歴史的な文豪が、アニメや音楽とコラボ!? 山口県を代表する詩人が注目を集めている理由って?

国語が得意で、文学が好きな人の中には「汚れつちまつた悲しみに……」という言葉を聞いたことがある人もいると思います。昭和初期を代表する山口県出身の詩人・中原中也の有名な詞です。音楽家などにも多数引用されているフレーズなので、中原中也を知らない人でもご存じかもしれません。
この記事をまとめると
- 日本を代表する文豪・中原中也がアニメとコラボしている
- 山口市にある「中原中也記念館」ではさまざまなイベントが行われている
- ミュージシャンが中也の「歩み」と「リズム」をテーマにオリジナル曲を作ったこともある
文豪・中原中也が現代のアニメとコラボ!?
そんな中原中也が登場するアニメ作品、『文豪ストレイドッグス』が2016年4月から放送され、若者を中心に話題を集めました。『文豪ストレイドッグス』は、架空の都市ヨコハマを舞台に、中原をはじめ太宰治、国木田独歩、芥川龍之介ら実在の文豪と同じ名前の登場人物たちが、各々が執筆した作品名に関係する特殊能力を駆使して戦うバトル漫画です。
このユニークな発想の作品と、中原中也がアニメを飛び出してコラボを行っており、アニメファン、文学ファンのみならず注目を集めています。一体どのようなものなのでしょうか?
アニメに登場するキャラクターのルーツを知れば、より作品を楽しめる
まず、「文豪ストレイドッグス」と山口県山口市にある中原中也記念館が、特別企画展「太宰治と中原中也」でコラボすることが発表され、今年7月28日から9月25日まで特別企画展「太宰治と中原中也」が行われることになりました。
中也と太宰は同時期に文学の道を志していて、いくつかの同じ文芸雑誌に寄稿していたことでも知られています。お互いを強く意識し合っていたといわれている太宰と中也の間には確執があったとされていて、『文豪ストレイドッグス』では犬猿の仲として描かれています。
この展示会では、そんな『文豪ストレイドッグス』と太宰治と中原中也の文学作品とのつながりを紹介するほか、アニメの作画担当の春河35さんが書き下ろしたイラストが展示されたり、アニメのグッズが販売されているのだとか。『文豪ストレイドッグス』のキャラクターのルーツを知ることができますから、より作品として楽しめるようになるはずです。
ミュージシャンが「歩み」と「リズム」をテーマにオリジナル曲を制作したことも
また、2014年から2015年にかけて中原中也記念館20周年の記念事業として行われた、山口情報芸術センター(YCAM)とのコラボレーション企画「中原中也 歩みのリズム―〈僕は街なぞ歩いてゐました〉」では、「特別企画:中原中也 feat. 現代のミュージシャン」と題して2人組のヒップホップグループ「降神」、ラッパーのGOMESS、アート性の強いさまざまライヴで人気を集めるオーケストラバンドVamplliaなど、さまざまなミュージシャンが参加して、中也の生活の中で特徴的だった「歩み」と、詩の「リズム」をテーマにオリジナル曲を制作。会場内にて映像や絵と共に展示する特別企画を実施しました。
このように、アニメやミュージシャンたちとのコラボでも注目が集まっている中原中也やその文学作品ですが、日本の文学や作家について研究する学問は「日本文学」といいます。『文豪ストレイドッグス』や、文豪中原中也に興味を持った人は、アニメに出てくるほかの文豪たちの人生についても調べてみると、おもしろいエピソードが見つかるかもしれませんよ。
参考:
http://animeanime.jp/article/2016/06/09/28907.html
http://anime.eiga.com/news/102727/
http://kai-you.net/article/10710
この記事のテーマ
「文学・歴史・地理」を解説
文学は人々の暮らしや感情の変化などについて、文章表現をもとに考える学問です。文献を読み解きながら比較して、人のあり方や社会について研究します。地理学や歴史学は、地形や気候、歴史的事実や遺物・遺跡などの手がかりをもとに、私たちの生活や文化・経済活動などについて、その成り立ちから考えていきます。
この記事で取り上げた
「日本文学」
はこんな学問です
古事記や万葉集などの上代文学にはじまって、中古、中世、近世、近現代に至る日本の詩歌、日記、物語、戯曲、小説など、あらゆるジャンルの文学的な表現を研究の対象とする学問である。また、それぞれの文学作品が生み出される背景となった作家の個性、同時代的な価値観、さらには、その時代の流行などの文化的な特徴、その作品が社会に与えたインパクトなどについても多面的に考察する。