気になる社会人にインタビュー! 第73回:船舶機関士に聞いてみた10のコト!

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気になる社会人にインタビュー!
第73回:船舶機関士に聞いてみた10のコト!

2016.09.14

提供元:マイナビ進学編集部

気になる社会人にインタビュー!
第73回:船舶機関士に聞いてみた10のコト!

映画や漫画の物語の中には、「船乗り」という仕事がよく出てきますが、現実で船に乗っている人に会うことは滅多にありません。しかし、現代でも船によっての物資の輸出入が行われているように、船乗りという職業は、私たちの生活の中で欠かせない存在です。

今回は、そんな船乗りの中でも、船の整備などを行う「船舶機関士」として世界の海を駆け巡っている、川崎汽船の木下弘也さんにお話を伺いました! 海や旅が好きな人は必見です!

この記事をまとめると

  • 船の船舶機関士は、乗船しながら船の安全を守る仕事
  • 世界中の海を回り、現地の観光も可能。長期の休暇もある!
  • 船内の共同生活を行うコミュニケーション力や忍耐力が必要

船の整備を行い、安全な航海をサポートする

川崎汽船の船舶機関士・木下弘也さん

川崎汽船の船舶機関士・木下弘也さん

Q1. 普段のお仕事について教えてください。

「私の仕事は、『外航船の船舶機関士』になります。よく『漁師?』と質問されるのですが、だいぶ違います。我々が普段生活するためには、たくさんの物が必要です。例えば、衣類や食品、木材やエネルギー資源、自動車などさまざまです。これらは日本国内ですべて賄われているのではなく、外国からの輸入に依存しており、また輸出もしています。それらの貿易で荷物輸送のほとんどを担っているのが外航船であり、船種にもよりますが全長300mを越える船が我々の生活を支えています。私の仕事は、そんな外航船の『機関士』です。

船乗りの中には『航海士』と『機関士』があり、航海士は操船や荷物管理が主な業務で、船舶機関士は船のエンジンやその他機械の保守整備が主な業務となります。また、実際に船に乗るだけではなく、船で得た知識や経験を生かして、陸上から船を管理やサポートすることもあります」

Q2. 1日のお仕事の大まかな流れを教えてください。

(船内での基本的な一日)
07:00 起床、朝食
07:30 機関室の見回り
08:00 始業ミーティング、整備作業等開始
10:00〜10:30 ティータイム 
10:30〜12:00 整備作業等
12:00 昼食
13:00 整備作業等
15:00〜15:30 ティータイム
15:30 整備作業 / 片付け / 翌日の準備
17:00 作業後ミーティング
17:30 夕食
18:30 書類作業 / 調べ事 / 自由時間 等
23:00 就寝

「基本的なスケジュールは上述の通りですが、船は24時間稼動しています。狭水道(地形が複雑なところ)を通る場合や荷役中(船舶から荷物を揚げ降ろしすること)、そのほか、必要であれば当直に入ることもあります」

Q3. 現在のお仕事に就くまで、どのような勉強や経験を積まれてきたのでしょうか。

「私は普通科高校を卒業し、商船系の大学に進学しました。大学卒業後は、商船系大学の実習科を半年経て、海運会社に入社しました。

商船系大学の実習科というのは、船舶職員(船乗り)の養成を行う機関であり、卒業後に3級海技士(航海と機関、外航船舶へ乗船するにあたり、最低限必要な資格)の口述受験資格を得ることができます。現在では、商船系大学以外の一般の大学を卒業後、海運会社に入社してから訓練を受けて船乗りになることも可能ですよ。

高校生の時は、『船乗りになるぞ!』と目指していた訳ではなく、『何か特殊な仕事に就きたい』とボンヤリしたものしかありませんでした。高校を卒業して商船系の大学に進学しましたが、実際、商船系大学でどんな勉強ができるかもよく知らぬままの入学でした。勉強していくなかで、船乗りや海運業界を知り、現在の仕事に就いています」

およそ半年は船での生活、その代わり休暇はまとめて3ヶ月

「一番大切にしていることは安全」と話す木下さん

「一番大切にしていることは安全」と話す木下さん

Q4. お仕事の中で、魅力ややりがいを感じるのはどんなときですか?

