漫画や写真が動き出す!
SNS上で動く動画「GIF(ジフ)」って知ってる?

Twitterなどで、クリックしていないのに動き出すアニメを見たことがある人は多いでしょう。実はあの動画は「GIF(ジフ)」と呼ばれ、企業やクリエイターの間でも注目されているものなんです。自作のGIFを投稿できるプラットフォームサービス「GIFMAGAZINE」の創業者・大野謙介さんに、GIFのおもしろさと将来について聞いてきました。
この記事をまとめると
- GIFはスマホの普及で爆発的に広まった
- SNSで手軽に共有できて軽くサクッと見れるのがGIFの強み
- 企業のプロモーションにも多数使われている
スマホの普及で爆発的に広まったGIF
――本日はありがとうございます。まずGIFとはどういうものなのか、簡単にお教えいただけますでしょうか?
シンプルに言うと、1~3秒の短い動画です。短編で、ループできて、クリックしなくても再生できる。この3つがGIFの特徴です。
普段パソコンやスマートフォンでYouTubeの動画を見ていると思います、2,3分の動画はストーリーを伝えるのに適していますね。それに対して2,3秒のGIFは、徹底的にシンプルなワンメッセージを伝えるものといえます。
GIF自体は1987年くらいからあるものなのですが、GIFが、約30年経ってまた改めて注目を集めるようになった背景には、2011年にスマートフォンが普及したことが影響しています。
TVやパソコンがゆったり大きな画面で見るものに対して、スマートフォンは小さい画面で移動中や休み時間などスキマ時間に何回も開きます。2,3秒でサクッと見れるGIFは非常に相性が良かったといえます。また、どんなOSでもどんなブラウザでも再生できるGIFはFacebookやTwitterなどのSNSでの拡散も後押ししていますね。
――そうだったんですね。GIFは日本以外の国でもよく利用されていると聞いたのですが、本当ですか?
そうですね。GIFは短い動画です、GIFMAGAZINEでは各国の通信環境に合わせてファイルの重さを変えているので、通信環境があまりよくない東南アジアでも見ることができます。楽しむのに言語が関係ないことも、GIFがいい理由の一つだと思っています。
今やGIFはまさに世界中で利用されていて、アメリカ発のGIPHYとうサービスもあります。多くのクリエイターと一緒に成長するGIFMAGAZINEも日本、アジアをきっかけに大きくなっています。
企業のプロモーション手段としても浸透
――たしかにスマートフォンで見るときに、重い動画データだと再生しにくかったりしますもんね。GIFをビジネスとして選ばれたのも、こういった広がりを見据えてのことだったのでしょうか。
2012年にアメリカで「GIF」という単語が流行語大賞に選ばれているほど浸透していて、それも後押しする要素にはなりました。でも何よりも、私が個人的にGIFをとてもおもしろいと思っていたというのが一番の理由ですね。純粋にGIFが好きでおもしろいと感じていました。
でも実際には、GIFはビジネスとしての広がりもかなり出てきていると思います。今ではGIFMAGAZINEはいろいろな企業さんにもご利用いただいていて、再生回数はループをカウントせずに1億2千万回もの規模になります。
――それはすごい規模ですね! それほど企業さんに受け入れられている理由はどういったところにあるのでしょうか?
GIFはシンプルに1つのメッセージや印象を伝えることが得意なので、プロモーション活動にとても適しているといえます。また、ループするので、見ている人の記憶に情報を刷り込む効果、覚えてもらう効果もある結果もいくつかでています。この記事を読まれている高校生の皆さんならテストの暗記にGIFを使うといいかもしれませんね(笑)
GIFMAGAZINEでの企業のGIF作品をご紹介します。
■川崎フロンターレ
中村選手、大久保選手の様子が、非常に細かく描かれています。
見ればみるほど発見がある瀬川三十七さんの素敵な作品です。
uploaded by 川崎フロンターレ【公式】 on GIFMAGAZINE
■楽天
楽天さんの「Shopping is Entertainment」を表現したGIF作品です。非常にループが気持ちのいい作品ですね。
uploaded by Rakuten_Ichiba on GIFMAGAZINE
■ローソン
からあげクンのアハ体験クイズなどもGIFアニメで遊ぶことができますね。10秒で画像のどこかが変わるんですが、わかったでしょうか?
