【シゴトを知ろう】航空整備士 編
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空港へ行き、飛行機に乗る時は、何だか特別な気分になりますよね。将来は、そんな飛行機に関する仕事に就きたいと考えている人もいるのではないでしょうか。
飛行機にまつわる仕事は多々ありますが、航空機の部品の検査や修理をする「航空整備士」はその内の一つです。今回は、千葉県木更津市に本社がある「多摩川スカイプレシジョン株式会社」で航空整備士として活躍している早川直希さんに、お仕事内容ややりがいについて伺いました。
この記事をまとめると
- 航空整備士は、飛行機の部品をさまざまな方法で検査し、修理している
- 漠然と「技術者(エンジニア)」になりたいと思っていた早川さんは、高校の先生に「航空技術」に関する冊子を見せてもらい、航空整備士になろうと決めた
- コツコツ努力できる人、人と違うことにチャレンジしてみたい人は航空整備士に向いている
航空整備士は、空の安全を足元から支える仕事
Q1. 現在のお仕事内容について教えてください。
私は、航空整備士として、タイヤ・ホイール、ブレーキ、油圧部品といった「航空機装備品」の整備を行っています。航空機のタイヤ・ホイールは、1ヶ月半程度のサイクルで交換されています。飛行場で取り外されたタイヤ・ホイールは、当社に搬入され、分解、洗浄、検査、修理、組立てという工程を経て、再び飛行機に取り付けられるのですが、この作業の中でも、私は「検査・修理」をしています。
部品一つひとつに対し非破壊検査(機械部品に傷がないか、対象を破壊することなく検査すること)や、目視検査(目で見る検査)といった検査を行い、不具合があれば修理をし、再び使用できる健全な状態に戻します。その後、修理された部品は再度組み立てられ、航空機に取り付けられていきます。
Q2. お仕事のどういった点に、魅力ややりがいを感じますか?
飛行機の部品に不備がないかをチェックし、修理を行う航空整備士は、「多くのお客様の命をお預かりしている」といっても過言ではないと思います。とてもプレッシャーを感じますが、それと同時に「空の安全を足元から支える」という責任感、使命感を感じることができるので、やりがいを持って働くことができます。また、お客様(航空会社様)からのご要望に、社員一丸となって応えられたときにも、達成感を感じますね。
Q3. このお仕事の大変なところや、苦労を感じる場面を教えてください。
この仕事に就くためには、「航空整備士」「航空運航整備士」といった資格が必要です。また、業界で長く活躍するためには、「非破壊検査試験技術者」や「航空工場整備士」といった国家資格を取得する必要もあります。ですが、これらの試験に合格するためには、長時間の実務経験や難しい試験をパスしなければいけません。働いていく中で、常に向上心を持って、技術や知識の取得に努めなければいけない点は、この仕事の大変なところです。
他にも、業務の都合上、どうしてもプライベートな予定をキャンセルしなければいけないことがあり、そんなときは仕事の大変さを感じます。飛行機の整備は24時間、ひとときも休むことなく行われています。航空機の整備作業が、支障なく、かつ限られた時間内に行われるためには、航空機に装着されている部品の他に、予備のタイヤ・ホイールが必要になります。この予備部品を確保するため、残業、休日出勤で対応する場合があるんです。こんなときは、辛く感じてしまうこともあります。
早川さんは、航空整備士になるために航空専門学校で勉強を重ねた
Q4. 現在のお仕事を志すようになったきっかけを教えてください。
私は、小学生のころから親の影響もあって、「技術者(エンジニア)」という職業に憧れていました。専門知識を得るために、まずは中学を卒業した後、工業高校へ進学しました。その際、担任の先生から「航空技術」についての冊子を見せていただき、「航空業界は、とてもやりがいのある世界だな」と感じるようになりました。それをきっかけとして、「航空機の技術者(整備士)」を目指すことにして、航空専門学校に進学することを決めたんです。
Q5. 専門学校ではどのようなことを学びましたか?
航空専門学校への進学後は、応用力を高めるため、まず基礎的な知識の習得に努めました。専門学校で基礎力を高めることに力を注いだ結果、新しい知識、技術に対しての理解力を高めることができたと思っています。
Q6. 高校生のころはどんな夢を持っていましたか?
高校のころから、航空整備士になりたいと思っていました。夢がかなってよかったです。
航空整備士になるには、対面のコミュニケーションを大切にするといい
Q7. このお仕事はどんな人が向いていると思いますか?
夢を諦めず、コツコツと努力を重ねる人、人と違うことにチャレンジしてみたい方にはおすすめです。
Q8. 航空整備士を目指している高校生へ向けて、一言メッセージをお願いします。
航空整備の仕事は、共同、連携作業が多いので、コミュニケーションは大切です。高校生であれば、メールやLINEでやり取りをする機会も多いと思いますが、ぜひ、直接友だちの顔を見て話をする機会をつくってください。勉強においては、英語もさることながら、基礎学力・考える力をしっかり身につけると、実際に航空整備士として仕事をする際に役に立つと思います。
多くの乗客を乗せて飛ぶ飛行機。飛行機が事故なく安全に飛ぶのは、航空整備士の方の努力のたまものだということが分かりました。「僕・私も、飛行機を安全に飛ばすために貢献したい」と感じた人は、ぜひ航空整備士の仕事を目指してみてくださいね。
【profile】多摩川スカイプレシジョン株式会社 早川直希
http://www.osco-tky.com/index.html
※メイン画像はイメージです
この記事のテーマ
「自動車・航空・船舶・鉄道・宇宙」を解説
陸・海・空の交通や物流に関わる仕事です。自動車や飛行機、船舶、鉄道車両などの整備・保守や設計・開発、製造ラインや安全の管理、乗客サービスなど、身につけるべき知識や技術は職業によってさまざま。宇宙分野に関しては、気象観測や通信を支える衛星に関わる仕事の技術などを学びます。
この記事で取り上げた
「航空整備士」
はこんな仕事です
航空機が安全に飛行できるように機体を整備する仕事。航空会社や航空機整備会社の他、飛行機を所有する民間会社などが活躍の場となる。空港勤務の整備士であれば航空機の到着後、次のフライトまでの時間を利用し、機体に不具合がないかどうかを確認する。外観だけでなくエンジン音なども聞き分けながら異常がないかをチェックし、不具合があれば原因を突き止めて時間内に解決しなければならない。一瞬の判断ミスが事故につながるのでプレッシャーは大きいが、空の安全を担うというやりがいのある仕事である。