「外航船はさまざまな国に行き、入港中に上陸して現地を楽しむことができます。いつも必ず上陸出来る訳ではありませんが……。また、一度乗船したら約6ヶ月は船上での仕事となりますが、その分、3カ月分まとめた休暇が取得できます。船乗り以外の仕事でしたら3ヶ月の休暇取得はかなり厳しいと思いますので大きな魅力です。また、乗船中は基本的に生活費がかからないため、お金も貯まります。

船舶機関士についての魅力ですが、船にある機械が故障すると、その場の人間で修理しなくてはなりません。陸上のプラント等では、故障が発生するとメーカー技師による修理がされますが、船は海のど真ん中に浮いているので、メーカー技師に来てもらうのが非常に難しい環境です。そんな中で、故障を直した時の達成感は何ともいえないものがあります。

しかし、修理も大切ですが一番重要なのは、故障や事故を発生させないことです。スムーズに船が運航できるよう、しっかりとメンテナンスを行い、滞りなく荷物を運べる状態を作ることにやりがいを感じます。また、現在日本人の外航船航海士・機関士は1,800人程度と言われており、こんな仕事が出来る人は極少数なことにも魅力を感じています。この船を知ってるのは自分だけなんだぜ!という感覚です」

Q5. お仕事に取り組む中で、大切にしていることがあれば教えてください。

「一番大切にしていることは『安全』です。船内は非常に大きな機器などがあり、油断すると大怪我をする危険性があります。自分の身を守り、周りの人の安全にも注意することが一番大切なことです。
その他、仕事をするにあたっては、上司や部下への『報告・連絡・相談』の徹底や乗組員同士のコミュニケーションを大切にしています。みんなが安全かつ楽しく仕事をするためには、とても重要な要素になります」

Q6. お仕事の中で、一番の思い出や達成感のあったエピソードはなんですか?

「船の入渠(にゅうきょ・ドックともいう)作業です。車と同様に船も定期的に造船所に入り、各種検査や普段出来ない整備作業等を行います。このことを入渠作業と言います。入社5年目に初めて乗船した蒸気タービン船で入渠作業がありました。機関室(大きい体育館程度の空間)には多くの機械やバルブがあり非常に大変な作業です。真夏のカタールということも重なり、暑いなかを走り回る日々を過ごしていました。仕事量も多く、厳しい環境下での仕事でしたが、多くの貴重な経験が出来、無事出渠(しゅっきょ・船をドックからだすこと)したときは、達成感に満ちあふれていました。

一方で、今後につながる教訓となったできごともあります。それは船内エアコンの担当だった際、エアコンの圧縮機が故障してしまったときのことです。幸い、予備の圧縮機があったので交換してことなきを得ましたが、狭所作業であったため6時間ほど時間がかかり、その間、乗組員の方には、暑い中で我慢していただききました。しっかりとしたメンテナンスが重要だと再認識させられた事件です」

チームワークと責任感、タフさが船舶機関士には必要

「船舶機関士には、チームワークと責任感、タフさが必要」と話す木下さん

「船舶機関士には、チームワークと責任感、タフさが必要」と話す木下さん

Q7. 船にまつわる仕事に向いている人や、船にまつわる仕事になる際に必要な知識について教えてください。

「船乗りに向いている人は、責任や覚悟を持って仕事が出来る(一度乗船したら、自分の仕事にしっかりと向き合える)、周囲の人を大切に出来る(ほかの乗組員に気を使うことができる)、精神的にタフ(厳しい環境での仕事となるので、メリハリ良く働ける方)な人だと思います。知識や技術は実際に乗船してから身につければ大丈夫ですよ。

船乗りとしての知識は、天井がありません。非常に多くの機械や国際条約があり、また新たな技術がどんどん生まれています。そんな中で日々勉強を行い知識や経験を積み、信頼される船舶機関士になること。さらに、船内だけではなく、陸上から船を管理出来る船舶機関士になることが私の目標です」

Q8. お休みの日はどのように過ごしていますか?

