高齢化大国日本を支える「ケアマネジャー」の実態

介護や支援を必要とする利用者と介護や福祉、医療などのサービスを結ぶケアマネジャー。高齢大国日本では、これからますます需要が高まるといわれる職業です。そこで現役ケアマネジャーに、仕事の内容を始め、大変なことややりがいを感じる瞬間などを聞いてみました。
この記事をまとめると
- ケアマネジャーは利用者とサービスの橋渡し役
- 利用者が元気になってきたときにやりがいを感じる
- 利用者によくなってもらいたいと心から思える人が向いている
ケアマネジャーは利用者とサービスの橋渡し役
ケアマネジャーとは介護や支援を必要とする人(利用者)から相談を受け、自立した生活が送れるよう、その人に合った適切なサービスを提供する仕事。いわば利用者とサービスの架け橋となる自立支援の窓口的存在です。
まず、要介護認定者やそれに準ずる支援が必要な人、またはその家族から相談を受けた地域包括支援センターを通して依頼を受けます。そして、利用者がどういう状況なのか暮らしぶりを聞き、利用者の生活状況・身体的状態に合ったケアプランの作成やサービスの提供、サービス先との連絡調整などを行います。自分がどんな風に暮らしていきたいのか本人の意向も尊重するのも大切なこと。サービスの決定はお試しでデイサービスを体験してもらった後にするのが一般的。
現場で働くヘルパーとは違い裏方的な仕事ですが、ケアマネジャーなしでは支援や介護を必要としている人を救えない、とても重要な仕事なのです。
苦労すること、やりがいを感じること
とはいえ、「利用者とサービスの間で板挟みになることも多い」と語る現役ケアマネジャーのIさん(女性/58歳)。苦労することは何なのか、聞いてみました。
「私たちの仕事はあくまでも”自立支援”であり、利用者の世話の全てを担うお手伝いさんではありません。しかし、ヘルパーさんに身の回りの世話を完璧にこなすことを求める利用者さんはゼロではないのが実情です。そういった勘違いによるトラブルが利用者とサービスの間で生まれるので、その仲裁に入るのがなかなか骨が折れます。
また、明らかに介護が必要でも本人が拒否するケースもあります。そうはいっても、私たちは自分らしく自力で生活ができるようサポートするのが仕事ですからね……」
そんな苦労をにじませる一方、「やりがいを感じる瞬間も多い」と話します。
「利用者が元気になってきたときは本当にうれしいです。弱々しくて何もできなかった人が、生きる意欲が出てきたときに、心からよかったと思えますね。『紹介してくれたあなたのおかげだわ』と言われるとやりがいを感じます」
ケアマネジャーに向いている人は?
ケアマネジャーの資格を取得するには、介護福祉士などの国家資格を持った上で「資格に基づく業務」に5年以上従事していることが大前提の条件です。なろうと思ってもいきなりなれるものではありません。その上で、どういう人が向いているのか、Iさんは次のように話します。
「利用者の性格はさまざまです。優しく穏やかな方もいれば、体が思い通りに動かない苛立ちをぶつけられることも。また、病気が進行して弱っていく姿を見なければならないときもあります。やはり、ケアマネジャーは利用者との距離感が大事なのだと私は思います。きちんと線引きした上で、利用者によくなってもらいたいと心から思える人が向いているのではないでしょうか」
利用者とサービスの間に立つ仕事なだけに板ばさみになる瞬間もあるといいます。しかし利用者の生活に深く関わり、どうすれば最適なケアであるかプランを考える立場だからこそ得られる喜びがあるようです。
この記事のテーマ
「福祉・介護」を解説
ソーシャルワーカーや介護福祉士など、お年寄りやさまざまな理由で暮らしに不自由を感じている人に寄り添い、福祉サービスの企画や提案、実施を行う仕事です。特に高齢化が進む現代社会においては、精神的なケアや寝たきりを防ぐ運動指導など、求められる専門知識や技術がより高度に、幅広くなってきています。
この記事で取り上げた
「ケアマネジャー」
はこんな仕事です
正式名称は介護支援専門員。2000年4月に導入された介護保険制度とともに設けられた専門職で、高齢者の介護サービス計画を立てることが仕事。介護を必要としている高齢者やその家族を訪問し、要望や必要な介護についてヒアリング。介護サービスを提供する企業や施設と連携を取りながら、その人に合ったケアプランを立てていく。要介護者に適切な介護を提供するためには、福祉や医療などの幅広い知識が必要とされる。
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