気になる社会人にインタビュー!
第35回:青年海外協力隊員に聞いてみた10のコト!

みなさんの中には、学校や地域の取り組みで、ボランティア活動をしたことがある人は多いと思います。地域清掃や募金活動をはじめ、ボランティアは多くの人々の支援や援助につながっています。
ボランティアにはさまざまな種類がありますが、海外の国々で技術や知識を生かし、その国の発展のために活動を行っている人々もいます。一体どんな国で、どんなことをしているのでしょうか?
そこで今回は、実際に海外でボランティアを行っている青年海外協力隊の中島祥吾さんに、その活動内容について詳しくお話を伺いました。
この記事をまとめると
- 協力が必要とされる途上国で活動を行う「青年海外協力隊」
- その国の文化を知りながら、発展のために働けるのが大きなやりがい
- 高校時代に力を入れていた英語学習が、今の仕事に生きている
さまざまな職種や技術を生かして、協力が必要とされる途上国で活動を行う
Q1. 普段のお仕事について教えてください。
「現在、私は青年海外協力隊として、ケニアのナクルという都市で仕事をしています。青年海外協力隊とは、国際協力機構(JICA)によるボランティア制度です。さまざまな職種や技術を生かして、協力が必要とされる途上国で活動することが主な仕事です」
「私の場合はコミュニティ開発という職種で、水プロジェクトを管理・運営する機関で働いています。ケニアは人口約4,700万人に対して、3分の1近くの人々が安全な水の確保ができていないという問題を抱えているため、水の事業はとても重要です。私はこのプロジェクトのレポートの作成や改訂を補助したり、広報部でFacebookやTwitterなどSNSを通じた広報活動を行ったりしています。より多くの人々にケニアやこの機関のことを知ってもらい、今後のプロジェクトがスムーズに運営されることを願いながら仕事をしています」
Q2. 青年海外協力隊を目指すようになったのは、どんなきっかけがあったのでしょうか?
「中学1年生のときに、海外で活躍する日本人をクローズアップしたテレビ番組を観て、『これだ!』と思ったのが最初のきっかけです。そこから海外や英語に興味を持ちはじめ、その後、英語コースがある高校に進み、さらに国際的な教養や世界で働く目標を実現するために、国際関係に強い大学へ進学しました。ここでは、入学時の目標の一つだった交換留学も経験することができ、タイの大学で文化や歴史、宗教などを履修し、またタイ語を習得することもできました」
「これがきっかけで、当時はタイに関連する仕事をしたいと考えていました。そして実際にその後、タイ国政府観光庁福岡事務所に就職し、マーケティングを中心に、取材調整やイベント企画、プロモーション、タイへの出張など、多岐に渡る分野に携わりました。そこから次のステップとして、自分が途上国で現地の人々のために実際に仕事したいと感じ、現在は青年海外協力隊で活動しています」
国の発展のために働けていることにやりがいを感じる
Q3. お仕事の中で、魅力ややりがいを感じるのはどんなときですか?
「やはり、自分が興味あること、好きなことを仕事にできていることが魅力ですね。私自身、外国語を使ったり、海外の人とコミュニケーションをとったりすることがもともと好きなので、今の仕事はその2つがどちらも生きています」
「また、ケニアはアフリカでは先進的な国の一つですが、まだまだこれから発展していく国なので、そのために働けていることはとてもやりがいを感じています。時には文化や国民性の違いでたいへんな思いをすることもありますが、それらを通じて、この国の人々の文化を知ることができるので、毎日が新たな発見と勉強です」
Q4. お仕事に取り組む中で、大切にしていることは何でしょうか?
「仕事を通じて大切にしているのは、マイペースを保つこと。もちろん、ダラダラ仕事をするということではなく、自分の中で課題を決め、負担やストレスになり過ぎないように心がけています。自分に余裕がないと、一緒に仕事をする同僚や他の職員に心配されてしまったり、迷惑をかけてしまったりすることもあるので、精神的にも肉体的にも健康な状態を自分で維持しながら仕事に取り組んでいます」
Q5. 青年海外協力隊として成し遂げたいことはなんですか?
「まずは2年後に離任する際に、職場の人から『この職場に来てくれてありがとう』と言っていただけるような、何かしらプラスをもたらす人材になりたいです。そして、私がいなくなった後でも、私の残したものがきちんと引き継がれたらいいなと思います。現地の人々にとって、持続的にプラスになれる協力隊員になりたいと考えています」
Q6. 現地の方とはどのような交流があるのでしょうか? また、同じ青年海外協力隊の方との交流や、一緒に活動したりする機会はありますか?
