志望理由書の決めては”エピソード力”にあり
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総合型選抜や学校推薦型選抜を希望する際に欠かすことができないのが、志望理由書の提出です。とくに学力以上に人柄や経歴、学習意欲などが問われる総合型選抜の場合、まさに志望理由書が合否の鍵を握ると言っても過言ではありません。
そこで今回は、読み手に強い印象を残す志望理由書を作るポイントを、ご紹介したいと思います。
この記事をまとめると
- 志望理由書の内容が合否に与える影響は大きい
- 読み手に強い印象を与えるのは、志望動機につながるエピソード
- エピソードを踏まえてその大学の志望した理由に上手に結び付けよう
人の心に強い印象を残すはインパクトの強いエピソード
志望理由書でよく見られるのが、抽象的な意気込みを並べている文章です。思いだけが書かれた文書は、良くも悪しくも無難な内容となってしまいます。相手の印象に残るためには、その他大勢と差別化を図らなければなりません。
それでは、どのような書き方が印象に残るのでしょうか。それはズバリ、具体的な体験が盛り込まれた話、つまりエピソードトークです。エピソードトークってなんだろう? と思った人は、テレビ番組の『人志松本のすべらない話』や『アメトーーク!』を思い浮かべてみてください。番組の中で芸人さんたちが披露する体験談、それがエピソードトークです。志望理由書の場合はトークではなく文章ですが、やはりインパクトの強いエピソードが盛り込まれた志望理由は、読み手に強い印象を与えます。
インパクトの強いエピソード=珍しい体験ではない!
しかしそう言われたところで、部活に打ち込んだわけでも、特別な賞を受けたわけでもなく、書くべきエピソードが見つからないと思う人も多いかもしれません。しかし、先ほど例に挙げたテレビ番組の中でも、例えば麒麟の田村裕さんの“ホームレス中学生”のような、インパクトの強いエピソードトークを披露する人は実は稀です。
むしろ自らの体験ですらなく、周囲にいるユニークな人物が起こした事件の目撃談であることも多いほどです。話しただけで驚かれるような強烈な体験をしている人は、大人でも多くはありません。まずは志望理由書に書けるエピソード=他人が経験していない珍しい体験という思い込みを、捨てましょう。
志望理由書に求められるエピソードの書き方とは
では、志望理由書に求められるエピソードとは、どのようなものなのでしょうか。今回は一例として、ある女性医師・Iさんが語ってくれたエピソードをご紹介したいと思います。
Iさんは幼い頃、近所にとても高齢の女性医師がいる眼科の病院に通っていました。看護師に両脇を抱えられるようにして、ようやく診察室に入ってくるほどだったそうです。しかしその医師の優しい人柄に接すると、病気だけではなく、心まで癒される気分になったといいます。
幼い頃から女性であっても一生続けていける仕事をしたいと思っていた彼女にとって、高齢になっても働き続け、しかも人々から尊敬を集めているその女性医師は、人生のロールモデルとして、すぐに目指すべき存在になりました。そして実際に医師を目指して医大を志望するときも、その女性医師の母校に通いたいという強い思いで勉強に励み、無事に合格したそうです。
この話は、志望理由書を書く際に参考となるポイントを押さえています。
明確な志望動機があり、その志望理由を読み手に印象づけるための具体的なエピソードが盛り込まれています。さらに医学部の中でも、どうしてその学校でなければいけなかったのかにまで触れられています。
しかし実際に彼女が体験したのは、近所の眼科に通院したことだけです。一番大切なポイントは「彼女がその体験を通じ、どう考え、その後の行動に結び付けていったのか」という点にあります。志望理由書の元となるエピソードは、日常のなにげない出来事で充分です。それより重要なのは、そのエピソードを経て、その後どう自らの行動に結び付けていったかのストーリーなのです。