17世紀、ロンドンと江戸に大火があった! それでも日本は木造が好き?

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17世紀、ロンドンと江戸に大火があった! それでも日本は木造が好き?

2016.09.06

提供元:マイナビ進学編集部

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17世紀、ロンドンと江戸に大火があった! それでも日本は木造が好き?

昨今、大きな建造物が計画されるとき、「木」というキーワードをよく目にします。2020年東京五輪・パラリンピックのメイン会場となる新国立競技場のデザインコンセプトも「木と緑のスタジアム」。「木」は今、注目の素材だといえそうです。日本では昔から、大火事で何度も大きな被害を受けてきましたが、それにも関わらず「木造」にこだわり続けています。17世紀、同時期に大火事の被害を受けた江戸とロンドンを比較しつつ、木造建築について考えてみましょう。

この記事をまとめると

  • 17世紀に発生した江戸とロンドンの大火の比較。
  • 大火の後の都市計画と、日本の住まいに関する考え方。
  • 現在の見直されはじめている「木造家屋」の話。

江戸とロンドンの17世紀。同じような時期に2つの大都市が焼失?

都市の歴史を語る上で、よく比較される出来事があります。それは、1657年、江戸で起きた「明暦(めいれき)の大火」と1666年の「ロンドン大火」。発生時期が近くどちらも大規模な火災だったので、復興への過程も含めて比べてみると、興味深いことが見えてきます。

まずは、江戸の大火について。“火事と喧嘩は江戸の華”なんて言葉があるくらい、江戸は火事が多く、いわゆる”大火”と呼ばれるものが何度も起きていたようです。その中で特に「明暦の大火」がよく知られているのは、江戸の大半が焼失し、日本史上でも最大規模の被害だったから。江戸城の天守まで焼け、以後は再建されていません。時は徳川3代の世が終わったばかり。江戸の町も最初の繁栄のピークを迎えた頃でした。

さて、ロンドンの大火を明暦の大火と比較しながら規模をみてみましょう。まずは期間。江戸が丸2日間燃えたのに対し、ロンドンは4日間強。さらに江戸は昼に発生しているのに対して、ロンドンは深夜です。にも関わらず、ロンドンの焼失面積は江戸の1/6程度で、焼死者も圧倒的に少なかったと言われています。

大火の後の都市復興に、住まいという文化の差が現れる?

ロンドンでは、この大火の後、「市中の全ての家屋の下部は石造り、屋根は瓦葺きでなければならない」という布告を出しました。以後現在に至り、ロンドンは石やレンガの都市になっていったのです。

一方の江戸では、明治になっても木造は変わりませんでした。しかも、明暦の大火の後には、瓦葺が禁止されることもあったようです。防火を考えるなら、屋根からの飛び火を防ぐ瓦の方が効果的だったにも関わらず、庶民は茅葺きや板葺き屋根の家に住みました。これは、手間がかかる瓦葺より、簡単にできる建物で早期復興を図ったのではないかとも考えられています。

なぜ、日本では木造家屋が造られ続けたのでしょうか? それは、日本人の住まいに関する考え方に理由があるのかもしれません。
鎌倉時代に書かれた『徒然草』を見てみましょう。

 家の作りやうは、夏をむねとすべし。冬は、いかなる所にも住まる。
 暑き比わろき住居は、耐へ難き事なり。

つまり、冬はどうにでもなるから、夏を考えた家を造るべき、と言っているのですね。湿気が多く暑い日本の夏を考えると、石造りの家より、通気性のよい木造となります。
また、明治時代の民俗学者・柳田国男は『明治大正史 世相篇』の中で書いています。

 家が焼けやすいというよりも、
 焼かぬという覚悟をもって建てられた家が少なかったのである。

地震も多く、冬は乾燥して火事が増える日本では、長持ちする家をつくるより、すぐに建て直せる方が合理的だったのかもしれません。そして、何よりも日本は昔から森林が豊かな国。昔から豊富な木材で家を建てるのは当たり前だったのでしょう。

日本的・理想の木造家屋の追求は続く!?

江戸時代までの日本が、木造家屋中心だったのは分かりましたが、明治以降はどうでしょう? 江戸の呼び名が東京に変わってからも、関東大震災(1923年)や東京大空襲(1945年)などで、東京は何度も焼き払われています。そこで、戦後は防災の観点から、急速に鉄筋やコンクリートの建物が増えていきました。

しかし、ここに来て再び、木造が見直されるようになってきました。一般住宅だけでなく、大型の木造建築や脱コンクリートをテーマにした建造物も徐々に増えてきています。これは、木造の可能性に気付き始めたからなのです。例えば、木は「耐火」に優れています。延焼しないようにする「防火」で考えれば木造は弱いのですが、実は、木は燃えても、一瞬にして燃え尽きたり、簡単には建物が崩れ落ちたりしません。さらに最近では、耐火性の高い木材が研究・発売されており、耐震性に優れた木造家屋建築の技術も進んでいます。その結果、2010年には「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が制定されました。これにより、最近では学校などの公共施設の木造化も進んでいるようです。

この木造化の流れは地球温暖化対策という面もあり、実は日本だけでなく、ヨーロッパでも石から木へという動きが出てきているのです。日本は木造の長い歴史を持っているので、一歩も二歩もリードしていると言っていいでしょう。
今後ますます注目される木造家屋。改めて、日本の建築の歴史を知り、次の都市計画に参加できるように勉強してみるのはどうでしょう。興味があるのなら、「建築史」や「建築学」がきっと役に立つはずです。

●参考図書
『ロンドン=炎が生んだ世界都市』 見市雅俊(講談社選書メチエ)
『江戸・東京を造った人々』 「東京人」編集室(ちくま学芸文庫)
『木造建築を見直す』 坂本功(岩波新書)

●参考URL
http://www.gakken.co.jp/kagakusouken/spread/oedo/06/kaisetsu3.html

この記事のテーマ
工学・建築」を解説

工業技術や建築技術の発達は、私たちの生活を画期的に快適で安全なものに変えてきました。先人たちの生み出した知恵に新しい技術をプラスすることで、その進歩はいまも日々、進んでいます。インフラの整備や災害に強い街作り、エネルギー効率の高い動力機械や高い知能を持ったロボットの開発など、工学や建築に求められるものはますます増えるでしょう。自然との共生も大きなテーマです。理系の中でもより実地的な分野だと言えます。

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この記事で取り上げた
「建築学・意匠」
はこんな学問です

「建築学」は、建築について総合的に学ぶ学問。学ぶ領域は広く、住宅、ビル、超高層建築の生産、建築資材の研究開発、災害時の安全対策など現代建築の建築工学分野と、団地や道路の造成、都市計画などの都市工学に加え、歴史的な建築物、集落の保存や復元についても研究する。「意匠」は、建築物を美学的に捉えて芸術的意義を追究する学問。建築物や街並み、自然環境、構造や材料についても美学的に追究して評価する。

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