「船乗りのお休みは3ヶ月あります。就学してからこれほど長い休みを取ったことはありません。長期休暇が始まる前から『やることリスト』と『買う物リスト』を作成していきます。これが楽しみです。私はバイクツーリングが趣味ですので、四国や北海道などを1周しています。もちろん時間はたっぷりあるので、飽きたら帰る感じです。

そのほか、ジム通いをしてひたすら体を鍛えたり、遠方にいる学生時代の友人に会いに行ったりと悠悠自適な休日を過ごしています。仕事と趣味がリンクすることはあまりありませんが、自宅のちょっとした不具合なんかは自分で修理します。またホームセンターが好きなので、よく買い物に行きます」

Q9. 高校時代はどのように過ごしていましたか?

「高校時代は軽音楽部に所属しており、正直あまり勉強はしませんでした。出身も海のない県でしたので、現在の仕事とまったく縁はありません。意外かもしれませんが、船乗りの多くは、大学入学後にこの仕事を知った方が多いんです。

高校時代にもっと勉強しておきたかったのは、英語と物理です。外航船ですので、外国へ行く機会が多く、また、乗組員は外国人の方もいます。もちろん英語は必須ですので、高校時代にもっと勉強しておけば……とよく後悔しています。また、船舶機関士の仕事では熱力学や電気などの知識が必要となってきます。そこまで専門的な物理知識は必要ありませんので、文系の方でも船舶機関士になれますが、やはり基礎知識は大切だと思います」

Q10. 船にまつわる仕事を目指している高校生へ向けて、一言メッセージをお願いします。

「船乗りや国際貿易、造船、メーカーなど船に関わる仕事はたくさんありますが、広い視野で多種多様な職業を見ていただけたらと思います。その中で、『やはり船が好きだ!』と思うようでしたら、是非、船乗りを目指してください。世界の海でお待ちしています」

海が好きな人にとってはたまらない職業である船舶機関士。メカニックの知識も必要なので、機械が好きという人やいろいろな場所に行くので、旅が好きという人にも向いていそうですね。船舶機関士以外にも船に乗って働く職業はたくさんあるので、いろいろな仕事を調べて、自分の興味に合った職種をぜひ選んでみてくださいね。

【取材協力】川崎汽船株式会社
https://www.kline.co.jp

この記事のテーマ
自動車・航空・船舶・鉄道・宇宙」を解説

陸・海・空の交通や物流に関わるスキルを学びます。自動車、飛行機、船舶、鉄道車両などの整備・保守や設計・開発、製造ラインや安全の管理、乗客サービスなど、身につけるべき知識や技術は職業によってさまざまで、特定の資格が求められる職業も多数あります。宇宙については、気象観測や通信を支える衛星に関わる仕事の技術などを学びます。

「自動車・航空・船舶・鉄道・宇宙」について詳しく見る

この記事で取り上げた
「船舶機関士」
はこんな仕事です

船の乗組員のうち、エンジンやボイラー、発電機をはじめとする機関関係の管理を行う仕事。船の機関室に表示されるデータを確認しながら、主要な機関が正常に動いているかどうかを監視するのが主な任務。大型船舶の場合、機関長をトップとして「一等機関士」「二等機関士」「三等機関士」がいて、それぞれ役割を分担している。航海中だけでなく、港に停泊しているときも点検・整備を行い、次の航海に備える。海技士(機関)の資格を取得しなければ、船舶職員として船に乗り込むことができない(小型船舶を除く)。

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