「就くのは簡単。続けることが難しい」 サッカージャーナリストに聞く、仕事のやりがい。

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「就くのは簡単。続けることが難しい」 サッカージャーナリストに聞く、仕事のやりがい。

2016.08.31

提供元:マイナビ進学編集部

「就くのは簡単。続けることが難しい」 サッカージャーナリストに聞く、仕事のやりがい。

この記事をまとめると

  • 留学がスポーツジャーナリストを目指すきっかけに
  • ブログで発信していたら出版社からオファーが!
  • 天職とは見つけるものではなく、続ける結果そこにあるもの。

運動部で日々活動に打ち込んでいる、スポーツ観戦が好き、というみなさんの中には「将来はスポーツに携わる仕事をしたい」と考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。

もちろん、スポーツに関わる仕事は選手だけではありません。選手や監督、試合を取材し、スポーツの感動を多くの人に報道するスポーツジャーナリストもそのうちの一つです。

そこで今回は、リオネル・メッシ選手への取材経験をお持ちであり、その圧倒的な取材力で海外からも支持を獲得されているサッカージャーナリスト、小澤一郎さんにお仕事とやりがいについてお聞きしました。

「世界トップレベルのサッカーに触れたい」という思い。

高校生の皆さん、こんにちは。サッカージャーナリストの小澤一郎と申します。今日は皆さんにとってはあまり馴染みがないかもしれない「サッカー(スポーツ)ジャーナリスト」という職業についてお話させて頂きます。

私は小学3年生からサッカーをやってきましたが、選手としての能力の限界については高校3年生までに分かっていたので、大学入学後は「サッカー指導者」を目指すようになりました。サッカー指導者としての職業の形を「教員になってサッカー部の顧問になる」ことだと理解していた私は、教育学部に入学し、教員免許を取得しました。しかし、大学2年、4年次にスペインへ語学留学をしたことで、「もっとサッカーを探求したい」という欲求に駆られます。

大学卒業後には教員の道ではなく一般企業へ就職をしますが「世界トップレベルのサッカーに触れたい」という思いを抱き続けた結果、2年で退職して何もない状態でスペインへと渡りました。渡西当初の目的は「スペインのコーチングライセンスを取得してサッカー指導者になること」でしたが、すぐに指導者としての能力とライセンス取得のために必要な資金の限界に気づきました。

一方で移住したバレンシアという都市にあるチーム、バレンシアCFの練習を現地の記者以上に見学し、練習の内容やメニューを細かくメモに書き留める生活を送っていました。それを当時流行り始めたばかりだったブログにアップをしていたところ、日本の出版社から雑誌への執筆オファーが舞い降りたのです。それがこの職業に就くきっかけです。

2010年までスペインで計5年生活をしたのですが、ちょうどFCバルセロナ、スペイン代表が国際大会でタイトルを取る「スペインサッカー黄金期」と時期が重なったことで思わぬ形で今の職業の礎(いしずえ)を作ることができました。

正直、学生時代の私は「国語」は苦手な教科でしたし、大学生になるまで「読書」の習慣もほとんどありませんでした。そんな私が長年続けてきたサッカーとはいえ、文章を書いて専門誌、Web媒体に記事を寄稿する、それだけではなくサッカー本までも書き上げているのですから、学生時代から自分の好きなスポーツのジャーナリスト、ライターを目指して入念に準備をすればおそらく「誰もがなれる職業」ではないかと考えています。

自分にしか無い武器を持ち、差別化できるか。

サッカージャーナリストの仕事概要ですが、サッカー専門誌、インターネットメディア、出版社から発注(依頼)を受け、記事のための取材を行ない、文章を書くことです。フリーランスとして働く形態が多い職業でもありますが、新聞社、通信員、サッカー専門誌などのメディアで取材活動を行なう場合には「記者」という形態、会社員として働くことになります。

前述の通り、おそらくフリーランスのサッカージャーナリストは「職業に就く」という参入障壁の低い仕事になりますが、逆に「この職業を続けていく」ことには高いハードルがあります。

そのため、この道に進むために最も必要なことは「続け方を考えられる」能力です。別の表現を用いるならば、サッカージャーナリストとしての「武器」を持ち、他のジャーナリストとの差別化が出来るかどうかが大切です。

私は2010年から日本で仕事をしていますが、スペイン語を話せる強みを活かして今でも年に数回はスペイン取材をしています。みなさんが知っているサッカー選手であれば、FCバルセロナ所属のアルゼンチン代表FWリオネル・メッシ選手にもインタビュー取材をしたことがあります。私にとってスペインサッカーの取材経験や知識、スペイン語、日本とスペインで育成年代のサッカー指導者として働いた経験は自分にとってこの業界で働く上での強力な武器となっています。

私自身、「好きなサッカーを仕事にしたい」と考えて高校卒業後の進路選択をしました。サッカーに限らずみなさんが現在取り組んでいるスポーツ(部活動)に置き換えて「好きなスポーツを仕事にしたい」という思いで卒業後の進路を検討している人も多いのではないかと想像しますが、多くの人はサッカー(スポーツ)ジャーナリストのような実態が見えにくい職業の「なり方がわからない」と考えると思います。

繰り返しになりますが、この職業は誰もがなることはできます。でも、続けていくことのできる人はごく一部ですので、なり方ではなく続け方。結論を先に言ってしまえば武器の獲得術と武器の磨き方の戦略をしっかりと構築できることも適性となります。おそらくこれからみなさんが社会に出るタイミングと今後の時代を見据えると、大学を卒業して一般企業へ就職をする場合でもこのグローバル時代では似たような適性が求められると思います。

