お花はコミュニケーションツール! お花屋さんの喜びについて聞いてみた

東京・青山にある花屋「logi PLANTS & FLOWERS」でフラワーデザイナーとディレクターとして日々活躍されている宇田さんと岸さん。さまざまなイベントでのフラワーコーディネートを担当しながらショップにも立たれるという、そんなお二人にお花屋さんの魅力や喜びについて聞いてみました。
この記事をまとめると
- 花屋さんの仕事の魅力がわかる
- 人気商品フラワーバッグができた経緯がわかる
- 高校生でもさりげなく花をプレゼントする方法がわかる
喜んでもらうためにはあらゆる情報を聞き出す
――ショップの販売で心掛けていることはありますか?
岸さん:販売でも、イベントや広告でも同じですが、とにかく私は、相手の情報を引き出すことに専念しています。たくさん情報をもらったほうが、アイデアがわきやすいと思うので。例えば花束を買っていかれる方もしくはプレゼントする方の趣味趣向を聞くのはもちろん、時にはその方のお父さんの職業まで聞いたこともあります。
イベントや広告のお花を作る時も、テーマやイメージだけでなく色々なお話をします。その場である程度答えを出したいんですよね。だから自分が納得するまで徹底的に聞いてしまいます。この前なんか、1回目の打ち合わせで飲む約束までしました。
宇田さん:岸がよく話すので、私がどんどんしゃべらなくなってしまって……最近では、口がなくなるんじゃないかというくらいです。私はどちらかというと持ち帰ってじっくり考えたいタイプなので。でも、色々と情報を聞き出してくれるので、それをもとにイメージを膨らましていけるので助かっています。
フラワーバッグができた経緯とは?
――ちなみにショップのコンセプトは「ココロニノコルハナ」ということですが、これはどちらが考えられたんですか?
宇田さん:このコンセプトは2人で考えました。自分たちが作るものは、受け取った瞬間に直感で「素敵」って思ってもらう感覚を大切にしたい。それをいつまでも心にとどめておいてももらいたい。だからいつまでも心に残る花をイメージして作るようにしています。そんな意味合いが込めて付けました。実は、フラワーバッグもそんなコンセプトに基づいて、岸が発案したものなんです。
――岸さん(男性)の発案なんですか?それは意外ですね。
岸さん:そう、意外と女性目線なんです。男性は花束を持って歩くのに抵抗があるじゃないですか。しかし、せっかくきれいにラッピングしたものを紙袋に入れてしまうのはなんかもったいない感じがして。持ち歩きも楽ですし、二、三日ならそのまま飾っておけるじゃないですか。何より、持ち歩いている間に宣伝もしてもらえますからね。
宇田さん:私のように花の世界が長いと、花屋のクセみたいなものがあるみたいで……。それを岸が緩めてくれるんです。
岸さん:花の世界だけで生きてきた人は、花には必ず水に入れようとするけれど、たった2時間飾っておくだけであれば物によっては水が必要ない物もあります。そしたら、ディスプレイの幅も広がるし。花束も大きな会場のディスプレイもすべて作品。作品である花束を紙袋に入れてしまうのはもったいないと思ったんですよね。
ダイレクトに喜びが伝わる! これこそ花屋としての喜び
――お二人はショップワークも大切にされているのが感じられますが、やはりショップの存在というのも大きいですか?
岸さん:もちろんです。自分たちのアンテナショップだと思っています。世界観やイメージを発信できる大切なツールです。何より、これほどダイレクトに喜んでもらえる仕事って他には中々ないんじゃないかな? だから、忙しくなってもお店は発信出来る場所として続けていきたいと思っています。
――では、この仕事をやっていてよかったと感じる瞬間ってどんな時ですか?
岸さん:例えば、結婚式のディスプレイをしていた時、花嫁さんや花婿さんが出来上がった会場を見たときの喜んだ顔‼ これを見たら最高な気分になります。まさに人が喜んだ姿、喜びがダイレクトに感じられる仕事だと思います。
宇田さん:結婚式で喜んでくれた方が、お客様としてずっとリピートしてくれるんですよね。記念日にお花を買いに来てくれるなど。これは、すごく嬉しいことです。
高校生ももっと花を身近に感じてほしい
――高校生にひと言いただけますか?
岸さん:お花はコミュニケーションツールだと思うんです。だから、母の日に子供向けにカーネーションをただで配ったりしました。店頭にご自由にお持ちくださいって書いて。我々は「ハッピーセット大作戦」と呼んでいるんですけど、小さい頃からお花をあげると喜んでもらえるっていうのを知っていると、大人になっても自然とできるようになる。そういった文化が少しでも育てば、我々の業界も活気づくじゃないですか。
高校生でも彼女がいたら誕生日プレゼントに何かあげますよね。そこにお花を1輪添えるだけでもOK。小さいころからこのすべを知っていたら必ずモテる男性になれる‼ と思うんです。
――岸さんから宇田さんに花をプレゼントしたことはありますか?
岸さん:1回だけ。入籍の日にプレゼントしました。
宇田さん:すごく嬉しかったのを覚えています。いつも花に囲まれている生活ですが、プレゼントでもらうお花は特別ですから。
取材後に私たちに1輪ずつ花をプレゼントしてくださった宇田さん。たった1輪の花でも、とても素敵な花束に感じられました。そして、楽しいお話をしてくださる岸さん。お二人のバランスが絶妙で、だからこそ素晴らしいお仕事ができているんだなと感じました。
もし、お二人のようなフラワーデザイナーの仕事に興味がある場合は、園芸科がある大学に進んでみるのも良いかもしれませんね。花だけでなく、造園や果樹、ガーデニングなど、幅広い知識を得ることができるかもしれませんよ。
取材:logi PLANTS & FLOWERS
http://logi-plantsflowers.blogspot.jp/
【プロフィール】
『logi-PLANTS&FLOWERS』
デザイナー 宇田陽子/ディレクター 岸大介
『ココロニノコルハナ』をコンセプトに 花そのものの強さと、時にはその毒々しさもストレートに表現するクリエイターとして、空間ディスプレイ、広告撮影、CMなどの装花を幅広く手がけている。
この記事のテーマ
「動物・植物」を解説
ペットなど動物や観賞用の植物に関わり暮らしに潤いを提供する分野、食の供給や環境保全を担う農業・林業・水産業などの分野があります。動物や植物の生態や生育に関する専門知識を身につけ、飼育や栽培など希望する職種に必要な技術を磨きます。盲導犬や警察犬、競走馬、サーカスの猛獣などの調教・訓練や水族館や動物園で働く選択肢もあります。
この記事で取り上げた
「フラワーデザイナー」
はこんな仕事です
シチュエーションをより魅力的にするために花を演出するスペシャリスト。結婚式用のブーケや、レストラン、ホテルを彩る花の装飾、テレビ番組や雑誌に使われる花の演出なども、多くはフラワーデザイナーが手掛けたものだ。多種多様な花を組み合わせて美しく演出するため、芸術的センスが求められる。フラワーデザイナーは、フラワーショップやディスプレー会社のスタッフであることが多い。実力と人気を確立できれば、フリーランスとして活躍する道もある。