怖いのについつい見てしまう…これってどうして??

この記事をまとめると
- 怖い怖い…でもつい見てしまう
- 怖いもの見たさの理由
- 心理学と脳科学から紐解く「怖いもの見たさ」
指の隙間から見てしまう「恐怖」
あなたは、ホラー映像は好きですか?心霊スポットに髪の長い女の人が立っていたり、急に物が落ちてきたり…そういった心霊動画やホラー映画などを観た後は、体温が下がってひんやりとした心地になりますよね。でも、幽霊やお化けの怖い表情が頭に浮かんで、夜眠れなくなったり、お風呂やトイレに行けなくなったりした経験はありませんか?何を隠そう、筆者は怖いものが大の苦手。というのも、小学生のころに見た怖い映画がトラウマになってしまっています…。ですから、テレビで怖い映像が流れていたら、すぐに電源を切るか、違う番組に切り替えます。
でも、なぜか「ちょっとだけ…」と観てしまうこともあります。テレビの音量を切って映像だけを観て、そしてやっぱり後悔するということを何度も繰り返しています。あなたにはそんな経験ありませんか?
「怖いもの見たさ」という言葉があるように、怖いと分かっているのに、ついつい見てしまうことがあります。どうしてそのようなことになってしまうのでしょうか?
怖いもの見たさの理由 ~カリギュラ効果~
怖いと分かっていても指の隙間から見てしまうその行動ですが、大きく2つの理由が考えられます。
1つ目は、好奇心です。人は、何か分からないものがあるものに対して興味を抱き、その本質が知りたくなるもの。そして、「だめ」と言われたものほど、その気持ちが強くなるといわれています。
例えば、昔話の「鶴の恩返し」で考えてみましょう。ある日おじいさんは、罠にかかった鶴を助けます。するとその夜、とても美しい娘がおじいさんの家にやってきて、泊めてくださいと頼みます。その娘は泊めてくれるお礼に布を織りますが、「決してふすまを開けてはいけません。どうか布を織っている姿を見ないでください」とおじいさんに伝えます。でも、おじいさんは好奇心に負け、そのふすまから中を覗いてしまうと…ふすまの向こうには綺麗な一羽の鶴がいて、「正体を見られたので、もうここにはいられません」と空へと帰っていきました。
見てはいけないと言われたからこそ余計に気になってしまい、中を覗いてしまう。このように、禁止されるほどやってみたくなる心理現象を、心理学では「カリギュラ効果」と呼びます。
ホラー映像でも同じことが考えられます。「これは怖いから、見てはいけないよ」と自分で禁止しているからこそ、その内容が気になってしまい、どうしても見たくなってしまうのですね。
怖いもの見たさの理由 ~快楽~
怖いものを見たくなる理由の2つ目は、快楽です。
皆さんは「つり橋効果」という言葉を聞いたことはありませんか?つり橋のような不安定な場所にいると、不安で胸が高鳴り、それを恋愛のドキドキと勘違いしてしまう、というものです。これはつり橋だけには限りません。例えばジェットコースターやお化け屋敷、観覧車のような不安を感じるような場所に二人で出かけると、帰ってくる頃にはいつの間にか恋人になっていた、ということも多いようですね。
なぜこのような勘違いが起きてしまうかというと、私たちの脳内にある「恐怖を感じる部分」と「ドキドキを感じる部分」がとても近くにあるからと言われています。
恐怖映像を観続けることによって脳は多くの刺激を受けます。「怖い」という刺激は段々と快楽に変わり、「もっと観たい!」と思ってしまうこともあるようです。まさか恐怖が快楽に変わるとは…驚きの理由ですね。
いかがでしたか?怖いもの見たさの理由は、ここまで見てきたように、心理学が大きく関わっているようです。「心理学」と聞くと「こころ」や「精神」といった文系の学問のように感じられるかもしれません。ですが、心理学における「認知」などは、実際は脳科学などといった理系学問と非常に密接なかかわりがあります。この夏、ホラー映画で涼しくなった後に、ちょっと心理学についても調べてみると良いかもしれませんよ?
この記事のテーマ
「人間・心理」を解説
人間科学は、人間の存在や関係性を研究し、学習範囲は広範囲にわたります。心理学は、人間の心や行動の特徴を分析・解明します。中でも臨床心理学は、ストレスの多い現代社会において注目される分野。いずれも、人間の存在意義をひもとく基礎となる学問です。
この記事で取り上げた
「心理学」
はこんな学問です
人間の心理や行動がどのような原理で動いているのかを研究する学問である。それにはさまざまなアプローチがある。たとえば、認知心理学では対象を知覚してから言語化するまでの作用を情報処理のプロセスとして理解する。発達心理学は人間が誕生してから死ぬまでの心の変化が何によるのかを探究する。臨床心理学は心のバランスを崩してしまった人の状態の改善をめざす。志望校に自分の本当に学びたい心理学があるかどうかを必ず確認することが大切だ。
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