髪の毛? 彫刻室? ウソかと思う本当にある星座の名前
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星座というと、十二星座やこと座、わし座、はくちょう座などの夏の大三角形などが頭に浮かびますよね。実は、ユニークな名前の星座がたくさんあることを知っていますか? 星座などの名前は誰によって名付けられるのかなど、星座に関する興味深い話をご紹介します。
この記事をまとめると
- かみのけ座やちょうこくしつ座などユニークな星座名がある
- 新しい彗星が発見された場合、自動的に発見者の名前が付けられる
- 天文台で働く研究者は天体観測をしたり、性質や成り立ちを調べる
髪の毛が星座に?
かみのけ座というユニークな星座を知っていますか?
このかみのけ座は、紀元前からあったとされる星座で、もともとは「ベレニケのかみのけ座」と呼ばれていました。ベレニケというのは、紀元前3世紀ごろのエジプト王プトレマイオス3世の王妃の名前です。戦争に出た夫の無事を祈るために自慢の髪の毛を切り神殿に供えたら、その想いが通じたのか戦争は無事勝利し、その翌朝髪の毛が消えていました。それを見て、天文学者のコノンが「美しい髪の毛を気に入った神が天に持ち帰り星座にした」と言い、この名前になったそうです。
ちなみに今年2月、地球から3億光年離れた「かみのけ座銀河団」の中心で、超大質量ブラックホールが発見されました。これまでに発見されたブラックホールの中でも、ダントツの大きさだとか。現在は眠っていますが、いつ活動が再開するかはわかりません。もし活動が再開したら、ガスや塵を激しく引き込み数百万度まで加熱し、膨大な量のエネルギーを放出するだろうと言われています。
想像力豊か? たくさんの星座の名付け親、ラカイユ
かみのけ座の他にも、ユニークな名前の星座はたくさん。
その中でも、フランス人の天文学者ラカイユによって名付けられた星座をいくつかご紹介します。
<美術シリーズ>
●ちょうこくしつ座
「彫刻室」を意味する星座です。南の空の星座で、発見当時は「彫刻家のアトリエ座」という名前だったそうです。面積は広いですが、明るい星がないので見つけにくい星座と言われています。
●ちょうこくぐ座
平仮名ではわかりにくいですが、「彫刻具」を意味する星座です。芸術家が彫刻をする時に使う道具の形を表しています。
● がか座
画家? と思いきや、画家が絵を描く時にキャンバスを固定しておく三脚のような道具・画架(イーゼル)を意味します。主に南半球で見ることのできる星座で、日本では一部しか見ることはできない星座です。
<理科実験シリーズ>
●けんびきょう座
秋を代表する星座の一つです。五角形の形をしている星座ですが、ラカイユは科学実験などに使う「顕微鏡」に見えたようです。
●ぼうえんきょう座
主に南半球で見ることができる星座。星の観測に使う天体望遠鏡の形を表しています。日本からは石垣島や宮古島など相当南へ行かないと、全体を見ることはできないそうです。また、暗い星ばかりで、見つけにくい星座と言われています。
<科学道具シリーズ>
●コンパス座
小さな暗い星が3つV字型に並んで、コンパスの形を表している星座です。この星座は他と比較するとコンパスに見えやすいかもしれませんね。この星座が作られた当時は、船乗りたちが世界を股にかけて渡る大航海時だったため、航海に関係する道具をかたどった星座がたくさん作られたとか。これも、主に南半球で見ることができます。
●じょうぎ座
「定規」といっても、星が一列に並んだ星座ではありません。船乗りが使った「直角定規」と「直定規」を重ねた形を表しています。同じく、南半球で見ることができます。
ラカイユは1700年代、パリ天文台に就職し、南極の星1万個を含む星図(「南天星図」)を作りました。ラカイユによって名付けられたユニークな星座は、その時に生まれたのですね。
天体に名前を付けることはできる?
天体に自分の名前がついたらいいなあと思う方もいるのでは? 天体の種類によっては、それが可能になることがあるそうです。
新しい彗星が発見された場合、自動的に発見者の名前がつけられます。何人かが同時に同じ彗星を発見した場合には、発見した順番の早い順に3人までの名前がつきます。
一方、小惑星の場合には、新しく発見されてから軌道何周分かの観測がされ、軌道がはっきりすると、まず番号がつけられるそうです。同時に、発見者に対して、その小惑星に名前を提案する権利が与えられます。「16文字以内であること」や「発音可能であること」「主に軍事活動や政治活動で知られている人や事件の名前をつける場合には、本人が亡くなったり事件が起こってから100年が経過していること」など何点かの制約さえクリアすれば、好きな名前をつけることができるそう。
これはごくたまの事例ですが、天文学のある特定の分野について輝かしい研究成果を残した場合、その天体が研究者の名前で呼ばれることもあります。
宇宙に関する仕事
宇宙に関する仕事は、宇宙飛行士だけではありません。星空を眺めることが好きな人には天文台で働くという道もあるでしょう。天文台は、天体の研究・観測を行う施設のことで、日本では国立天文台が有名ですね。天文台で働く研究者は赤外線や電波などさまざまな波長を使い天体観測するだけでなく、その結果を解析して性質や成り立ちを調べます。ほかにも天体の位置を精密に測ったり、大型計算機を用いて宇宙の姿を理論的に解き明かしたりと、やりがいのある仕事です。
知れば知るほど興味深いことばかりの、宇宙。私たち人間にとってまさに未知の世界です。宇宙や天文についてもっと知りたいと思った方は、天文学を勉強してみてはいかがでしょうか?
【参考サイト】
https://www.city.saku.nagano.jp/star-dome/index-image/spring/map-spring/cnst-Com.html
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/022200061/
http://www.study-style.com/seiza/south.html
http://spaceinfo.jaxa.jp/ja/
http://www.nao.ac.jp/faq/a1004.html
http://www.13hw.com/jobcontent/01_07_03.html
この記事のテーマ
「自動車・航空・船舶・鉄道・宇宙」を解説
陸・海・空の交通や物流に関わるスキルを学びます。自動車、飛行機、船舶、鉄道車両などの整備・保守や設計・開発、製造ラインや安全の管理、乗客サービスなど、身につけるべき知識や技術は職業によってさまざまで、特定の資格が求められる職業も多数あります。宇宙については、気象観測や通信を支える衛星に関わる仕事の技術などを学びます。
この記事で取り上げた
「天文台の職員」
はこんな仕事です
天文台とは、天体の研究、観測を行う施設。日本では世界最先端の観察所といわれる国立天文台が有名だ。天文台の職員は研究者・技術職員・事務職員の3つに分かれており、研究者は基本的には公募だが、博士号の所持者が対象であることが多く、大学の教授や准教授などが就くのが一般的。技術者と事務職は公務員がその業務にあたることになっており、公務員試験合格者の中で、天文台への勤務を志望した人から選ばれる。