私は職業柄、中高生やその保護者からサッカーチームの選び方についての相談をよく受けます。が、これだけインターネット上に情報や知識が溢れている世の中でも自分が「行きたい」、「行こうかな」と考えているチームを調べることもなければ、実際に練習や試合を見学することもなく他人に相談している人は意外にも多い印象です。興味を持つこと、疑問に思ったことは徹底的に自分で調べ、自分の足で見聞きして下さい。他人からの意見やアドバイスで自身の進路を決断するようなことは、結果として他人に責任転嫁することにつながりますので避けましょう。

「嫌われる覚悟」を持ってプロの仕事を。

最後にサッカージャーナリストという仕事のやりがいについてお話します。

よく「有名選手に会えたり、直接話が聞けていいですね」と言われますが、私自身はサッカー選手に対する憧れを持ち続けたいのであれば「ファン」、「サポーター」という立場で関わり続けることを強くお勧めします。仕事で選手に話を聞く以上、負けた時、調子の悪い時などでもしっかりと話を聞く必要がありますし、時には取材する人間の気分を害するような突っ込んだ質問をしたり、批評記事を書くことも必要になります。つまり、「嫌われる覚悟」を持ってプロフェッショナルな仕事を遂行することが求められる仕事でもあるのです。

私の場合、この職業を続けているのは「日本サッカーを強くするため」であり、そのために「貢献できた」と思えることが仕事のやりがいとなります。

例えば、直近のトピックスとしてリオ五輪男子サッカーにおいて日本代表は予選グループ敗退となりました。専門的な話となりますが、世界で勝つために育成年代で身に付けておくべき戦術や守備のベースがなかったことが敗因だと私は分析しているので、「惜しかった」、「次の東京五輪で頑張ろう」という記事ではなく、「こうだから勝てなかった」、「こうしていくべき」という論調で記事を書いています。ある意味でそうした批評記事はチーム関係者もサッカーファンもあまり目にしたくはないでしょうが、目を背けていてはいつまで経っても世界に追いつけません。

これも仕事のやりがいにつながる話なのですが、私自身は元々サッカー指導者を目指してサッカージャーナリストをしている身です。実体験から言えるのは、仕事を始める前から「仕事のやりがいは分からない」ということです。目の前の仕事に全力で取り組み、「続けていくこと」によってのみ、後から振り返ればそこに道が切り開けていたり、「この仕事が転職だ」と思える瞬間が訪れるのだと思います。

自分のやりたい仕事を見つけ、徹底的に調べることはもちろん重要ですが、もしかするとそれ以上に「就いた仕事をどう続けていくのか」を徹底的に突き詰めるほうが大切かもしれません。続けるためには自分がその仕事を「好き」でなければいけませんし、その業界、社内で自分にしかない武器を作る必要が出てきます。

私は今、このサッカージャーナリストという仕事を「天職だ」と断言できるほど楽しんでいます。天職とは見つけるものではなく、続ける結果そこにあるもの。私はそう考えています。

<おわりに>

学生の頃より「好きなサッカーを仕事にしたい」と考え、高校卒業後の進路選択をした小澤さん。さらに「もっとサッカーを探求したい」、「世界トップレベルのサッカーに触れたい」という情熱をもとに行動された結果、現在のお仕事を始められています。ここからうかがえるのは、ただ「好き」という思いではなく、好きなものを徹底的に突き詰める強い意志です。

みなさんも高校生活のなかで見つけられた「好き」を仕事にできるよう、興味や疑問を徹底的に調べ、経験にできるよう意識してみてはいかがでしょうか。

小澤一郎(おざわ・いちろう)

1977年、京都府生まれ。サッカージャーナリスト。早稲田大学教育学部卒業後、社会人経験を経て渡西。バレンシアで5年間活動し、2010年に帰国。日本とスペインで育成年代の指導経験を持ち、指導者目線の戦術・育成論やインタビューを得意とする。多数の媒体に執筆する傍ら、サッカー関連のイベントやラジオ、テレビ番組への出演や試合解説もこなす。新刊(※構成)に『サッカー 新しい守備の教科書』(カンゼン)、著書に『サッカー日本代表の育て方』(朝日新聞出版)、『サッカー選手の正しい売り方』(カンゼン)、『スペインサッカーの神髄』(ガイドワークス)、『日本はバルサを超えられるか』(河出書房新社)、訳書に『ネイマール 若き英雄』(実業之日本社)、『SHOW ME THE MONEY! ビジネスを勝利に導くFCバルセロナのマーケティング実践講座』(ソル・メディア)、『モウリーニョvsグアルディオラ』(ベースボールマガジン社)、構成書に『サッカーの新しい教科書』(カンゼン)など。株式会社アレナトーレ所属。

この記事のテーマ
健康・スポーツ」を解説

スポーツ選手のトレーニングやコンディション管理に関わる仕事と、インストラクターなどの運動指導者として心身の健康管理やスポーツの有用性を広く一般に伝える仕事に大別できます。特に一般向けは、高齢化の進展や生活習慣病の蔓延が社会問題化する中、食生活や睡眠も含めて指導できる者への需要が高まっています。授業は目指す職業により異なります。

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この記事で取り上げた
「スポーツジャーナリスト」
はこんな仕事です

新聞や雑誌・インターネットなどの媒体に掲載するための、スポーツ記事を書く仕事。正確で伝わりやすい文章が書けることはもちろん、競技や選手の面白さを引き出す取材力も重要だ。また、選手やチームに関するデータの収集や、試合結果の予測・分析をすることもある。職場は主に新聞社や出版社など。フリーランスとして活躍する人もいて、競技経験者が引退後に転身するケースも珍しくはない。経験を積むなかで知名度が上がれば、スポーツ大会などのコメンテーターとして活躍することも。

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