気になる社会人にインタビュー! 第43回:南部鉄瓶職人に聞いてみた10のコト!

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気になる社会人にインタビュー!
第43回:南部鉄瓶職人に聞いてみた10のコト!

2016.07.13

提供元:マイナビ進学編集部

気になる社会人にインタビュー!
第43回:南部鉄瓶職人に聞いてみた10のコト!

みなさんは鉄瓶(てつびん)という、鉄製のヤカンをご存じですか? 古くから日本で日常的に使われてきたヤカンで、今も茶道の時などに使われています。近年では、日本にやってきた外国人がお土産に購入したり、鉄瓶で沸かしたお湯は水がまろやかになるといった効果もあるそうで、使用する人が増えているようです。

鉄瓶や鉄器を総称して「鉄鋳物※」と呼びますが、そのなかでも伝統的な鉄瓶が「南部鉄瓶」。今回は、岩手県盛岡市にある薫山工房(くんざんこうぼう)で働く南部鉄瓶職人さんにお仕事の内容について詳しく伺いました!

この記事をまとめると

  • 南部鉄瓶職人は、高温で重量のある鉄を扱うため、体力が必要な仕事である
  • 人々が日常的に使う商品をつくることで、人の暮らしに潤いにつながっている
  • 自分の工夫次第で、いろいろな商品をつくることも可能

鉄瓶ができるまでには、高温の中でいくつもの工程を行う

薫山工房・南部鉄瓶職人さんの作品

薫山工房・南部鉄瓶職人さんの作品

Q1. 普段のお仕事について教えてください。

「私は南部鉄瓶職人として、岩手県盛岡市の工房で鉄瓶づくりを行っています。みなさんは『南部鉄器』という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、南部鉄器は、おおまかに鉄瓶(いわゆるヤカンのようなもの)と、鉄器(鍋、急須、風鈴など大量生産できるもの)とに分けられます。私が務める薫山工房(くんざんこうぼう)では、本場・盛岡の釜師により受け継がれている伝統的な技法を用いて、一品ごとに入念な手作業で南部鉄瓶をつくり続けています」

Q2. 鉄瓶は、どのような流れでつくられるのでしょうか?

「鉄瓶が完成するまでには、とても多くの工程があります。鉄瓶づくりは、まず川砂と粘土を練ったもので鋳型(いがた)をつくるところから始まります。鉄瓶本体の鋳型だけでなく、鉄瓶を中空にするため『中子(なかご)』をつくったり、注ぎ口をつけるための『口鋳型(くちいがた)』をつくったり、ふたの鋳型をつくったり、と細かく神経を使う作業が続きます」

Q3. 鉄瓶には模様がありますが、あれはどうやって描いているのでしょうか?

「鉄瓶本体の鋳型や蓋の鋳型には『模様押し』といって、きれいなアラレの模様を打ったり、桜の模様を打ったりします。月に2回くらい、吹(ふ)き(溶解作業)という、つくった鋳型に1,300℃〜1,500℃もの溶解した鉄を流し込む作業をします。半日掛かりの大仕事です。鉄が冷えてから、製品を鋳型から取り出し、鉄が均等に流れ込んできれいに模様が出ているか、穴が空いていないかなどをチェックします。

よくできたものだけ、炭火で焼いて酸化被膜(さんかひまく)をつくり、錆(さび)止めとします。外側は、漆を200℃~250℃で焼き付け着色し、鉄錆(てつさび)を発酵させた液体にお茶を混ぜ合わせた汁(おはぐろ)を塗り、仕上げます。最後に鍛造(たんぞう)の鉉(つる)を取り付け、完成です。その日によって、作業の内容は異なります」

アイデアを生かし、自分の手でものづくりをしていく

Q4. お仕事の中で、魅力ややりがいを感じるのはどんなときですか?

