろなことに興味を持って楽しむようにしています。どのお客様に、どんな話題がマッチするかは分かりません。なので、ブライダルスタイリストを目指している高校生のみなさんにも、好き嫌いせず、いろいろなものに触れて、いろいろなことを感じてほしいと思います。そうすると、将来、対応できるお客様の数がグッと増えますよ。
ブライダルスタイリストのお仕事は、人と接する「接客業」である分、お客様と信頼関係を築くための努力を重ねていくことが大事だと分かりました。「人が好きな人」「コミュニケーション能力に自信がある人」は、ぜひブライダルスタイリストを目指してみてはいかがでしょう。
【profile】Cli'O mariage(クリオマリアージュ) 下村菜美
http://www.cliomariage.com/
株式会社コードスリー
http://www.cord3.co.jp/
この記事のテーマ
「旅行・ホテル・ブライダル・観光」を解説
目指す業界の専門知識を学び、パソコンなどのスキルを身につけます。旅行・観光では資格取得や採用試験対策、ホテル・ブライダルでは、現地実習を通して実践力を養う研修が多く含まれます。共通して求められるのは、ゲストに非日常のサービスや空間を提供する接客技術やサービス精神。不規則な勤務に対応できる体力の養成も求められます。
この記事で取り上げた
「ブライダルスタイリスト」
はこんな仕事です
ブライダルスタイリストは、ドレス選びや小物の準備などを担当する仕事。事前の打ち合わせで、新郎・新婦の要望に沿いながら衣装やジュエリー、ブーケなどのコーディネートを提案。式当日に、進行に合わせて着付けを行うことも。衣装などの管理や手入れも欠かせない。主に結婚式場やホテル、ブライダルサロンなどが職場となっており、結婚式にオリジナリティーが求められる昨今では、こうした専門職の活躍が増えている。
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