なぜ牛を闘わせる? 新潟の「闘牛」に勝敗がない理由

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なぜ牛を闘わせる? 新潟の「闘牛」に勝敗がない理由

2016.07.27

提供元:マイナビ進学編集部

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なぜ牛を闘わせる? 新潟の「闘牛」に勝敗がない理由

「闘牛」といえば、すぐ思い浮かぶのはスペインですね。マタドールと言われる剣士が、赤布で牛をあおり、突進を切り返しながら最後は長い剣を使って仕留めるショーです。しかし実はスペインだけでなく、日本でも「闘牛」が行われていることを知っていますか?

日本の闘牛は牛同士の闘いで、沖縄県や愛媛県、岩手県など、数か所に見られます。中でも新潟県の闘牛は1000年もの歴史を持つともいわれる神事で、ほかの多くの地域とは決定的に違う点があるのです。

この記事をまとめると

  • 日本の闘牛は牛同士の闘い。新潟の闘牛は勝敗をつけない闘い
  • 「気は優しくて力持ち」の南部牛は、暮らしを支え合うパートナー
  • 滝沢馬琴もお気に入り。南総里見八犬伝にそのエピソードが登場

プライドをかけた熱い闘いに、勝敗は無用

新潟県の闘牛の特徴は、「闘い」なのに勝敗をつけないところです。

新潟には、小千谷と山古志の2か所に闘牛場があり、毎年5月から11月の土日を中心に20回近く場所が開催されます。「牛の角突き」ともいわれるこの闘牛、一日に十数番ほどある取り組みのすべてが、引き分けになるのです。

あえて勝敗をつけない理由は3つ。牛がケガするのを防ぐためという意味と、闘いに負けたことで牛のプライドが傷つき戦意喪失することがないようにとの配慮からともいわれます。それからこの行事自体が、神へ奉納する神事でもあるため、血を流すのはそぐわないこと、勝敗をつけると賭け事に発展し神事にふさわしくないことも理由に挙げられています。

牛を煽り、闘いを盛り上げる勢子(せこ)の役割

昔からこの地域の人々は、稲作などの農業を中心に暮らしてきました。そのため、農閑期の娯楽として、闘牛が始まったともいわれています。重さ1トンを超える黒牛の闘いには、体の大きさ(体重)や過去の戦歴などのデータから取り組み表がつくられ、大相撲のように、結びに近づくほど強い牛が登場します。万雷の拍手で迎えられた2頭が、向かい合って角を突き合わせるところから、試合開始です。

目を充血させながらガンを飛ばし合う牛の周りを、勢子(せこ)と呼ばれる15人くらいの男たちが、闘いをあおったり仕切り直したりしながら止めどころを見極めます。この勢子たちの動きやかけ声も勇ましく、観客を盛り上げ、牛を興奮させます。闘いがどんどんヒートアップして、角で相手を傷つけそうな勢いになったところで、勢子が牛の脚に綱をかけ、体をはって素手で止めに入るのです。牛の急所である鼻を押さえると、とたんに動きが止まります。

かつて牛は棚田の稲作に欠かせなかった

棚田の景色

棚田の景色

闘牛以外にも、新潟と牛が密接な関わりをもっていたのが稲作です。新潟は美しい棚田が有名で、このあたりは500万年という歳月をかけて海底が隆起し山になったため、もともと海底に溜まっていた有機物を多く含み土壌が豊かです。

本来は、平地が少ない地域がやむを得ず傾斜地につくる棚田ですが、高い場所に位置することから水がきれいで寒暖差が大きく、おいしいお米に育つ条件が整いました。棚田の作業に、牛は貴重な働き手でもありました。足腰が強く、かつ寒さや粗食にも耐える仕事のパートナーとして、また闘志にあふれ、人に慣れやすいという南部牛の特徴からも、「気は優しくて力持ち」を好む日本人にはマッチしていたのでしょう。その大切なパートナーを傷つけたくないという気持ちと、傷つけると仕事にも差し障るという現実的な問題が、「闘い」なのに勝敗をつけないことに繋がったのです。

南総里見八犬伝にも登場している南部牛

江戸時代、文豪滝沢馬琴がこの地を訪れ、牛の角突きに魅せられたようすが記録に残っています。その体験は、「南総里見八犬伝」の中にも登場します。巨漢で相撲の得意な犬田小文吾が、勢子が御しきれず暴れる牛を、あわや大惨事の一歩手前で押さえ込むのです。馬琴が小説の中でも、人も牛も傷つけないようにしたくなるほど、その熱い絆を感じた証のエピソードともいえそうです。

それぞれの地域で行われる特殊な行事のルールは、新潟の闘牛のように歴史をたどれば納得できることが数多くあります。不思議な祭りや行事に出会ったら、ぜひその歴史を勉強してみてください。いまよりもずっと楽しんで見ることができますよ。

■参考資料
長岡市HP
http://www.city.nagaoka.niigata.jp/kankou/miru/tougyu/
山古志HP
http://www.yamakoshi.org/culture/culture03.html
小千谷市HP
http://www.city.ojiya.niigata.jp/site/kanko/ushinotsunozuki.html
小千谷闘牛会HP
http://www.tsunotsuki.com/index.html

この記事のテーマ
文学・歴史・地理」を解説

文学は、長い歴史のなかで変遷してきた人間の生活や社会、人々の考え方や感情の変化などを、文章表現をもとに考える学問です。文献を読み解いて比較検討し、過去から現在、さらには未来に至る人間のあり方や社会について研究します。地理学や歴史学は、今日の私たちの生活や文化、経済活動などについて、基盤となった地形や気候、史実やさまざまな事象、最新の研究結果や歴史的な遺構をもとに、その成り立ちから考える分野です。

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「歴史学」
はこんな学問です

歴史学とは、対象とする大陸・国・地域などにおいて、過去に起こった物事を取り上げ、当時それがどのような意味を持っていたのかを、残された物や建造物、文章などから研究する学問である。ただ、資料を正確に読み取るだけではなく、事実かどうかを疑い、踏み込んで検証する批判的視点も重要である。歴史学の基本的なラインナップには、日本史、東洋史、西洋史、考古学がある。また、政治制度・経済活動・芸術文化・信仰宗教などに特化した考察も行う。

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