「南部鉄瓶職人は、自分の創意工夫でさまざまなものを形にできる仕事です。普通の人にはつくれない物でも自分の手だけでつくり上げることができるので、とてもやりがいがあります」

Q5. お仕事に取り組む中で、大切にしていることがあれば教えてください。

「主に力仕事が多いので、丈夫な身体づくりを日ごろから心がけています。食事のバランスに気を付け、運動やストレッチで筋肉を柔らかく保つようにしています。

鋳型というものは、川砂と粘土でできており、非常に重いです。また、溶解作業で柄杓(ひしゃく)を使って手作業で溶けた鉄を鋳型に流し込むので、一回におよそ20㎏から30㎏の負荷がかかります。反面、座りっぱなしになる仕事もあります。鋳型の模様押しや、着色作業などです。腰や背中が痛くなることもあるので、やはり日ごろから軽い運動やストレッチをしています」

日常のなかで使ってもらえる商品をつくる喜び

Q6. お仕事の中で、一番の思い出や達成感のあったエピソードはなんですか?

「ありきたりな答えかもしれませんが、完成した鉄瓶をお客様に喜んで買っていただける瞬間と、その鉄瓶を大事に使い続けてもらえていることが分かった瞬間がなんともうれしいものです。南部鉄瓶は芸術品ではなく、日用品ですので、使ってもらえることが一番の喜びです。また、私はすべての仕事の工程はつながっていると考えています。今、行っていることを今後に生かすために、すべてのできごとを教訓としてとらえ、日々仕事に励んでいます」

Q7.南部鉄瓶職人に向いている人や必要な知識について教えてください。

「辛抱強く、コツコツ作業ができる人が向いていると思います。南部鉄瓶職人に必要な知識などは、実際に作業をし、技術を身に着けながら覚えていくものなのかなと」

Q8. 今度どういった作品をつくりたいなどありますか?

「芸術品として作品展などで入賞するような、万人に認められる作品づくりをしたいです」

Q9.お休みの日はどのように過ごしていますか?

「渓流釣りが趣味です。仕事から完全に切り離されていることが趣味だと考えていますが、ただ、釣りで得たヤマメを鉄瓶の模様にデザインしたことはあります」

Q10 南部鉄瓶職人を目指す高校生へのメッセージをお願いします。

「南部鉄瓶職人は、古いもののよさを後世に残す、使い手と作り手の心が伝わるような作品をつくれる仕事です。興味を持った方は、ぜひチャレンジしてみてください」

南部鉄瓶職人という仕事は、ものづくりの中でも、高温での鉄を溶かす作業を行ったり、重いものを運んだりと、体力を求められる世界のようです。それでも、鉄瓶は長い期間使うことができ、人々の暮らしに彩りを与え続けることができるものです。外国からの人気も高まる今、自分なりの創意工夫で新しい商品もつくることができそうですね! コツコツと地道に作業するのが好きな人、伝統的に日本に伝わるものが好きな人は、ぜひ南部鉄瓶や職人さんの仕事について詳しく調べてみてくださいね。

【取材協力】薫山工房
http://www.nanbu93.com



※鉄鋳物とは、鋳造(ちゅうぞう)によってつくられた鉄のこと。鋳造とは、主に鉄・アルミ合金・銅・真鍮(しんちゅう)などの金属を用いて、融点よりも高い温度で熱し、液体にしてから型に流し込んで、冷やして固める加工方法のこと。

この記事のテーマ
デザイン・芸術・写真」を解説

デザインは、本や雑誌、広告など印刷物のデザイン、雑貨、玩具、パッケージなどの商品デザイン、伝統工芸や日用品などの装飾デザインといった分野があり、学校では専門知識や道具、機器を使いこなす技術を学びます。アートや写真を仕事にする場合、学校で基礎的な知識や技術を身につけ、学外での実践を通して経験やセンスを磨きます。

「デザイン・芸術・写真」について詳しく見る

この記事で取り上げた
「鋳物工」
はこんな仕事です

鋳型を使って製品をつくる職人。鍋や花器、風鈴などの身近な生活用品から、工作機械、自動車、発動機、電気機器、船舶の部品まで多種多様な製品を手掛ける。鋳造工程は、専用の砂で鋳型をつくり、溶かした鉄などの金属を注ぎ込み、冷えて固まったら鋳型から取り出すのが主な作業の流れだ。鋳物職人になるには、鋳物製造会社に入社し、原材料や製品の専門知識と技術を身に付け、腕を磨いていくのが一般的である。とくに必要な資格はないが、この仕事に役立つ資格としては「金属溶解技能士」「鋳造技能士」などがある。

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