「職場の人々とは、よく昼食を一緒にとることがあります。仕事中ではお互い忙しくてなかなか話せないことや、共有できなかったアイデアなどを語り合ったりできるとてもいい機会です。これがきっかけで、自分の仕事の幅が広がったこともあるので、こういった時間は大事にしていきたいです」
「また、私が住むナクルという都市では、現在5名の隊員が赴任しているため、週末に食事をしながら、お互いの活動の苦労話を共有することもあります。苦労しているのは自分だけじゃないと思うと、自分ももっと頑張ろうと思えます」
Q7. お休みの日はどのように過ごしていますか?
「休みの日は、平日にできなかった家の掃除や洗濯といった家事全般を行っています。掃除を通じて部屋がきれいになる気持ちがいいので、ストレス解消にもなります。また、街に出かけて買い物もします。また、私は料理が好きなので毎日料理をしているのですが、こっちで手に入る食材を使いながら、うまく調理できるか、毎回試行錯誤しています(笑)」
高校時代に力を入れていた英語学習が、今の仕事に生きている
Q8. 高校時代はどのように過ごしていましたか?
「高校時代は、勉強するときは勉強し、遊ぶときはとことん遊ぶ、といったメリハリを大事に過ごしていました。このおかげで現在も、仕事は仕事としてきちんとこなすのはもちろんですが、メリハリをつけながらバランスよく生活できるようになりました。また、英語学習にも力を入れていました。海外で仕事するには、最低限の英語力は必要です。この2点がなければ今の自分はないと感じるくらい大事な要素だったと思います」
Q9. 高校時代にもっと勉強しておけばよかったことはありますか?
「私は文系出身でしたが、今になっては理系の勉強もしておけばよかったと感じています。今は水のプロジェクトに携わっていて、その中には浄水場建設のプロジェクトもあるように、仕事の中で技術的な分野に遭遇することはよくありますね。水の分野など、理系の知識が今よりももっとあれば、仕事の理解が早かったのかなあと感じます」
Q10. 「青年海外協力隊」を目指している高校生へ向けて、一言メッセージをお願いします。
「若いうちは可能性は無限大にあるので、自分の目標やゴールを大切にしてください。どんなことにもチャレンジして、自分の目できちんと物事を判断することが大切だと思います。青年海外協力隊は、自分の可能性や実力を試すいい機会です。参加してはじめて実感できること、分かることは必ずあると思います。それは今後の財産となるので、失敗を恐れず、どんどん挑戦し、努力する姿勢があればどんな目標も達成できると思います。皆さんが数年後、協力隊として世界中で活躍される日を楽しみにしています」
海外の国々で技術や知識を生かし、その国の発展のために活動を行っている青年海外協力隊の皆さん。海の向こうの人々の未来を支援する、とても力強い存在だということが分かりました。
国際関係や語学に興味がある人や、海外の国々の役に立ちたいと考えている人は、海外青年協力隊の活動内容や、海外の国々で必要とされている支援活動について調べてみると、海外でのボランティア活動をより身近に感じることができるはずですよ。
【取材協力】青年海外協力隊 コミュニティ開発 中島祥吾さん
この記事のテーマ
「語学・国際」を解説
外国語を自在に使い、コミュニケーションを図る表現力を実践的に学びます。国際情勢などの知識、情報を収集する好奇心、語学力向上の努力が常に求められます。資格取得を目指すカリキュラムもあります。将来の仕事としては、日本語と外国語を翻訳・通訳することで双方の意志疎通の手伝いをするなど、海外との橋渡しをする職業が考えられます。
この記事で取り上げた
「青年海外協力隊員」
はこんな仕事です
独立行政法人国際協力機構が運営し、20~39歳を募集対象とするボランティア事業のメンバー。応募、選考時には中学卒業程度の語学力・健康・技術の審査や面接があり、医療、農業、工業、土木、教育など多様な分野から、自分の特技が生かせるプロジェクト案件を選べる。採用後は、現地に赴いて数カ月~数年滞在し、さまざまな支援活動を続ける。派遣先は、アジア、アフリカ、南米などの国が多く、最低限の手当と生活費が支給される。国際社会貢献、開発途上国の諸問題に興味があり、働きたいという強い希望があれば貴重な経験になる。
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