uploaded by LAWSON【公式】 on GIFMAGAZINE
■ポッキー公式
たばこをそっと差し出すような仕草で渡したのは、ポッキーですね。なめらかに美しくポッキーを取り出す様子が素敵です。女性の手元からチラリと見える、ポッキーの箱など、細かい演出が垣間見えますね。
uploaded by 瀬川三十七 SEGAWA Atsuki on GIFMAGAZINE
GIFだと、バナー広告のイメージを持たれる方も多いかもしれませんが、あまり広告っぽい感じがしないアートだったりクイズだったりとコンテンツとしてのGIFを投稿している企業の方も多くいらっしゃいます。気軽に楽しめて、伝えたいメッセージはちゃんと伝わる。これが企業のプロモーションとして受け入れられている理由の一つだと思います。
SNSでの拡散力がGIFの大きな強み
――プロモーションの一環として考えたとき、SNSで拡散されやすいというのも、GIFの大きな強みですよね。
そうですね、GIFの広まりを受けて、2014~2015年くらいにはTwitterやFacebookも自然とGIFに対応するようになりました。
GIFMAGAZINEは人気の映像クリエイターや、イラストレーター、漫画家が自分のGIFを見てもらう場、SNSに拡散してもらう場としても浸透してきています。
昔のGIFってバナーのような印象をもっている方は多いのですが、GIFMAGAZINEをみて、本当にアート色の強いものをみて、「これがGIFなの?!」と驚かれる方も多いですね。最近ではGIFのクリエイターとして活躍される方も増えてきました。
新感覚ファッショングラビア、「グラフィックガール」。GIFMAGAZINEに投稿されているアートディレクターKASICOさんの作品です。
uploaded by グラフィックガール on GIFMAGAZINE
GIFMAGAZINEはクリエイターさんを応援する場でもある
――イラストレーターさんや漫画家さんは動画のプロではないと思うのですが、そういう方でもGIFって作れるものなのでしょうか?
そうですね。GIFはパラパラ漫画のようなものです、静止画の組み合わせで作ることもできるので、イラストや写真が2枚あれば動画が作れるわけです。イラストレーターさんや漫画家さんには、「自分が作ったキャラクターが動いたらいいなあ」と思っている方もいます。そういった心理も、投稿が増える理由のひとつなのかもしれません。
また、GIFMAGAZINEは映像作家さんなど動画のプロの方も使っていたります。1分や2分の長い本編の動画と使い分けて、GIFのチラ見せをGIFMAGAZINEやFacebook,Twitterで拡散させていたりします。
――たしかにそうですよね。プロ・アマチュア問わず、クリエイターの方はこういうプラットフォームがあることで作品を世に広めやすくなりましたよね。
若い人にアートなGIFやおもしろいGIFをたくさん見てもらえて、クリエイターの人たちによく使ってもらっているというのは、運営者としてはうれしいことです。もともと運営メンバーはそれぞれ創作活動を経て今に至っています。「クリエイターが生計を立てたり、自分の作品がより多くの人に見てもらえる場を提供したい」と思い作家と一緒に作っていたプラットフォームです。
見ているだけで楽しいGIFですが、ビジネス、創作活動など、いろいろな目的で幅広く使われているんですね。将来動画を使って仕事をしてみたいと思ったら、大学の情報学科などでその基礎を勉強してみるのもいいかもしれません。
【プロフィール】
大野謙介
株式会社 creative box
代表取締役/CEO
Twitter:@SeKai_SeiFuKu
GIFMAGAZINE
http://gifmagazine.net/
この記事のテーマ
「情報学・通信」を解説
情報通信産業には、通信業、放送業、情報サービス業、インターネット付随サービス業、映像・音声・文字情報制作業の5分野があります。近年は各分野の垣根が取り払われつつありますが、なかでも注目されているのが、インターネットに代表されるコンピュータを介した情報通信工学でしょう。高度に情報化が進んだ現代において、安全保障や経済政策はもちろんのこと、日常生活に至るあらゆるシーンで必要とされる、活躍の場の広い学問です。
この記事で取り上げた
「情報工学」
はこんな学問です
情報工学の研究対象は、コンピュータ端末のハードとソフトに始まり、情報通信を数学的に考察する情報理論、さらにさまざま通信技術、マルチメディア技術に及ぶ。研究する分野も幅広く、コンピュータを設計してコンピュータシステムを構築する「計算機工学」、情報システムの設計・プログラミング・データベースなどを扱う「ソフトウェア」、現実の問題をコンピュータと数学を用いて解決する「数理情報工学」などがある。
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